リレー小説3
<Rel3.SFES1>

 

  アレクサンドリア・某地下駐車場(セレクタ本部)

 

アレクサンドリア在中部隊による麻薬シンジケート壊滅作戦というお題目で、
SFESによるセレクタ掃討作戦が行われていた。
「キヒヒ、どこだぁ?セレクタの連中はァ…
 見付け次第、切り刻んで磨り潰スッ!」
如何にもヤバ系なトサカ頭の男が、
4つのヒートナイフを軽くジャグリングしながら通路を歩く。
其の後ろにはSFES戦闘員が何名も付いて来ている。
「落ち着かんか。其れよりも…ラーズスヴィズ。道は此方で良いのか?
 もう7体もアシュラを始末したが…セレクタの人間は1人も見当たらん」
《道は事前にお配りしたデータ通りです。
 罠も巧く回避していたじゃないですか。其の調子で頼みます。》
ローブを纏い術士然という風貌をした白髪の老女へ、
耳に装着した通信機の向こうから、外で待機している司令部から返事が来る。
確かに順調に事は進んでいる。
結晶能力者の特殊能力や、物量作戦でアシュラの排除、罠の解除…全て巧くいってる。
事前に放ったアルベルトによる内偵で、情報を集めた成果がきちんと出ていた。
だが、あまりにも歯応えが無さ過ぎる。
アシュラといえば生物兵器の中でも最高の火力と生命力を備えた、
生体重戦車とでも言うべき恐ろしい魔物である。
だが知能は極めて低く、命令を与える人間がいなければ無差別殺戮にしか使えない。
そもそもアシュラのデータは既に入手している。構造は知り尽くしているのだ。
罠も配置を少し変えただけとか、其の程度の変更しかされてはいない。
白髪の老女ことハールは其の辺りが納得出来なかった。
「どうしたのハールさん、早く行きましょ?」
黙考に耽るハールを現実へ引き戻したのは、黒いプロテクターを纏った女だ。
直ぐに仲間達に遅れを取らぬ様に走り出すハール。
最下層…SFES戦闘員達はセレクタの研究所にまで乗り込んできた。
直ぐに配備されていたアシュラ3体が動き出し、
侵入者達を抹殺すべく全武装を解除…集中砲火を浴びせ掛ける。
鋼鉄ですら飴の様に溶かす炎、血液をも一瞬で凍らせる冷気、榴弾…
其の猛攻撃は併し、無駄に周囲へ煙幕を張っただけに過ぎなかった。
「キヒャーーーーハハハハハ!!」
奇声を上げながら、先のトサカ頭が煙の中から飛び出して来る。
同時に後続のSFES戦闘員達の一斉射撃を受け注意の鈍ったアシュラの1体が、
一瞬でトサカ頭に差を詰められ、ヒートナイフでナマスにされた。
如何に生命力が高かろうと、頑丈だろうと、ヒートナイフの前には意味が無い。
他2体が直ぐに主砲の矛先をトサカ頭に向けるが、
其処から一撃必殺の攻撃が放たれるよりも早く、
ラージシールドを構えた大男エイキンスキアルディの魔力防壁で、
先の一斉攻撃を凌いだハールの呪文が放たれていた。
アシュラ達の砲口へと正確に潜り込んだ魔法弾が、
魔物に装備された榴弾を一斉に起爆させ、内部から爆殺した。
「ははは。所詮はどーぶつだね。
 でも…本当に司令塔は何処なんだ?
 情報だと、この辺りだっていうし……」
「やはり既に引き払っておるんじゃろう。
 敵の本拠地にしては守りが薄過ぎるし静か過ぎる」
ハールの返答に物足りないと言いたそうな白人男性。
「ラーズスヴィズ。適当に調査するぞ?」
《…そうですね……何か手掛かりがあると思いますし…
 ですが、その施設が既にセレクタにとって価値が無いとすると…
 何が仕掛けられていてもおかしくはありません。御注意下さい》
マシンガンを持った男は了解と告げ、端末へと無用心に近付く。
「ソリン、何を聞いていたの!?」
「良いじゃねぇかよイアリ。情報奪取さえ済ませば作戦終了なんだ。
 さっさと済ませちまおうぜ。どーせ、もう罠なんざねーって」
プロテクターの女の叱咤にも動じず、マシンガンを持った男が歩を進めると…
急に端末のモニターの1つに文章が浮かび上がった。

《見てますか〜(^^)v
 笨蛋 馬鹿 バカ ばか ラムサム フリムン Fool Stupid gloopy TONTO NARR Dummkopf ガビー KUY GONZO imb
écile Sciocco BOBO TORO …………

 

 

 

 

 

 

 

 

「直後の全区画一斉爆破により、部隊の7割が壊滅しました」
一帯に緊急避難命令が出された駐車場周辺に用意された司令部で、
ノートパソコンを弄りながら、眼鏡を掛けたOL風の女が淡々と告げる。 
「又、フィン、ソリン、イアリの3名も死亡を確認。
 エイキンスキアルディ達の報告によると最深部も無人。
 中々、迅速な対応ですね…第4次世界大戦で我々を出し抜いただけはあります…」
「最深部まで誘き寄せて一気に……
 …せめてフギン・ムニンがマトモに使えていれば…今更ですか…」
OL風女の背後に立っている黒髪の青年が額に手をやる。
衛星を利用した監視・追跡も出来なくはなかったが、
セレクタ発見時、SFESで行われていたLWOS侵攻作戦で、
フギン・ムニンの殆どが投入され、セレクタを監視出来なかったのが痛い。
何はともあれ、SFESによる攻撃は失敗に終わった。
執筆者…is-lies
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