リレー小説4
<Rel4.ゼロ1>

 

――空には満月 地には影――



「ゼロ〜、寒いから降りよーよー。」
「……あともう少し。」

見上げたまま呟くゼロの視線の先には、円く輝く月が一つ。

「なんでこの寒い中、高層ビルの屋上なんかに居るんだろー……」
「このほうが、綺麗に見える気がしませんか?」
「否定はしないけど……寒い。」

ゼロの肩に乗って丸まっていたグレイが、くしっ!と小さくくしゃみをする。

「クス…仕方ないですね、それじゃあ……」

そこまで言って、ゼロの表情…というより、身にまとう雰囲気が、どこか鋭いモノに変わる。


ざわっ……――!!


決してそう音がしたわけではない。しかし、そう聞こえた気がした。
豹変した空気に、グレイも起きあがり、鼻先を天に向けて視線をゼロのほうへ移動させる。

「ゼロ………?」

不安げに問うグレイに、ゼロは微笑を返し、言った。

「なんでもありません。ただ、先に帰っていてください。」

その言葉がスペルとなり、グレイの視界を歪ませた。
一瞬後、グレイの視覚が戻った時、既にそこは、今滞在しているホテルの一室だった。
執筆者…you様

――自分と相手 自分と自分――



―頑張ってるかい?

影は呟いた。


「……ええ。」
ゼロは呟き返す。

―せいぜい頑張ってくれよ?俺の為にも、勿論、お前自身の為にもな。

影はクックッと声を出さずに笑う。見えたわけではないが、そう感じる。

「…………」
ゼロは何も言わない。何も言わずに、虚空に手を差し伸べた。
同時に、ゼロの手の内に一振りの刀が現れる。

―その刀で、俺をぶった斬るってか?

馬鹿にした口調で影は言う。


「……まさか、違いますよ。」
肩をすくませ、鞘から刀を抜き、振るった。

ヒュンッ!

空気を切り裂く音が、人気の無いビルの屋上に響く。


―まぁいいさ。だが、なるべく迅速に頼むぜ、俺は我慢強くねーからな。


「ええ、解っていますよ。」

ゼロが言うと同時、張り詰めた空気や、影の気配が消える。
それを確認して、右手に刀を携えたまま、再び月を見上げた。


「解ってますとも……迅速に……確実に……」

一言一言噛み締めるように。
瞳に鋭い光をたぎらせながら。

「アナタを消し去ります。いつの日か、必ず。」 
執筆者…you様
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