リレー小説4
<Rel4.ニューラーズ3>

 

  リゼルハンク本社

 

「足りない?」
「はい。行方不明者はライズ・ゲットリック、ヘイルシュメル・クライバス、サリシェラ・リディナーツです」
「ちょいと待てや!?サリスも居ねぇだぁ!?どーゆーこったよ!ああ?」
凄むシルシュレイに対しても臆する事無くニューラーズが淡々と答える。
「打ち合わせは完璧でした。何らかのアクシデントが起こったのかも知れません。
 兎も角、動き始めた以上は我々にも時間は残されていません。
 ………予定通り、アテネからは脱出します」
「サリスを残してくってのかぁ!?」
「仕方がありません…其れに………」
ニューラーズにとっては、ライズが単独で何か行うという事は予想の範囲内でもあった。
自分では何一つ考えて行動出来ないサリシェラや、
ライズ狂信者であるヘイルシュメルなどは単なる手足に過ぎないだろう。
ライズが離反組にも内緒にしてLWOSでサリシェラとの密会を行っていた事は解っている。
…其れがまさか混乱に乗じての前支配者持ち逃げ計画であったとは流石に読めなかったが。
ライズ程の存在であればSFESに居る限り金や地位などどうとでもなるのだ。
其れが、SFESを裏切って前支配者を奪うなどという愚挙に出るなど予想出来るはずがない。
前支配者の価値が研究対象としてのものでしか有り得ない以上、
SFESを…そして離反組を謀って其れを得たところで何の意味も無い。
(或いは…ライズのバックには何らかの組織が……
  いや…考え難い。今まで前支配者を占有して研究していたSFESをも見捨て、
  新たな組織で研究を再開させるなどという非効率……)
ライズ・ゲットリックは非効率をとことん嫌う。
彼の『眼』が全てに於いて最も効率的な方法を見出すのだから当然の事であろう。
そんな彼だからこそ、
SFESの地位と前支配者などという、あまりに天秤が吊り合わない物々交換に応じる筈が無い。
前支配者の価値が、組織での研究を前提にしている以上、これは覆らない。
其れにサリシェラとライズという組み合わせも意味不明である。
兵隊など幾らでも居るし、ライズには忠実なヘイルシュメルも居る。
使い捨てにしてももう少し勝手の良い人材というのがあるだろうに。
「…待て……まさかライズ…そうか、そうすれば一石三鳥…
 ………いえ、或いは…一石……!!…ッ!!やられたッ!!!」
執筆者…is-lies
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