リレー小説3
<Rel3.D1>

 

  リゼルハンク本社・社長室

 

高価そうな装飾のされたデスクに肘付き、 
真正面の扉を眺めるネークェリーハ。 
待ってた来客は指定の時間よりも30分早く来た。 
だが其れでもネークェリーハは不機嫌だった。
「掛け給え」 
促されるままにソファーへと腰掛けたのはロングコートの暗殺者『D』。 
ソファーには他にも3名の人物が腰掛けていた。皆、只ならぬ気を発している。 
早速、テーブルに置いてあった資料を手に取り、目を通すD。
「其れがターゲットの『ゼロ』という男です」 
「……あ」 
ターゲットの写真を見たのと同時に、其の名前も聞かされ、 
気の抜けた様な声を出すD。隣に座っていた人物がどうしたと声を掛けるが… 
「はぁ……俺も運がねぇな」
「そいつは上級の能力者でしてね…クズ能力者では歯が立ちません。 
 貴方々の様な優秀な……」 
言いながら、後ろに佇む秘書が入れた紅茶を飲むSFES総裁。 
其の時、ネークェリーハの眼の色が変わり、 
背後の秘書の顔面に、問答無用の裏拳を入れる。 
悲鳴を上げ、折れた鼻を押さえる秘書。 
「茶ぁ温い」
…この依頼……断ろっかな……
地獄耳で其れを聞き逃さなかったネークェリッハの睨みに 
眼を逸らすD。彼の気持ち悪い顔を直視したくなかった。
「では、『D』、『ガトリングジョニー』、 
 『ツヨシン』、『ゴルゴ31』…ゼロの首を期待しています」

 

 

火星内某所

 

「お〜い、貞宗ッ!」 
「…なんだ、Dか。なんの用だ?」 
「おいおい、わざわざこんな森ん中まで会いに来た友達に、『なんの用だ』はねぇだろ。」 
「お前が用もなく俺に会いには来ないだろう?」 
「よくわかってんね。」
「いいから用件を言え、お前と会話しているこの時間ももったいない。」 
「ゼロを倒すための修練だっけか?ご苦労なこった。」 
「…」 
「わかったよ、そう恐い顔で睨むな。これ見てみな」 
そう言って、何枚かの紙を常盤に渡すD。
「これは…!?」 
「そ、暗殺依頼。多分、依頼主はお前と一緒だろうな。」 
「…で、お前はどうしてここに居るんだ?」 
「ああ、敵いそうにないから、このままバックれようかなと。
 俺以外にも強そうな人居るし、俺一人くらならバレないだろうし。」 
「…なに?」 
「へ?」 
「依頼を受けたのはお前だけじゃないのか!?」 
「ああ、そうだけど?」 
「…ちっ!」 
そう言って、走りだす常盤。
「おいおい、どこ行くんだよ?」 
つられて走りながら、Dがたずねる。 
「あいつを倒すのはこの俺だっ!」 
「はいはい。俺も一応行きますか。」 
二人の男が、人並み外れた速さで街へと走っていった。
執筆者…is-lies、you様
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