リレー小説2
<Rel2.SFES2>

 

アテネ…テラ・フォーミング計画によって形成された火星首都であり、 
現在、非合法組織SFESの潜伏している都市でもある。 
摩天楼の並ぶ都市中心部、隠れ蓑である多角企業『リゼルハンク』本社ビルに彼等SFESは居た。
「アウェルヌス…前支配者の1柱が軽率な行動を取ったものだ……
 ……いや、あやつ等はそもそも全員軽率だったな……」 
無言でワイングラスを隣に佇む緑髪の女に差し出して赤ワインを注がせる。 
芳醇な香りが鼻腔を満たし、濁った老人の気分を癒す。 
「宜しいのですか?前支配者を野放しにして…」 
彼女…以前、大名古屋国大戦の首謀者である『本田宗太郎』の側近を務めていた彼女からすれば、
前支配者は憎しみの対象でしかなく、声にも憎悪が表れている。
何故なら、宗太郎の計画を後一歩の所で滅茶苦茶にしたが前支配者だからだ。
「あの無能な総裁が停止信号を出すのは解りきっておる。 
 心配するな。所詮、前支配者はワシ等を越えられん」 
「?何を言って…彼等の頭脳や能力は 
 貴方も驚嘆すべき所でしょう?」 
「くく…如何に能力があろうと聡かろうと 
 あやつ等は子供に過ぎん。あしらう事等、訳無い」 
「こ…子供??」 
「彼奴等の行動はまるで子供だ。 
 大名古屋国大戦に於いて 
 記憶操作ウイルスJHNの効果を発揮しておきながら、態々全世界と戦う愚かさ… 
 ホワイトハウスを破壊する幻覚を見せたのに何の意味がある? 
 何故、原初の能力者達が来るより早く、AD計画を実行しなかった? 
 答えは簡単。意味等無い。 
 強いて言えば『楽しいから』だな。 
 奴等は楽しければ其れで良いのだ。 
 あやつ等の目的も『世界の崩壊、そして創造』だが、 
 其れも自分達が世界を好き勝手したいという理由だけ。 
 宗太郎めが言うところの……何の思想も持たぬ小童という事だ」 
ワインを啜る老人の言葉に唖然とする緑髪の女。 
「ショックか?お前の昔の主を乗っ取ったのが、其の程度の小物であったという事が。 
 まあ、安心しろ。ワシ等の助力が必要とはいえ、先程言った様に能力もあるし、頭も良い。 
 用済みになったら2〜3柱お前に宛がってやる。 
 奴等が更なる違約を犯した時だがな…」 
「…シルシュレイ達は大丈夫でしょうか?」 
老人の言葉に、仲間を案ずる女。こういう所は昔と同じだ。 
「あの姉弟がおるだろ?奴等の力は前支配者に打って付けだ。 
 ああ…そういう意味ならアズィムもそうか。 
 其れにSFEL所長のレイネに生物学スペシャリストの『ペンギン太郎』… 
 SFES最強のシルシュレイ…万が一は有り得ん。 
 奴等は攻めのタイミングも引き際も弁えておるからな。 
 何より相手が権謀術数に無知な朴念仁だ。 
 此方の対応が少々遅れたところで、 
 先回りする術は幾つも用意しておるわ」
ワイングラスの底に残っている一滴を飲み干し、 
不敵な笑みを浮かべる白髪の老人。 
其の眼に前支配者は映っていない。 
「ライズに『小眼』をバラ撒く様、伝えぃ。 
 奴等の奇妙な程に真摯な様子を見るに 
 此処か地球か断定は出来んが、直ぐに大事が起こるぞ」 
「はっ!」<Rel2.sfe2:1>
執筆者…is-lies
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