リレー小説3
<Rel3.『青』16>

 

軍によるリゼルハンク社の武力制圧―――
あの話があってから、
そろそろ約束の一週間が経つ頃だというのに、一向に連絡らしきものはなかった。
イオルコスのイルヴの店では、いつ来るか分らない客を待ちながらも、
イルヴはブ厚い取扱説明書と格闘していた。
仕事にどうしても必要だと青達に説得され、
イルヴは渋々ながら初めて携帯電話というものを手にした。
「大体必要な連絡先は俺が登録しときましたから、
 とりあえず、使ってみましょうか?
 じゃ、鳴らしますね」
「む、コッチのボタンだったな」
「あ〜イルヴさんそんなにグリグリ押さないで、
 ピッて押せばいいんですよ。ピッって感じで」
「こ、こうか?
 あ〜もしもし」
「…イルヴさん、逆、上下逆…」
「やっぱ、最新のBITSにしとけば良かったかなぁ。
 むしろイルヴさんにはそっちの方が」
「あぁ、あの脳に携帯埋め込むヤツですか?」
「むぅ、頭に機械を埋め込むなど信じられん。
 やれやれ、機械は苦手だ」
イルヴは諦めて携帯の取扱説明書を机の上に放り投げた。
そんな状況を見計らったように、
待っていた報せが届いた。
「…郵便…」
と、挨拶もなし店に入ってきた郵便配達員が封筒を投げるように置いて、
無言で出て行った。
その封筒の中身は………
『ナクソス島〜クノッソス島豪華クルーズ』
「旅行のチケット4人分や、
 全員で旅行出来るやん。
 イルヴさんいつ応募したん?社員旅行なんて嬉しいわ〜」
「…ってこれ、出航明日だぞ」
シェリアを除く全員が、このチケットの意味を直に理解した。
「…来たか……
 シェリア、すまんがお前は留守番だ…」
「え……………
 ま…確かにそうやな。誰か留守番せんと…
 しかしそれはあまりにも〜」
「いや、シェリア、コレ旅行じゃなくて仕事だから。
 …てかお前いつから社員になったんだよ…」
「兎も角、シェリアを連れて行くわけにはいかん。
 一応聞くが…
 青、エース、お前達はどうする?」
イルヴの問いに、青、エースは即座に黙って頷いた。
「解った………
 仕事は仕事、それ以外の事は聞かん。
 さて………
 チケットが一枚余ったな。
 エドワード、お前はどうする?」
仕事は仕事とは言っても、
仕事として割り切るなら、こんな依頼は聞くまでもなく断るのが当たり前である。
青達にしても、タカチマン達にしても、今回ばかりは無視できないのだ。
そしてそれは、エドワードにとっても同様だった。
「…なんか、アンタら、
 こういう選択肢には慣れてるって感じだな。
 選択肢があるようで実は強制的……
 やるしかないじゃないか…」
 ――それを断ち切るために――

 

同じ頃、これと同じチケットがタカチマン達の元にも届いていた。
ついに、『その日』が来たのだ。

執筆者…Gawie様

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