リレー小説3
<Rel3.ジェールウォント1>

 

  LWOS月基地

 

「其の…お父さん……良いですか?」
オドオドしながら副所長室に入って来たのは、
LWOS副所長ジェールウォントの息子ルフェリクことルーフィだが、
ジェールウォントは其の息子に一瞥をもくれずに月基地修復の書類を眺めている。
あからさまに無視され、ルーフィは口を開く事も出来ず所在無さげに佇むのみ。
やがてジェールウォントは沈黙を破り冷酷に言い放つ。
「……入ってくるなと言った筈だ。
 カディエンス家の面汚しめ…」
やはりこれだ。
以前の大名古屋国大戦英雄の監視任務に於いて、
彼、ルフェリク・カディエンスは重大な失敗を犯していた。
其の責任でもって基地へと追い戻されてしまったのだ。
父親であるジェールウォントの逆鱗に触れた事は言うまでもない。
「す…すみません……!
 でも…報告が……」
「報告?何だ?」
「あの…えっと…
 火星警察が事件調査の為とかで…
 生体学のスペシャリストとして名高いLWOSに協力を要請して来て…」
「…何故、お前がそんな事を?」
「あ……そ…其れは……」
どうせ黙っていては話が進まないとばかりに、
ルーフィの返事を待たずジェールウォントが鼻を鳴らす。
「フン、大方担当から押し付けられて断れなかったんだろう?
 お前の直ぐに流される性格には反吐が出る。もっとシャキっとせんか!」
「……す…みません!」
「…で、警察だったか?何の事件だと?」
「えーっと…2日前に南アテネの湾岸倉庫で起きた事件について…と。
 何でも妙な細胞片が発見されたから…其れを調べて貰いたいとか……
 其れでマリーエントさんを指名で…」
「………2日前?……ああ……アレか…
 …………
 …マリーエントは多忙を極めるので、後で適任の者を寄越すと伝えろ」
返答まで暫し間が空く。
「え?でも…マリーエントさんは、もう所長と一緒にアテネに…」
「余計な事は言わないで良い。
 所長まで一緒なんだぞ?
 マリーエントの貴重な時間をそんな些事に裂けるか」
執筆者…is-lies
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