リレー小説4
<Rel4.高宮・零土1>

 

30代半ばほどの、銀に近い白髪の男が、<それ>を見下ろしていた。

 

服装も髪と同じく全体的に白で、同じく白のトーガが、風に揺られて舞っている。
コードネーム「ゼロ」 絶大な魔力を持つ、Aクラス能力者である。
見た目は30代だが、実際はもう50近い。
若くは見えるものの、威厳に満ちた真摯な目は、確かにAクラス能力者のそれだった。

 

<それ>を見下ろしているのは一人ではない。
ゼロのすぐ左後方に、護衛をするかのように男が一人、そしてそのさらに後ろに、ゼロを中心にして扇状に三人の男女が並んでいる。
計4人の男女それぞれ二人、ゼロを合わせて5人が、いずれも真剣な眼差しで眼下の<それ>――即ち、敵の基地を見つめていた。
「確認しておこう。」
呟いて振りかえるゼロに、4人の視線が集中する。
「私とゴウが先ず先行。エンド、リン、ミリアは、頃合いを見て。
 目安は・・だいたい5分ほど。なるべく纏まってお互いカバーすること。
 私が合図をしたら離脱。落ち合う場所は決めた通り。以上だ。」
返ってきたのは同意の沈黙。
視線を眼下に戻すと、浅く息を吸い込み・・・
「行くぞ。」
呟きをスペルに、風に乗り、宙へと舞い出る。
同時に左後方に居た男も動き、眼前にあった垂直ではないものの、それに近い急勾配の崖を駆け下りていく。
――先程の話から察するに、この男が「ゴウ」だろう。

 

時は夕刻。太陽は沈み、辺りには闇の帳が降り始めている。
襲撃には、絶好とまではいかなくとも・・・よい時間だった。
残った三人は、一瞬時計を気にしてから、視線を戻す。
そして先程と変わらぬ様子で敵の基地――これから戦場となる場所――を見下ろしていた。
執筆者…you様
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