リレー小説3
<Rel3.『青』2>

 

 

 火星・イオルコス

 

「此処だ」 
イルヴが目の前にある建物を指す。 
その建物は以前『青』が京都で見たイルヴの魔術用具店より明らかに小さかった。 
「此処…って、かなり小さくないか?」 
『青』が文句を言うように呟く。 
「仕方が無いだろう。土地を欲しがる輩は幾らでもいる。
 我々だけ特別扱いという訳にはいかないだろう。
 さて、立ち話は此処までにして、中に入るぞ。まだ片付けが済んでいないのでな」
そう言うとイルヴは建物のドアを開けた。
中はダンボールが幾つも積み重なっているが、 
ゴチャゴチャしている印象は無い。 
どうやら『青』と別れていた間に片付けをしていたのだろう。 
イルヴが別行動をし始めた時から4時間が経過している。 
其の間にイオルコスで家の話を纏め、荷物を詰め込み、 
アテネへと戻って『青』達を探し見付けたという訳だ。 
テレポート能力があるイルヴならではの芸当であった。
「取り敢えず、これを片付ける。 
 手伝ってくれ」
あれこれと指示するイルヴに従い、 
テキパキと荷物を整理する『青』とエース。 
戦士系の2人にとっては大した労働でもない。 
あっという間に、雑ではあるがプロの斡旋所らしくはなった。
「御苦労だったな2人共」 
椅子で一息吐いている『青』達に、 
イルヴが飲み物を御盆に乗せてやって来る。
「あ、有難う御座いますイルヴさん。 
 ………結構、様になって来ましたね…」 
「早く依頼来ねーかな? 
 直ぐに此処有名にしてあげますよ!」 
既にかなりやる気の2人。 
『青』はイルヴの事を思ってか、エース以上に気力に溢れている。
「まあ…軽く宣伝はしたが…… 
 ………そう直ぐに来たりはしないだろう。 
 気長に構える事だ」
執筆者…is-lies

 

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