リレー小説3
<Rel3.ゼロ2>

 

 

「…なんだか今日は妙に殺気を感じますね。」 
「悠長に言ってる場合?明らかにゼロに向けてるよ?」 
「そうですね〜、2,3人は居そうですし。
 どの方もそれなりにできそうですね。」 
「空気がピリピリしすぎ…なんか、誰かが仕掛けるのを待ってるみたい。
 どうせならさっさと仕掛けてくればいいのに…。」 
「一人、待ちきれなくなったみたいですよ。」 
そう言うや否や、その場から大きく跳ぶゼロ。
立っていた場所には無数の弾痕ができていた。
「ガトリング…みたいですね。よ…っと」 
魔力を開放し、風にのるようにして滑空する。
その時、ゼロの傍にあった窓ガラスが音をたてて割れた。
先ほどのガトリングと飛んできた向きは違った。
「この街中では少々不利ですね…どうしましょう。」 
「転移して逃げればいいじゃないか。」 
「依頼主を確かめないと、今後もこんな風に狙われてはたまりませんよ。」 
そう言うと同時に、その姿は消えた。 

 

 

「どこ行きやがった…?」 
辺りを見回す刺客の1人・ガトリングジョニー。
「ここですよ。」 
「いっ!?」 
振り返り、驚きの声を上げたときには、もう魔法は発動していた。
次第に体が硬直し、動けなくなるガトリングジョニー。
「あ!?が…ぐ…ぅ…」
そして、振り返った時の格好のまま、固まってそこに倒れた。 
「しばらくそこでそうしててください。 
 さて、あと二人…」 
そう言って、再び消える。

 

 

消費が激しい能力故、普段は戦闘では使わないようにしているが、
相手がスナイパーである限り、むやみに空へ飛んでも格好の的にされる。
かと言って歩いて近寄れば、街の人々に被害が及ぶ。
既に先ほどの攻撃で被害が出ている所を見ると、相手は街の人などどうでもいいようである。
よって、転移を使うのが最良の手段なのだ。
「二人目…」 
そう呟くゼロの足元には、
サングラスをかけた角刈りの男…ゴルゴ31が硬直して横たわっていた。
「さて…後、一人。」
執筆者…you様
「…ったく資料以上の能力じゃないかよ…!」 
真っ暗でボロボロの部屋に居たのは 
リボルバー式の紅い銃を持った少年… 
スペクタクルハンターと分類されるプロの1人『ツヨシン』であった。 
過去、日本最強の男『青』や、敷往路家の跡取り娘『メイ』等と共に 
大名古屋国大戦で活躍した勇者の1人だ。
スペクタクルハンター…普段は自ら好んで冒険に身を投じ、 
依頼があれば早急に従うという、冒険者とプロを足した様な仕事をしている。
ツヨシンは常に冒険心を忘れず、様々なものに挑み、 
自ら危険に突っ込み、心配される事もしばしばあった。 
其の彼がである…戦慄していたのだ。 
ゼロの圧倒的な能力に。
「はッ!腹括るか…… 
 頼りにしてるぜ相棒!」 
手にしたリボルバー銃『ヴァーミリオン』を一撫でし、 
そう言って、振り向く先には白髪の男。
渡された資料の中にあった写真の人物―つまり、ターゲットその人だった。
「…。」 
既に魔法を発動する体勢になっている。
しかし、発動する前に、ツヨシンはもう銃を撃てるように構えており、引き金を引いた。 
閃光が、一瞬辺りを包んだ。 
銃口から放たれた光は、ゼロの展開した魔法の防護壁により、打ち消された。
「…!?へぇ、俺が既に撃てる体勢にしていることを見抜いていたワケだ。」 
「私は今すぐにでも、あなたを殺すこともできます。」 
「…なにが言いたい?」 
「依頼主を教えてほしいんですよ。そうすれば、見逃してあげます。」 
「随分と強気だな。」 
「あなたの銃の能力はもうわかりました。
 要するに、周り…傍に居る人や、大気中から魔力を吸い上げ、
 それを魔力弾として打ち出す。ということですね。 
 それに、そうでなくても、私は一言、スペルを呟くだけで魔法を発動できます。」 
「それはどうかな。」 
「…?」 
そう言うと、銃口を下に向けたまま、引き金を引く。 
無論、放たれたエネルギーは床に向かって発射されるが、
次の瞬間、軌道を大きく曲げてゼロの方向へ飛んできた。 
「!!」 
瞬時に防護壁を展開し、それを防ぐ。 
「どうだ?」 
「へぇ、面白い銃ですね。」 
二人の視線が、合った。
ツヨシンが再び引き金を引く。 
先ほどと同じくして大きく軌道を曲げ、ゼロのほうへ向かっていく。 
「…。」 
再び防護壁を展開するが、魔力弾はその直前で再び軌道を変え、壁を砕いた。
辺りに砂埃が舞い、視界が遮られる。 
「…なるほど、そういうことですか」 
そう言うと、ゼロの周囲に風が発生し砂埃を吹き飛ばした。 
そして、そこにツヨシンの姿は無かった。
「あんな奴とマトモにやり合っちゃ命が幾つあってもたんねぇ。」 
窓から跳びだしつつ、呟く。 
そして着地し、ロクに部屋も見ず、引き金を引く。
魔力弾が軌道を大きく捻じ曲げ、今まで居た部屋に向かう。 
そして、二発目を撃とうとした時。
「それくらいにしておくんだな。」
驚いて声のするほうを見るツヨシン。 
「何者だ?」
「わざわざ名乗ってやるほど親切じゃない。」 
「フン、邪魔するようならアンタも―」 
そう言って、引き金に掛けた指に力を入れようとした瞬間…
瞬間抜刀術之弐『双龍』
ッ…!?
ツヨシンは斬られ、吹っ飛ばされた。
「…おや?あなたは…」 
いつのまにか、謎の介入者・常盤の後ろにゼロが立っていた。
「…確か、常盤さん。…あなたが彼を?」 
「ああ。」 
「へぇ…助けてくれたんですか。」 
「ふん、勘違いするなよ。お前は俺が倒すんだ。」 
「…はい?」 
さすがにこの返答は予想していなかったらしく、呆れたような声を上げた。
「丁度いい。2週間後、この前と同じ森に来い。
 …そうしたら、依頼主を教えてやる。
 どうせ今逃げてった『あいつ』の依頼主も同じだ。」 
「…!?」 
振り向くと、そこにツヨシンの姿は無かった。
そろそろ身体硬直の魔法も効果が切れる頃だ。他の二人ももう逃げているだろう。
「…しょうがないですね。いいでしょう。」 
「時間は…午後9時だ。」 
それだけ言うと、常盤はどこかへ去って行った。
「ホントに行くの?」 
「どうやら自信があるようですし。
 1ヵ月でどれくらい強くなれるか見ても問題はないでしょう。」 
そう言うと、ゼロもまたどこかへ歩き出した。
執筆者…you様

「さて、と。2週間後ですか…。どうしましょうか。」 
「せっかく火星に来たんだし、観光でもすれば?」 
「ですが、この街はほとんど見て周りましたし…」
「…ゼロ!」 
「わかってますよ。懲りない方達ですね。」 
そう言うと同時に、前に倒れるようにして跳ぶ。 
そのまま地面に手をつき、大きく体を振って、横に跳び、
人ごみに紛れて体勢を立て直す。
「どこ行きやがった?」 
「人ごみに紛れたようだ。注意しろ。」 
慌てるリベンジャーである所のガトリングジョニーとゴルゴ31。
「そうそう、特に『背後』に気をつけたほうがいいですよ。」 
「「!?」」 
「もうあなた達は体を動かすことはできません。」 
「くっ!」
「答えてください。あなた達の依頼主は誰ですか?」 
「…教える訳にはいかん。」 
「…死にたいですか?」 
「り、リゼルハンク本社の社長だ。」 
「…リゼルハンク?というと…『SFES』
暫しなにか考えるような表情を見せ、確認するように呟いた。
「え?」 
「なんでもありませんよ。それと、あなた方はもう行っていいですよ。」 
言うと同時に、二人は体の自由を取り戻し、どこかへ走り去っていった。
「リゼルハンク本社…確か街の中央辺りにありましたね。」 
「どうする気?」 
「これ以上刺客をよこさないよう警告するんですよ。
 こんな調子で命を狙われては面倒ですから。」 
そう言って、街の中心部目指して歩き出した。
執筆者…you様

  火星アテネ・リゼルハンク本社前

 

「ここがリゼルハンク本社ですか。」 
「でっか…」 
ゼロ達は、超高層ビル…リゼンハンク本社の前に立っていた。
「さて…どうやって社長室まで行きましょうかね。
 会わせてくれといっても、あわせてくれるはずがありませんし…」 
「空間移動術使えないの?」 
「前にも説明しませんでしたか?
 空間移動術は、空間を膨大な魔力を使って捻じ曲げ、
 別の空間とを異次元空間を通して繋げる術です。
 ですから、出口を作るためには、なにか目標となる物がないとダメなんですよ。
 もしその場所を知っているか、
 そこに何か強力な『気』を放つ物、もしくは人が居ないとダメなんですよ。」 
「そういえば、聞いたような気がする。」 
「リゼルハンク社長…ネークェリーハとか言いましたか。
 …は大した力を持ってないので、『気』を感じることができないんですよ。」 
「わかったような…わかんないような…」 
「まあ、とりあえず入ってみますか。」

 

 

「すみません、アポがないと社長とは会わせることができないんですよ。」 
「そうですか、いえ、無理を言ってこちらこそ申し訳ありませんでした。」 
受付嬢にそう言って、ゼロが出口へ向かっていると…
「ゼロ?」 
「…おや、え〜っと、確かライズさんと、ヘイルシュメルさん。」
ネークェリーハの擁する組織SFESのメンバー…
其の中でもかなりの権力者とゼロは出会った。
「どうしたんだ?SFESに入る気になったのか?」 
「お前ならいつでも歓迎しよう」
「残念ですが、そのつもりはありません。今日は此処の社長に用がありましてね。」 
「総裁に?ああ、例の刺客のことか?僕等も止めたんだがな、聞く耳持たなくてな。」 
「なら……そうだな…いっそのこと、お前が懲らしめてやったらどうだ?
 私達は立場や制限上無茶なことはできんのでな。
 ゼペートレイネも面倒な物を拵えてくれたものだ」 
「構いませんよ。むしろ、そのために此処に来たのですから。」 
制限上…というのが気になったが了承するゼロ。
これで社長室にもすんなりと行けそうだ。
「キマリだな。こっちだ。」 
二人に導かれるまま、ゼロは社長室へと向かった。

 

 

  リゼルハンク本社・社長室

 

「ここだ。頼むから殺しだけはやめてくれよな。」 
「そこまでは考えていませんよ。」 
「それでは、私達はこれで。SFESに入る気になったらいつでも来るといい。」 
聞こえていないのか、聞こえないフリをしたのか、
ゼロは何も言わず社長室へ入って行った。 
「変わった奴だぜ。」 
そして、SFESの二人もどこかへ去った。

 

 

キィ… 
「誰だ!?勝手に入って来るんじゃな…」 
強気だったネークェリーハも、入ってきた人物を見て、呆気にとられた。 
「こんにちは。」 
ゼロはにこやかに、しかし殺気のこもった表情で挨拶をした。
「な…お前が…どうして…」 
しどろもどろになりつつ、声を絞り出した。 
「用件はわかっているでしょう?」 
「だ、だが、なぜ…此処が…」 
「あなたが送ってよこした刺客に、ちょっと脅しをかけたらすぐに言いましたよ。」 
「くっ…あのクソ野郎共が…」 
「今は自分の身体のことを心配するべきですね。」
「……ひ、ひぃ!!おおお…御願いですゼロの旦那ぁぁ!
 命だけは御勘弁をぉぉぉ!
 そ…そうだ金…幾ら欲しいんですか!?
 ど…奴隷だって何人でもォォォ!!
 ですから私の命だけはァァ!」 
「へぇ…幾らでも?」
「は、はいぃっ!」 
そう言った途端、ネークェリーハは苦しそうにもがき始めた。
あ…が…ぐぇっ!!
「あなたという人は…
 反省してるようなら、警告だけにしておこうと思っていたんですがね。」 
言いながら、左手をネークェリーハのほうへ翳す。
すると、ネークェリーハの体が宙に浮き始めた。
あぐぅっ!!がぁっ!!
尚も苦しそうにもがきつづけるネークェリーハ。 
「…。」
そして、ゼロが壁のほうへ手を向けなおすと、
ネークェリーハもそれと同時に壁に叩きつけられた。 
「は…ぐぁ…」 
なんとか意識はあるようだったが、体はピクピクと痙攣しているネークェリーハ。
「もう私の所へ刺客はよこさないでくださいね。
 それと、その一昔前のどこかの富豪のような考え方はやめたほうがいいですね。
 …もし、反省していないようでしたら、次はこれくらいでは済みませんよ。」
そう言って、ゼロは消えた。
執筆者…you様
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