リレー小説3
<Rel3.火星帝1>

 

  遺跡深部

 

【火星帝】レオナルド・フォアレイ・シルバーフォーレスト 
彼は、火星開拓にロシア代表者として従事し、
高い知識と高い計画性で開拓者たちから信頼されていた。 
火星開拓もようやく一段落付いた頃、彼は突然ロシア開拓軍を率いて火星征服を図った。 
しかし、彼は征服後もその手腕を十分に発揮し、火星の住人に慕われてきた。 
ただ、獣人の扱いなど彼の性格と反する行為をとっているが 
それは、裏で何者かに支配されているという説が今や定説となっているが、 
正しいことは彼以外は誰も知らない。
火星帝は十数名の護衛と他国の政治家を連れて 
旧文明遺跡査察を行っていた。
多数の魔物を掃討し、魔物という面では安全であるはずだがやはり護衛をつれていた。 
他国の政治家というのがネオス日本共和国の政治家で
『汚職』といったらこの男という有名な男で名を田中七郎といった。
彼はその太った身体を超高級タキシードを着込んでいた。
キョキョ…すばらしい遺跡でゲスね〜。」 
田中は両手をこねながらくねくねしていた。
「ホォ…」 
火星帝は大して相手にしていなかった。
遺跡内を少し進むと火星帝は気が付いた。 
「ん…警備を任せているエージェントが少ないではないか… 
 まさか…。」 
火星帝は秘書官に向けて言った。
「…まさかとは……。」 
秘書官が聞き返す。
「いや。まさか侵入者か…いや…魔物が発掘されたのか…」 
火星帝は自分にそう問いかけた。
「どうしますか…戻りましょうか?視察団の方もご一緒ですし…」 
護衛の一人(女性)が小声で進退を尋ねる。
「いや、もう少し進もう。それにだ…」
火星帝は歩を進め、秘書官に背中を向けて続けた。
「もし危険があったとしても君たちが私達を守ってくれるのだから、
 何を恐れることがあるというのかね?」 
火星帝はそう言って振り向くと、
いたずらな子供のような笑みを一瞬見せ、再び視察団の方へと進んだ。
「閣下…」 
護衛は火星帝、いやさレオナルドの信頼のこもった言葉「たち」が引っかかったが)と、
彼女だけに注がれたに違いない笑みに、火星帝への忠誠心を新たにするのであった。
ついでに、表情の隠れるサングラスを付けてきてよかったと感じていた。
中学生じゃあるまいし男の一言で一喜一憂しているというのは恥ずかしい。
「皆様、お待たせしました!
 それでは、むさくるしいところではございますが
 火星洞窟ツアーの続きを楽しもうではありませんか。」 
火星帝の、若干地位にそぐわないとはいえ、
洞窟内の薄気味の悪い雰囲気を打ち消すようなジョークに、
各国の視察団は各々軽い笑い声を上げた。
「キョキョ…いや、たしかに。実に、むさくるしいところでございますな〜」 
田中七郎もいやらしい感のある声で(本人は気が利いていると思っている)ジョークを飛ばすも、
周りはあえて気がつかないフリをしていた。
「…ここが…で、ここが…です」 
火星帝自ら、ゲスト達を案内する。
昨日現場主任が送ったスピーチ案どおりに淀みなく進める様は、
政治家をやめてそのままガイドでもできそうな程であった。 
しかし、視察団はわざわざ洞窟探検をしに来たわけではないのだと言わんばかりの不満と、
どういう化け物を見せられるかという不安で半分半分という感じの顔をしていた。
執筆者…タク様、Mr.Universe様
火星帝や、各国ゲストを護る為に先頭を行く護衛の一人が、
その[危険察知]に引っかかるものを覚えたのはその時であった。 
「!!!!やばいぞ!!!前からだっ!!何か来るっ!!」
火星帝はとっさに護身用の銃を引き抜き各国ゲストの前に立つ。 
「陛下!!お下がりください!!」 
と、秘書。
「案ずるな!余はこれでも軍人だったのだぞ。」 
火星帝は一喝し、来たる敵に備える。
「前方より核分裂異獣が接近してきます。」 
先方の護衛が叫ぶ。
「キョキョ…なんだその核爆発ロボとは?」 
顔面蒼白で慌てふためきながら田中が護衛と思われる前方に立つ長身の男に聞いた。
「核分裂異獣は放射能を大量に受け細胞が異常分裂し奇形となった動植物のことだ。」 
護衛らしき長身の男が答えた時、田中は仰天し、悲鳴を上げた。 
彼が護衛と思った男はこの星の支配者『火星帝』であった。
だが悲鳴は田中だけのものではなかった。
先頭に立っていた護衛が横から攻撃を受け重傷をおった。 
「螳螂の核分裂異獣です。その数およそ3体!!」 
と護衛で最も若い男。
「連携を怠るなよ。」 
背こそ常人程度だが体つきがとてもゴッツイ護衛団長が命じる。
「…なぜここに核分裂異獣が居るのだ?」 
火星帝が秘書に問う。 
「…わかりません。恐らく何者かが連れてきたものでしょうか…。」 
秘書が答える。
「死ね〜。」 
護衛団が核分裂異獣に銃弾の雨を浴びせる。 
効果は有った。核分裂異獣に穴が開きどす黒い液体を撒き散らす。
「効果はあるぞ続けろ!!。」 
護衛団長がライフルをぶっ放しながら叫ぶ。 
どす黒い液体まみれになった巨大螳螂が倒れ他の巨大蟷螂がその死体の上を通る。 
「まず一体か…。」 
火星帝が呟きながら銃を発砲する。 
他の護衛団も火星帝に続いて一斉掃射。 
数に押される形で核分裂異獣は呆気無く全滅する。
「キョキョ…こ…こんな危ない所、早く出ますぞ!」 
真っ先に取り乱す田中七郎。流石の視察団も、 
何者かが連れ込んでのではないかと言う核分裂異獣の登場で不安になり、
早々に退き上げようと言い始める。
古代兵器である『守護者』は見てみたかったが、 
其れよりも命の方が遥かに大事だ。
其れなりにのし上がった人間だけあって、退き際と言うものも彼等は心得ていた。
「そうですな。今回は退き上げる事としましょう」
と言いながら、カマキリ魔物達の死体を見遣ってこう付け足す。
「夜食はロブスターの予定でしたが、別のものに変えておきましょう」
執筆者…Mr.Universe様、タク様、is-lies
inserted by FC2 system