リレー小説3
<Rel3.H・F3>
アテネ北部
「あれ?骨さん何処に行ったんだ?」
『骨』を強化させる目的での能力者狩りの途中、 どうも肝心の『骨』が迷子になってしまった様だ。H・Fが辺りを見回す。 そしてため息をつき、眼を閉じた。
「ライズさんの能力、使うか・・・。 ・・・、 ・・・・・、 ・・・・・・・・・・・! ・・・何『青』さんと戦ってるんだよ・・・」
そう呟いて首を振り、また歩き出した。
歩いていった先には、人だかりが作られていた。 その中心にいるのは・・・ 骨の男と、英雄『青』。
「参りましたねぇ…… いきなりこんなに目立ってしまうとは… …しかも何か『青』さんと戦ってますし……」
ポケットへ無造作に手を突っ込み、数枚の紙切れを取り出すと、 其の中から1枚、抜き取るH・F。
S-Bone管理 ◆言動 一切を監視する事。無用心な会話は控えさせる事。 ◆交戦 指定区域内以外、一切認めない事。 ◆能力使用 指定区域内以外、一切認めない事。 ◆暴走 捕獲。場合によっては処理する事(服務規程13-7参照)。
我々は協力的で有能な者には寛容だが、 敵対者と裏切り、怠慢には容赦しない。 君は我々に対して貸しがある。 此度の任務が其れを帳消しにする為、 我々が情けで与えたものである事を、 努々忘れずに結果でもって誠意を見せてくれ給え。 君が賢明な人間である事を期待している。
H・F Mrキガワ スピッツ・リヒテンシュタイン
ぐしゃ
ぽい
ぼちゃん
規定書が排水溝に落ちたのを見ると、わざとらしく慌ててみせる。
「おやおやおや、これは困りました。 大事な規定書を無くしてしまいました。 これではどんな規定があったのかも解りませんね」
これは小学校でも通用しない、子供の屁理屈と同じであり、 誰がどう見ても闇組織に通じる理屈でない事は明白。 だがH・Fはまるで問題視していなかった。問題視にすら至らない。
「(SFES程度の組織なら、これで十分。 私が機密情報をいとも簡単に抜き出した事で、 私の持つ力が如何に強大か…もう知れ渡っているでしょうし、 審問会で見たSFESの重鎮達も大した人は居なさそうでしたし… …特にレギオンの司令…… あんな人が司令を務めていると言うだけで底が知れます)」
力押しでどうとでもなる相手。其れがH・Fの持つSFES像であった。
「(兎も角、今はこの戦いを止めさせるのが先決。 こんな目立つ場所で本格的に戦われては、流石にすぐバレますし。 ……まあバレたらバレたで其れは其れで良いのですがね。 SFESを潰してしまえば良いだけの話。 併し…やはり隠れ家は欲しい所。怖い弟が居ますしね)」
執筆者…夜空屋様、is-lies