リレー小説3
<Rel3.リゼルハンク跡地調査隊>

 

先制と牽制を兼ね、速やかに行動は行われた。
3日後には、あのタカチ魔導研究所を買戻し、
そこをロボット技研のタルシス支所とした。
この事自体はニュースにもならなかったが、
関係者から見ればリゼルハンク崩壊と何らかの繋がりを予想させるには十分だった。
しかし、売主の細川財団はあっさりと権利を譲り渡し、
落札予定であったリゼルハンクの担当部署からも何の連絡もなく、
後の調査では、そもそも社内での研究所落札の事実すら消滅していた事が分った。
シュタインドルフが組織した調査隊には、
タカチマン、イルヴ、ウェッブ、南天に、
ガトリングガンズからジョニー、リュージ、ジードが加わり、
更に、ガウィー、ミスターユニバースと、その紹介でごとりん博士も参加した。
「そうだ地下だ。
 崩壊現場も他の関連施設も地下を重点的に探せ。
 温泉が出ようが遺跡が出ようがとにかく掘りかえすんじゃ」
調査の手をリゼルハンクグループ全体に広げ、
各現場へ次々に指示を出しているのはこの錚錚たるメンバーだ。
「それにしても、
 まさかあのごとりん博士にお目にかかれるとは。
 とっくに引退されたのかと思っておりましたぞ」
「隠れる理由はいくらでもあったがな、
 今回はそれどころではないと言うだけの事じゃ。
 それに、ウェッブ先生よりワシの方が若いし」
研究所への機材の搬入も一段落し、
タカチマン達は一室に集まりテレビをつけた。
まさかここに居る者達よりも先に新情報が流れる事はないだろうが、
やはり気にはなる。
この3日間、相変わらずTVではビル崩壊の映像が流れ続け、
死者、行方不明者の数は時間を追うごとに増えていく。
中でも気になるのが、報道されている死者行方不明者数と、
ビル崩壊の瞬間の映像だ。
死者は最新の情報ではおよそ500人。
当然この数は少なすぎる。
その多くは崩壊の巻き添えを受けた周辺の建物と運悪く近くにいた通行人達であり、
リゼルハンクの瓦礫やその地下からは生存者はおろか、死体も肉片一つすらも発見されていないのだ。
そして、崩壊の映像も、報道されているものには疑問点が多い。
あまりに突然の事で目撃情報自体が少なく、
崩壊の手掛りになりそうな物は多くはなかったが、
中にはタカチマン達から見れば明らかに映像に修正が加えられているものもあった。
報道にも何らかの規制がかかりつつある。
これもシュタインドルフが行動を急がねばならない理由の一つだ。
「あれだけの建物だ。
 何かの衝突や爆発の衝撃ではこうはならん」
タカチマン達は今回配備されていた部隊が記録した映像を改めて見比べてみた。
「今のところ!
 巻き戻して、そこじゃ! そこで停めろ!」
「…コイツだな。
 木の根か、何かの触手のようにも見えるな」
「瓦礫の中から採取したコンクリート片にあった傷か…
 ガス、水道、電気、情報通信配線にそって縫うように付けられた傷跡…
 この触手のようなものが配管や配線を通じて一瞬で建物を覆い、
 そして、空にブン投げた」
「あり得ん事だが、そう見るしかないな」
「それだけじゃない。
 これを見てくれ。今朝現場で拾ってきた物だ」
そう言ってガウィーがポケットから何かを取り出し、テーブルの上に置いた。
壊れているのかディスプレイには何も表示されていないが、
それ以外は一見何の変哲もないデジタル表示の腕時計だ。
「ここだ」とガウィーが裏蓋を精密ドライバーで指し示した。
そこにはレーザーで焼き斬ったような直径1ミリにも満たない小さな穴が開いていた。
更にガウィーが裏蓋を開けるとそこには、
電子回路にそって何かが這った様な傷が残されていた。
「こ、これは…
 何かが電子回路を焼き切ったのか…」
「これだけじゃない。
 現場でガラクタを調べてみたが、
 情報通信端末は勿論のこと、
 電子レンジや冷蔵庫の電子基盤までやられていた」
「つ、つまりあの触手のようなものは、
 単にビルを砕いただけではなく、
 配管や電気配線を通じて、建物内の全て設備を破壊し、
 更に、直接接続されてもいないこんな小さな腕時計に至るまで
 完全に破壊し尽したという事か…」
「念のいった自爆か…
 そうでなく、これが他の何者か仕業であれば…
 SFESは消されたと思ってもおかしくはないな…」
「だとすれば…
 この触手…こいつは一体なんなんだ…?」
「それこそ神か…
 馬鹿な、下らん」
「兎に角、今はリゼルハンク関連施設、
 組織を徹底的に洗うしかないじゃろう。
 特に、LWOSあたりな」

 

この謎の触手は他にも目撃されたと思ったほうがよいだろう。
テレビで放送されている映像にそれが映っていないのが何よりの証拠だ。
リゼルハンク崩壊の原因を何者かが隠そうと、既に手を打っているということである。
タカチマン達は何よりも調査を急がねばならなかった。
執筆者…Gawie様
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