リレー小説3
<Rel3.ガトリングガンズ9>

 

スラムの朝は遅い。 
この街に住む者の約8割が夜行性だ。 
日が昇るまで夜を謳歌し、朝日の清々しさに酔いを覚まされ、渋々と束の間の眠りにつく。 
そして午後過ぎ、世間一般の昼間の喧騒に、不機嫌に目を覚ます。
リュージ達ガトリングガンズのスタッフもすっかりそのリズムに馴染んでいた。 
営業時間は気が向いた時、一応昼間。 
定休日は日曜、他、気が乗らない時、かなり不定期。 
この日は店を開けたところに丁度カフュが戻ってきたので、 
そのまま開店準備はそっちのけで、皆でカフュの土産話に聞き入った。
「海面の上昇……やはりな。 
 そういう事だったのか」
「一応まだ調査中って事らしいが、 
 まぁプロの責任とかは兎も角、 
 超結晶の暴走の事は公表するしかないだろうな」
「そうなりゃ、今、超結晶を保有しているのが分っているとこは結構痛手だな。 
 アメリカさんが言う八姉妹の結晶集めるって計画も危険視する奴が多くなるぜ」
「結晶にもよるだろうが、 
 超結晶一つが暴走すれば惑星規模の影響を与えかねないという事だからな。 
 ウチにも一つあるが……」
「…怖いこというなよ。 
 それよりどうなんだ? 
 八姉妹の結晶とか、SFESとかに関しては?」
「あぁ、結局、超結晶もその少女も消滅したせいで分らず終いだが、 
 超結晶碧きイノセントは八姉妹の結晶じゃなかったって事で進めるらしい。 
 SFESの関与は、可能性は低くはないってとこだ。 
 実際、潜水艦内にまで潜入した奴等がいたらしいからな」
「しかし、話を聞いた限りでは、やり方がSFESらしくない…」
と、タカチマン達が難しそうな話をしているところに、 
ナオキングが遠慮がちに話に割って入った。
「あ、あの…その謎の少女というのは…?」 
勿論この質問は今回の事件の最大の謎である。 
謎ではあるが、結果的にこの謎の少女がプロの大型潜水艦をも沈めてしまったのだ。 
これこそSFESの関与を匂わさないはずはない。
「それはさっき言ったように、まったく謎だそうだ。 
 だが、『偶然遭難してました』なんてことあるはずはねェ。 
 だからSFESかもって言ってんじゃねェかよ」
「そ、そうですね。 
 それで、どんな子だったんですか?」
「まぁ、俺も直接見たわけじゃねェんだけど、 
 歳は12,3歳くらいで、長い白い髪の女の子だったらしいぜ」
「…そうですか… 
 (12,3歳…白い髪…… 
  あの子じゃないのか……)
ここで黙り込んでしまったナオキングを見て、 
大人連中も顔を見合わせながら話を中断させてしまった。 
先日からナオキングの様子がおかしい事にはタカチマン達も気付いていたのだ。
ここの大人連中もこういうのの扱いのは慣れておらず、気まずそうに言葉を詰らせるが、 
そこへタイミング入ってきた客がそれを誤魔化してくれた。
「あ、あの、やってます?」
「お、いらっしゃいませ〜」 
接客に専念するためにリュージ達はこの話を切り上げた。
…が、まさかこの客がナオキングの問題よりも、更に面倒な問題を持ち込んでこようとは、 
誰も思いもよらなかった。
執筆者…Gawie様
「あの、タカチマン博士はこちらで…?」
「な、なにィ……」
ここでいきなりタカチマンの名を口にするこの客は軽率だった。 
おもわず店内の全員がこの客を睨みつけた。 
客の男はスーツに赤いネクタイ。一見普通のサラリーマン風だ。 
リュージ達の失礼な接客態度に、この客は顔を引きつらせている。
(こ、恐……… 
  なんで私、こんな仕事ばっかり……)
声には出さなくとも、 
リュージ達の事をヤクザ者でも相手にするように恐がっているのよく分った。
「あの、私はこういう者でして…」 
負けじと気を取り直して交渉開始。 
赤いネクタイの男は恐る恐る名刺を差し出した。
「火星政府の…諜報員…! 
 ……アンタがか?」 
リュージは男を見ながら、その名刺の肩書きを疑う。
「おい、誰にここを聞いた?」
「え、一応その筋の情報屋から…」
「ガウィーか。 
 ちッ、アイツ、何が『依頼人は厳選する』だ」
「それで、私に何の用で?」 
敬語を知らないジード達を宥めつつ、ここはタカチマンが紳士的に対応する。
「えぇ、連合議会議員本田ミナ様が、 
 お世話になった貴方方に依頼したいことがあると…」
「なに!?」
「はい、101便事件の陰の功労者である貴方方に…」
「待て、依頼内容を、ここに書け」 
今の状況、盗聴の可能性は警戒し過ぎるに越したことはない。 
タカチマン達は男にペンと紙を持たせ、 
男を取り囲むようにしてそのペン先に注目した。 
男は震える手で紙にこう書いた。

 

 

・依頼人の名は、連合議会議員本田ミナ。 
・依頼内容は、軍によるリゼルハンク社の武力制圧に協力する事。

 

 

予想外の依頼にタカチマン達は口々に質問を浴びせる。 
男は言われるままにペンを走らせる。

 

・作戦予定日は、一週間後。 
・既に、軍、警察内部の賛同者も通達、了承済みである。 
・他にも大名古屋大戦の勇者もこの作戦に参加する予定あり。 
・火星帝はこの事実に関与せず。 
・作戦指揮者は、シュタインドルフ・フォン・シルバーフォーレスト。 
・報酬額は、一人につき、100万UD、前金で5万UD。 
・この依頼内容を信用出来るまで、この諜報員を拘束しても構わない。

 

「…馬鹿な…… 
 これではクーデターではないか。 
 こんな事をすればどうなるかは……」
「は、はい、しかしながら… 
 全ての元凶はここにあり、と私どもの指導者は考えております。 
 貴方方の返答がどうであっても、1週間後、この作戦は実行されます」
「…だが、 
 あの本田ミナがこんな事を考えるとは思えない…」
「脳波に異常ありません。嘘ではないようです」 
男の言うことが酔っ払いの戯言ではないことを証明したのはリリィだった。
「私は、お嬢様を守らなければなりません。 
 ご同行させていただきます」
「あの、貴女は…?」
「あぁ、この子はリリィ、本田ミナの護衛アンドロイドだ」
「私は…… 
 お嬢様は、私には何と?」
「いえ、特には、何も聞いておりません。 
 申し訳ございませんが、今、本田様に会うことはできません。 
 ですが、本田様は我々が責任を持ってお守りしますので、どうかご安心ください」
「何も…… 
 …そうですか…」
執筆者…Gawie様
男が立ち去り、ガトリングガンズは静寂に包まれた。
「・・・どう思う?」 
タカチマンがまず言った。 
この依頼は明らかに奇妙だ。 
一応信用したフリをした。あの諜報員を拘束しても恐らく何も出ないだろう。
「シルバーフォレストって確か火星帝だよな?いや、名前が違うな」 
「名前からして男ですよね?同姓か、もしくは・・・」 
「ムスコ?」 
「むすこ?・・・なんですか、それ」 
ユーキン達も意見を言う。 
それにナオキングが付け足した。 
「確か火星帝に隠し子がいるって噂になりました。結構昔ですけど。 
 ・・・あ、そっか。この人、確か火星帝の息子さんです。名前、確かシュタインドルフでした」
だが、タカチマンは彼らの意見を一蹴した。 
「そんなことはどうでもいい・・・。リリィ、信用できるか?」
「・・・・何を、ですか?」
「信用できるか?これを。あの本田ミナがクーデターだぞ?」
「私は・・・」 
リリィが、口を開いたその時だった。
「知りたいよねぇ、その娘の真実」 
突然、部屋の隅に少女が現れた。 
驚いて全員がその少女を見た。
ナオキングが思わず、 
「君は・・・!!」
「また会ったねぇ、『ティミッド』さん♪
 でも今日は貴方には用が無いの。ごめんね?」 
気味の悪い笑顔を浮かべながらリリィの方に歩いていく。 
「そう。今日は『小鳥に親鳥を歌う子犬』さんに・・・ね♪」
「何者だ?!というかナオキング!」とタカチマン。 
「僕ですか?!」 
「あれお前の彼女「違います!!」 
ユーキンの割り込みにすかさずツッこむナオキング。 
「へぇ、ナオキの趣味はあーゆーゴスロリ系「趣味じゃないです!!」 
「カワイイ顔してそんなシュミが「いい加減にして下さい!!」
ジードとリュージにもツッこむナオキング。
「御免ねティミッドさん。私の周囲、磁場が狂ってるみたいでさ。
 近くの人とか、慣れないと冷静な判断力が無くなっちゃうみたいなの」
『闇』はそう言いつつリリィに歩み寄る。 
「彼、やっぱり小鳥を不幸にしちゃった。貴女はどうするの?」 
「何を・・・言って・・・」 
「だって今の貴女、哀しそうだもの」
『闇』の誘いは続く。
「協力、してあげる?貴女にはチカラは与えられないけど・・・手伝えるよ?」
『闇』らしかぬ、誘い。
「ナオキング、少し話がある」
そう言って、二人が部屋を後にした。
そして何故か『闇』への質問タイムに突入。
「きょうりょくってなんですか?」
「助けてあげること♪」
「ナオキノカノジョ?」
「違うよ♪」
「協力すると言ったが、具体的には?」
「私の知り合いを一人貸してあげる♪」
「さっきの磁場が狂うってどういうことですか?」
「んー…ちょっと説明するの難しいかな?」
いつの間にか和んでるよ博士(誰。
「貴女は…」
「ああ、『小鳥に親鳥を歌う子犬』さんには後でいくらでも答えてあげる♪」
そう言いながらおトメさんに手を伸ばす。
が、
「がうっっ!」
「痛っ!」
噛み付かれた。
「ああっ!おトメさん、油揚げ!」
今度は何処からとも無く投げられた油揚げに噛み付いたのであった。
執筆者…夜空屋様
バンガスの油揚げの調教も手馴れたものになっていた。
おトメさんをバンガスに任せ、一同は改めて少女に目を向ける。
精神異常者… 能力者の精神異常者か…
そうならば一刻も早くお帰り願いたいものだ。
だが、何か引き込まれるものがある。
これが少女の言う磁場だとでも言うのだろうか。
まず、敵ではない。理屈と直感の両面でそう判断出来た。
敵であるなら、こんな撹乱にもならない下手な交渉はしないだろう。
それと、能力者であることは間違いない。
さっきの磁場云々がそれだ。
既に何らかの術を仕掛けられたとも考えられる。
ただ、あまりにも不可解だ。
少女の言動には、人間的な何かがポッカリと欠如していた。
「……で、
 どうする? 協力、いるでしょ?
 貴女は今すぐにでも………」
「いいえ……!
 私はお嬢様を信じます。
 不確定要素を取り入れる事は出来ません」
リリィは強く拒否した。
異様な磁場を振り切るように。
それをきっかけに、他の皆もいつもの口調を取り戻した。
「うん、君の言う事は何か違うぞ」
ユーキンも珍しく可愛い女の子に釣られない。
「だな。提案の過程がズレてるぜ。
 解らないでもねェけどな。
 そういうのは得てして中身がないんだ、実際」
「まぁ、そう言うこった。
 ウチは訪問販売はお断りなんでな」
ジードとリュージが冷たくあしらう。
そこへ、別室から戻ってきたナオキングが少女の前に歩み寄る。
「なぁに? ティミッドさん?」
そして、やはりナオキングも少女を拒絶する言葉を発する。
「…僕はティミッドじゃないよ」
「………………」
「協力すると言ったけど、
 君は、協力したいの?」
「…………………………」
「君は何がしたいの?
 もしかして…」
「………誰も解ってくれないのね………」
「そ、そんな事は…!」
少女は悔しそうで悲しそうな表情を浮かべたまま、その場から消えてしまった。
ナオキング達はホッとしながらも、そこにはどこか後味の悪い空気が残った。

 

「何だったんだ?今の?
 正直、かなりヤバイ予感もあったが」
「あぁ、逆切れされるかと思ったな」
「アレでよかったんですか?博士。
 ちょっと可哀想…かも…」
「気にするな。
 だが…ガウィーの情報にあった前支配者、八姉妹、そしてSFES…
 やはり黄泉の門は開かれれているという訳か。
 敵とは別に、ああいうのも警戒しなくてはならん。
 アレは自分を人間だとは思っていない。
 似ているな……まるで……」
「似てる?
 誰にです?」
似ている、と口をついて出た言葉にタカチマン自身もその言葉を疑った。
ハッキリと脳裏に浮かぶデジャヴ。
だが、それが誰なのかが思い出せない。
「……いや、気の所為だ。
 それよりも、問題は、『我々がどうするか?』だ」
タカチマンの問い…
どうするか?というのは、単にSFESに対してだけではない。
皆が得体の知れない巨大な濁流のようなものを感じ取っていた。
「僕はやります…!」
珍しく真先に口を切ったのはナオキングだった。
執筆者…Gawie様
「……明日は雨か」
不自然な程に積極的なナオキングに対し、
タカチマンは何処か遠い目をして言う。
「茶化さないで下さいよ。
 僕の魔法でも協力出来る事位はあるんです。
 皆さんはどうするんですか?」
「お前…協力ってのもピンからキリだぜ。
 最前線送りとかなるとどうなるんだよ?
 嫌な事思い出させるが、101便での一件で、
 リゼルハンク…いや、SFESがどれだけ危険な連中かは解ってる筈だろうが」
未だに101便の一件を夢に見て魘されるメンバーが居て、
ナオキング自身も其の1人である事は既に全員が知っている。
だからこそ今回の件に対するナオキングの姿勢は一層、違和感を増して見えた。
「ええ。嫌な思い出です。だからこそ後顧の憂いが無い様に、
 僕達自身の手で決着をつけても良いと思うんです。
 そうでもしないと…悪夢からは逃げられない気がしますから。
 其れにこれは軍も出て来る様な作戦ですから、
 ちゃんと適材適所に配置して貰えると思いますよ。
 戦場でのお荷物にしない様、向こうも考えているでしょう」
「…んー?ナオキング君、やけにノリ気だなぁ?
 言っておくがしっかり活躍してミナさんに好かれるのはボクの役目なんだよ」
当面一番のお荷物となるであろうユーキンが、
眉と鼻の穴をピクピクさせながらナオキングを凝視するが、
其れにすら反応を示さずに「ユーキンさんは賛成と」とナオキングは呟く。
「…まあ軍や警察まで動くってんなら其処に乗じた方が安全だろうしね」
早速ミナに感謝される場面を想像してニヤケるユーキン。
そんな彼の意見を、バンガスが容赦無く一蹴する。
「御頭、此処に賛同者って書いてますよ。
 協力者は軍や警察の一部でしかないんです」
「其れにこれは火星帝も関与せず。火星帝の息子の作戦だ。
 しかも標的はあのSFES……どう転んでも唯じゃ済まない。
 こんな戦争染みたものに俺達が入ってどうこう出来るか。
 体良く使われて斬り捨てられても堪らんしな」
「何をぉ!?ミナさんのお願いを無視するかァ!?」 
「ユーキン、メイっテ人に惚レテるンじャなイノ?」
「ちっちっち、女性には優しくがジェントゥルメーンの絶対条件なのさ!」
どこでジェントルマンなんて言葉覚えたんだろう?とバンガスは思った。
それとジョイフルの言葉がだんだん正確になってきたような気がする。
「というか、本当に本田ミナからの依頼かも分からんだろう?」
確かに、と頷くバンガス。それにつられておトメさんも頷く。
その時、部屋の空気が少し重くなったことに気付いた。
全員気付いたらしく、周りに視線を泳がせる。
そして、視線が全てタカチマンに集中した。
「…どうした?」
「博士、後ろ!」
反射的に後ろを振り向く。
そこにいたのは、仮面のような物体。
丸く黒い目玉らしいものが無規則で視線を動かす。
仮面の中央に小さな突起物がある。鼻らしい。
突然仮面に線が引かれ、口がガバリ、と開いた。
「ヤミカラティミッドタチヘノデンゴンデス!!
 せいふぉーとノ血ガクワワッタモヨウ!!キヲツケヨ、トノコト!!」
大声で合成音のような声を上げる仮面。
「セイフォートの血…?」
「ナオ、ワタシハカクせいふぉーとニタイスルセンポウヲツタエルモノ、うぁっさごーデス!!」
金切り声を上げる仮面。不気味だが、『闇』ほどの圧迫感は無い。恐らく、精霊だ。
「あの女、ここまでして俺等に協力したいのか?」
「ヤミハすふぇすノメツボウヲネガッテイマス!!ソレガヤミノメクテキノヒトツデス!!」
リュージが言った言葉に反応したところを見ると、これは一種のロボットのような精霊らしい。
「ど、どうします?あんな不気味なの初めて見ましたけど…」
「とりあえず様子を見よう…」
だが、そんなタカチマンとナオキを気にせず、うぁっさごーと名乗る仮面は喋り続けた。
「ドウゾ、シツモンシテクダサイ!!」
「えー…胡散臭いなぁ」
「ゴアンシンクダサイ!!」
「ご安心出来ませんよ!」
かなり勝手な仮面だな、とタカチマンは思った。
「まあ聞くだけならタダだ。
 知っている情報を余さず伝えな」
執筆者…is-lies、夜空屋様
数時間後
『闇』の使い魔は全ての伝言を終えて既に消え去り、
今はナオキングやバンガスが速記したメモ用紙を、
タカチマン達がやや冷めた眼で眺めていた。
「セイフォートとは組織SFESが擁する生物兵器であり、
 其の能力は通常生物兵器の約3.5倍。
 現在までに6種が確認されている……か、
 ……101便内の連中はそんなもんじゃなかったがな」
「セイフォート420型…685型……1201型……
 セイフォートの血とは代謝機能を加速する新型の人造血液であり、
 全てのセイフォートはこれを動力源に切り替えている。
 共通して内部中心に血を循環させる肺があり、
 これを潰す事で安全にセイフォートを殺す事が可能
 ………ガセネタの可能性デカいな…こりゃ」
はっきり言って、タカチマン達が所有しているセイフォートの情報は少ない。
いや、殆ど無いと言って差し障り無いだろう。
恐ろしい力を持つSFESの兵器…其れだけである。
だが実際に戦った事のある彼等からすれば、
通常生物兵器の3.5倍の力という情報はどう見ても信用するに値せず、
後にある弱点云々も同様に其の信憑性が疑われる。
又、情報の出所からしてもリゼルハンク社資料室とあり、
『闇』という人物の素性が一層怪しく思われる。
寧ろ『闇』もSFESの一員で、偽情報による撹乱を狙っていると考えられなくも無い。
だが其れでは余りにもやり方が遠回し過ぎる。
やはり『闇』はSFESと敵対しており、タカチマン達に協力する気もあるが、
SFESに偽情報を掴まされてしまったと考えるべきであろうか。
「いや、僕達が101便で戦った連中が特別だったとも思えませんか?
 セイフォートと一口に言ってもピンキリなのかも知れませんし…」 
「可能性はあるな。101便の時も個々で実力が違うようだったし…おそらく中には弱いものもいるだろうな。少し整理しようか」
101便で戦った者たちの情報を思い出しながら、それを別の紙に書いていった。
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・シルシュレイ 強い 音に関係あり? 盗聴できる?
・ゼペートレイネ 合体能力 尻尾の剣で融合可能?
・ペンギン 声真似 すり抜ける? 口から変なものだすらしい
・アズィム 脳を食べて記憶を奪える? 本田宗太郎の衝撃波
・クリル 相手を眠らせる 翼で空を飛べる 空間に作用する能力?
・サリシェラ 運動能力強化? ←これとは別の能力あり?
────────────────────
「こうしてみると…ボクたち物凄い敵と戦ったんだね…」
ユーキンが珍しくそんなことを呟いた。
「そうだな…で、他に何か思い出せること、または気付いたことを言ってくれ」
タカチマンが促す。
「うーん…そんなこと言っても…」
「というかこの人たち全員がそのセイフォートだ、ってわけでもないんですよね?」
「ああ。私の勘だが…他の能力者とは何か違うとは思わないか?」
タカチマンの言葉に、ユーキンが何か気付いたらしい。
「確かにそうだなぁ…何だかやけに強いような気がするし…」
「…身体の、一部…?」
その呟きに、全員の眼がバンガスに向いた。
「からだのいちぶ?」
「うん、何かこの能力って身体の一部みたいに思わない?」
不思議そうなおトメさんに、バンガスが説明する。
「そういえば…アマノトリフネでも誰かいたような…あれは、鼻?うーん…思い出せないなぁ…」
ユーキンも思い出そうとするが、あまり思い出せないらしい。
「トッパナ!」
突然ジョイフルが叫んだ。
だが、何でそんなことを叫んだのか自分でもわからないらしく、しきりに首を傾げる。
「ああ!そうだ!そういえばそんな奴もいたっけ!そうだトッパナだ、あの付け鼻!…あれ?あとは何だっけ…うーん…」
ユーキンが思い出したところで、ほぼ全員の視線が自分たちに向いているのに気付いた。
「あれ?みんな、どうしたの?」
「…冴えてるぞ、お前たち」
タカチマンが驚愕の表情で言った。
「え?…どういうことですか??」
「そうか…なら説明がつく…」
そう言って紙に新たなものを追加していく。
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・シルシュレイ 強い 音に関係あり? 盗聴できる? ←耳
・ゼペートレイネ 合体能力 尻尾の剣で融合可能? ←尾
・ペンギン 声真似 すり抜ける? 口から変なものだすらしい ←口または声
・アズィム 脳を食べて記憶を奪える? 本田宗太郎の衝撃波 ←脳
・クリル 相手を眠らせる 翼で空を飛べる 空間に作用する能力? ←羽または翼
・サリシェラ 運動能力強化? ←これとは別の能力あり? ←?
・トッパナ? 鼻? ←セイフォートであるかは不明
────────────────────
「セイフォートの能力は恐らく生物の身体の一部を表している。
 つまり…『闇』の情報であるセイフォートの血というのは人造血液のようなものではなく、そういう能力を持つ能力者がいる可能性がある。
 …他にも能力者がいるだろうな。身体の一部を表しているのだから」
ここまで言って、タカチマンは一度深呼吸した。
「まぁ、ただの仮定だからな。今の八割が間違っているだろう。気にしないでくれ」
執筆者…is-lies、夜空屋様
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