リレー小説3
<Rel3.統合編 傲慢なる塔の崩壊>

 

 

リゼルハンク本社ビル居住エリアの一室。
『その日』に備えて、SFESメンバーが集結しつつあった。
「…いよいよ、明日だな」
ライズに案内されて部屋に入ったシルシュレイは、
滅多に着ない外出用のスーツをソファーに脱ぎ捨て、
慣れないネクタイ解きながら、そう言った。
まるで遠足を楽しみにしている子供のような口調だった。
「何も訊かないんだな、お前は」
「どうせよく解ってねェんだろ?」
「…まぁな。
 けど、そう言う割には楽しそうじゃないか」
「俺達が全員集合して、
 逃げるためだけに行動するってんだ…
 楽しいじゃねェか」
「全員じゃないぞ。付録は切り捨てる。
 間違っても、変な考えだけは…」
「わかってるよ」
言いながら、シルシュレイはドカッとソファーに寝転がった。
コンコン―――
と、誰かが部屋のドアをノックした。
「誰だ。開いてるぜ」
「サリシェラだけど…
 シルス、いる?」
サリシェラの声にシルシュレイはソファーから飛び起きて、ドアを開いた。
「サリス、体、もういいのか?」
「うん、何ともない」
シルシュレイはサリシェラの肩を撫でながら、そっと手を滑らせる。
先日、片手を失って帰ってきたその体もすっかり修復されていた。
「…じゃ、俺は失礼するかな」
気を使ったのか、ライズが部屋を出て行こうとするが、
二人にはそういう気を使うような感情はあまりないようだ。
「別にいい。
 ヴァンフレムが呼んでるって、シルスに伝えに来ただけだから」
「なんだ、伝言ならわざわざお前を使わなくてもいいのにな。
 あ、そうだ。
 クリルのことなら心配ないぞ。
 お前がいない間に先にあっちに送ってあるから。
 Dr.キタマクラにも話はつけた。もう心配はない」
「うん、それなら聞いた」
「…そうか、ならいい。
 あとは俺達だ。いいな、タイミング間違えるなよ」
「わかってるわ。
 シルスも…気をつけてね」
微かに笑みを浮かべながら、サリシェラはドアノブから手を離した。
バタンッとドアは無愛想な音を立てて閉まった。
「アイツ…何か、色っぽくなったような…」
「…何言ってんだ…お前」
執筆者…Gawie様
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