リレー小説4
<Rel4.ルージェント1>
走る。豪雨の中を、走る。 男は路地裏を走っていた。 両手に嵌められている手袋は血だらけで、髪の毛も乱れていた。
眼は赤く、同時に冷たく、鋭かった。
――殺してやる。
歯を噛み締め、走り続ける。 そして、路地を出た先には、一際目立つ豪邸があった。 立ち止まり、ゆっくりと腰に差してあった剣を抜く。
そして、屋敷へと獣の如く走り始める。 其処には二人、警備員が立っていた。 当然、警備員達が男を見逃すわけも無く、銃を構える。 「止まれっ!!止まらないと撃つぞっ!!」 しかし男は止まらず、そのまま門へと走っていく。 警備員は発砲するが、視界が悪いせいかまったく当たらない。 男は発砲にも怯まず、そのまま走りつづける。そして、その手に握られていた剣で、警備員を斬りつけた。 突然の出来事に、反応できない警備員。 更に、頭を掴んで体を一突きする。男は口から血を吐き出し、前のめりに倒れた。 それを見た男は、銃を構えたまま後退った。もう片方の手には無線が握られている。 「北門にて緊急事態発生!!武装した男が侵にゅ・・・!!」 無線機で連絡しようとした次の瞬間、串刺しにされ、崩れ落ちる。
二つの人間だった「モノ」を背に向け、男は走る。 途中、阻止しようと警備員達が襲い掛かってくるが、其れも物とせず、 斬り捨て、又は撃ち、先へと進む。
男は立ち止まる。目の前には装飾のなされた扉があった。 男はゆっくりと扉の前へ歩く。 再び立ち止まった瞬間、扉に向けて銃を乱射した。 扉に空く無数の穴。 扉を開けると、其処には幾つもの死体が転がっていた。 その周囲には傷口を抑え、呻いている者達が座り込んでいる。 再び無言で銃を乱射し、その者達に止めを刺し、男は更に奥へと進んでいった・・・
「・・・・・・!!」 ルージェント・ラスパーニュは目を覚まし、ベッドから上半身を起こす。 その顔は汗で濡れ、眼は血走っていた。 「・・・夢か。」 ベッドから出て、窓の側へと寄り、煙草に火を点け、空を見上げる。
部屋は、月明かりで僅かに照らされていただけだった。
執筆者…鋭殻様