リレー小説3
<Rel2.LWOS 4>

 

「箱舟」本部・中央エリア

 

「箱舟」中央エリア・・・・・複数の居住エリアの中にそびえ立つ鉄の巨塔・・・・・
ベリオム達はそこに向かって歩いていた。 
彼等は先程、転送リングを利用しこのエリアまで戻ってきたのだ。
「バルハトロス・・・・・文句の一言でも言わねえと気が済まねえ・・・・!!
 アイツ、俺達を殺す気かよ!?」 
ベリオムが呟く。
それを見てマリーエントは思う。 
バルハトロスは自分達を殺すつもりで「処刑人」を放ったのだ。
「感情」を持った自分達を処分する為に。 
彼女はふと、ある人物の事を思い出す。 
マリーさん・・・・・)

 

数分後。

 

タワー30階・所長室

 

「バルハトロス!!アンタ、俺達を殺す気か!?」 
ベリオムが勢いよくドアを開け叫ぶ。
「・・・・お前達が逃げ遅れただけだろう。
 ・・・・まったく、そんな暇があるならさっさと敵を掃討してこい・・・・・」 
バルハトロスはそう呟きながらも、忌まわしいといった眼をマリーエントに向ける。
内心、煮え繰り返るマリーエントであるが、 
この男に逆らう事は出来ない。 
ベリオムを何とか落ち着けさせようとした其の時…
端末のモニターに映る転送リング室、 
其処にSFESの蟻型異形がちらほらと発見出来た。 
外部の異形衛星からの情報を受け、敵の司令室を目指して来ていたのだ。 
慌てて扉をロックし、隔壁も下ろすバルハトロスだが、 
これも時間稼ぎにしかならないだろう。 
又、外部への攻撃がどんどん減っている事に気付く。 
『箱舟』内部で各下部司令室が直接占拠されてしまったのだろう。 
思案を巡らせるよりも早く、 
『箱舟』内に放送が響き渡る。其れはLWOSの放送ではなかった。
《初めまして。親愛なるLWOSの皆様。 
 私はSFESエージェント『フランソワ』と申します。 
 残念ながら今回の攻撃は我がSFESの一角に過ぎません。 
 皆様の勝機は無きに等しい。降伏なさい。 
 我がSFESは来る者を拒みません。
 そもそも我々SFESと皆様LWOSの目的は似た様なものです。 
 より巨大な流れに移る事に何の問題がありましょう? 
 まあ、色好い返事が直ぐに頂けるとは思っていません。 
 じっくりと御考え下さいませ。 
 そして…これは親愛なる皆様へ私からの忠告です。 
 死にたくなければ『箱舟』最大の司令室と思しき箇所へ退避下さいませ。 
 以上です》
通信が途絶え、ジェールウォント達が歯噛みする其の頃、 
外部のフレディックもフギン・ムニンの攻撃に苦戦していた。

 

  『箱舟』周辺宙域

 

折角の援護が徐々に弱まり、異形衛星が勢いを取り戻して来た。
更に戦闘中の2体に加え、情報収集中の17体の内から7体が援護に来た。 
又、一箇所に纏まらない方が良いと判断したのか、分散してラウ・レーガを包囲する。
何故かは知らないがSOLは使わず、パイルバンカーでの攻撃に切り替える異形達。 
これならSOLよりは回避し易いし、一撃のダメージも少ない。 
だが如何せん、数が多過ぎる。
「これじゃどっちにしろ苦戦は必至じゃねえか・・・・」 
再び彼の顔に汗が滴る。

 

 

「白き翼」航宙機一室

 

「・・・・・彼等にしては遅いですね・・・
 普段ならこれくらいの事ならそろそろ連絡が来る筈・・・・」 
総帥がそう言い掛けた時、部屋にアナウンスが鳴り、モニターに団員が映る。 
「リヴァンケ」様!火星宙域座標25:30:97に「ルーラー」らしき波長を探知!
 いかがいたしますか?》
総帥・・・リヴァンケは「ルーラー」という言葉に即座に反応し、返事を返す。 
「・・・直ちに諜報室第一部隊と第十五部隊を派遣。捜索しなさい。」 
「ハッ!!」 
団員は敬礼をする。
執筆者…鋭殻様、is-lies

人事データバンク前通路

 

「・・・大丈夫か?」 
ロネが床に倒れこんでいる男・・・LWHに話し掛ける。 
先程チューンドキメラに倒された者の内の一人である。 
どうやら力を振り絞りここまで来たらしい。
「・・・ロネ隊長・・・お判りだとは思いますが・・敵は一体・・・
 甲殻に・・・包まれた・・・三頭獣・・・・」 
そういい残すと、LWHは動かなくなった。 
ロネはその服に付いていたタグを見る。
「・・・・コード0125・・・・「アル」か・・・・
 初期の番号・・あの人が名をつけた範囲だな・・・・」 
ロネの脳裏にある女性の姿が浮かぶ。
が、それを振り払うと、ロネは立ち上がり、周りに立っていたLWH達に指示を出す。

 

 

  『箱舟』人事データバンク

 

動きが格段に遅くなったものの、相手は元々戦闘用に調整された生物兵器。
非戦闘タイプ能力者のクレージェで戦うには荷が重い。
そして遂にチューンドキメラがクレージェの目前の端末をも操作し始めた。
(………やるしかない…)
と、クレージェが覚悟を決めた其の時に現われたのは…
ロネ率いるLWHであった。
「ギィ!?」 
突然の来訪者に警戒し、すぐさまに距離をとる三頭獣。 
ロネ護衛のLWH達が連携してチューンドキメラに攻撃を仕掛けるものの、 
敵は素早く彼等の攻撃を避け、司令塔であるロネへと向かう。 
だが、LWH達は態と脱出口を用意していたのだった。 
圧倒的な素早さを持つチューンドキメラと戦っては不利は否めない。 
よって、ロネはLWH達を使って、敵を自分の所へ誘き寄せたのだ。 
来る方向さえ解かっていれば迎え撃つのは容易い。
ロネの放ったチャクラムによってチューンドキメラは 
呆気なく心臓を破壊されて前のめりに倒れた。 
これが司令塔の無い時とある時の差である。
(強い……)
隠れていたクレージェはロネの圧倒的な戦闘力に息を呑む。 
チャクラムの一撃であの異形の甲殻を難無く貫いた… 
武器そのものは特殊なものではなさそうなので、 
ロネ自身の力が桁外れであったという事なのであろう。
何はともあれ、人事データは守り通せた様だ。
「・・・そこのお前。」 
ロネがクレージェの隠れている机の方を向いて言う。
どうやら既に気かれているようである。
(・・・・どうやら無断侵入した事に関して何か怒ってるみたいね・・・・)
しばらく考えると、彼女は観念し、ゆっくりとロネ達の前に出て行く。
LWH達がクレージェに向けてライフルを向ける。
「・・・・・何をしていた?」 
彼がそう言い、クレージェに近づこうとした時、ふいに通信機の着信音が鳴る。
彼はすぐにそれを取り出す。
「・・・・・・・・・はい、こちらロネです。・・・・・・・・・判りました。
 ・・・至急部下に連れていかせます。・・・はい、では・・・・」 
ロネは通信を終えると、クレージェの方を向く。
「・・・・・ご同行願おうか。」
戦闘能力に差があり過ぎる。 
抵抗は愚行だろう。大人しく身柄を拘束させるクレージェ。
「女王蟻の討伐は私とA班に任せろ。 
 残りは此方の御姫様を司令室へエスコートしろ」 
通信機を切り、ロネの部下数名がクレージェを護送しようとした時…

 

  ドガァァアアアン……

 

「?何だ、敵か?」 
遠くから聞こえて来た爆発音。 
だが其れは1回のみでは終わらず何度も連続して聞こえる。 
只事ではないと感じ、直ぐに通信機でバルハトロスと連絡を取るロネ。
《ロネか、一体何があった?この爆発は何なのだ?》 
歩きながら応答を待っていたロネ一行の許、 
漸くバルハトロスからの応答があった。
「私が知りたい程だ。 
 監視カメラでの映像は?」 
焦るバルハトロスに各区画の情報を探らせるロネ。 
バルハトロスは確かに有能で頭も良い。 
だが所詮は盤上の駒を動かすだけの知恵者だ。 
こういう非常時に対面し、冷静さを容易く失う。 
少なくともこの場面に於いてはロネが知者と言えよう。
《こ……これは…外壁の区画が次々…… 
 ………ば…爆発している!爆弾なのか!?》 
暫くしてから急に声を荒げて叫ぶバルハトロス。 
「爆弾だと?そんなものを仕掛ける時間が何処に………」
突如、先の人事データバンクが爆発した。 
爆風に軽く吹き飛ばされる一同。 
「…………まさか……」 
今度は通信機からでなく、 
『箱舟』全域へと放送が流れた。 
又もやSFESの放送だ。
《SFESのライズだ。『箱舟』に侵入した生体兵器は 
 細胞一つ一つに爆弾としての機能が備わっている。 
 尤も、エーテルに造詣の浅い君達がどうこう出来るものではないがな。 
 10分間だけ時間をあげよう。直ぐに司令室へと向かい給え。 
 司令室周辺以外を全部爆破させて貰うからね》

 

 

「箱舟」遠方宙域

 

「おいおい・・・・一体そっちじゃ何が起こってんだァ?
 こっちからは外壁が爆発してるように見えるんだがな?」 
《・・・見ての通りよ。内部に入った異形が自爆し始めてる。
 さっきも人事データバンクが吹き飛んだわ》
「あっちゃ〜・・・・・・素直に喜んでいいんだか良くないんだか・・・・
 こりゃあ、総帥に御目玉喰らうぜ。任務失敗なんつったら。」 
《・・・・なら更に御目玉をもらうわね。今LWOSに拘束されてるから》
「はぁ!?・・・・・おいおいおい、冗談だろ?・・・・勘弁してくれよ・・・・・・」
ジュネーヴァは暫く考え込むと、 
「しょうがねえ。俺は一度総帥んトコ戻って状況報告してくるわ。
 今後の事を検討する必要があるしな。」 
《・・・頼んだわ。それと・・・・・》 
「何だ?」 
《私とフレディの後任も一応探しておいて》
クレージェからの返事にジュネーヴァは頭を抑える。 
「縁起でもねえ事言うな!!・・・・ったくよォ・・・・
 そういう事は現実に起きてから考える事だろうが・・・・・」 
そう返事を返すと、彼は航宙機と共に火星の方角へと消えていった・・・
執筆者…鋭殻様、is-lies

「良いか?これから最寄の転送リング室に向かう。 
 妙な気は起こさない事だな」 
捕獲したクレージェに釘を刺してから走り出すロネ達。 
後ろのLWH達に急かされる迄も無く、クレージェも後を追う。 
十分な時間があった為か、あっという間に彼等は司令室へと到着出来た。

 

司令室のモニターは8割以上が機能を停止している。 
あちこち爆破されて連絡が取れなくなっただけか… 
下部司令室丸ごと破壊されたのか。 
どちらにせよ、『箱舟』下層部に比べればマシだ。 
『箱舟』四方に突き刺さったSFES輸送機は、 
乗り込んで来た蟻達とは比べ物にならない爆発を起こし、 
更に其の四方其々の間を埋める様に配置した蟻の爆破により、 
『箱舟』は下層部を丸々切り取られてしまったのだ。 
上層部も被害は甚大だ。
外部の敵衛星が『箱舟』上部に取り付き自爆したからである。

 

 

『箱舟』・所長室

 

「クッ・・・・・!!」
バルハトロスは被害の報告を見、机に手を叩き付ける。
「被害は甚大です。降伏したほうが良いのでは無いのかと・・・・」 
「ふざけるなっ!!
 ・・・・・貴様、まさかSFESに付く気ではないだろうな・・・!!!」 
「そ、そんな事・・・・・!!」
彼、バルハトロスは焦っていた。このままではこちらが確実に負ける。
しかしだからといって降伏する事は彼にとって屈辱であった。 
彼の脳裏に或る男・・・・SFESのヴァンフレムの、自分を嘲笑う顔が浮かぶ。
「・・・・私の方が上だ・・・・・貴様などに敗れるモノか・・・・・!!」 
彼はゆっくりと、力強い声でそう呟いた。
《落ち着け。ここは取り敢えず撤退だ。》 
いつの間にかモニターに映っていたロネが言う。 
「・・・・・クッ・・・・!!全部隊、司令室に帰還せよ!!
 これより月へと移動する!!」
「箱舟」全区画に撤退命令が出された。

 

 

箱舟外壁

 

「・・・・・終わった、のか・・・・?」 
汗で濡れた髪を掻きながらフレディックは呟く。
モニターは正常に作動している。先程の自爆で敵は全滅したのだろう。 
「・・・とりあえず、「箱舟」の方へ戻るか・・・」

 

 

タワー内通路

 

ベリオム等はその時、オルフィエを安全な場所に移動させる為通路の途中にいた。
「・・・・爆発が、止まった・・・・・」 
「・・・終わった、の・・・・?」 
「・・・・」 
呆然とした顔でその場に立つ三名。
執筆者…is-lies、鋭殻様

「箱舟」は大きな損傷を受け、三基あった推進装置の内、
一号機「トリストラム」、二号機「ランスロット」は下部と共に宇宙の塵と消えていた。
現在は緊急用に上部に設置された推進装置三号機「アーサー」のみが稼動している状態である。

 

司令室内

 

研究員や量産型兵士、一般兵が行き来する慌しい状況の空間の一角にある部屋。
そこではロネがバルハトロスと交信をしていた。 
後ろにはクレージェがいる。
《・・・・拘束には成功したようだな・・・・こちらはフレディックを拘束した。》
クレージェはバルハトロスの発言に眉を顰める。
「・・・・後でこの女とフレディックの二名は私が尋問にかける・・・・・
 ところで、先程からアレット達の様子が見えないが・・・・・・」 
《・・・・アレットの奴なら少々問題が発生してな。今は治療施設にいる。
 ベリオム達は私の部屋に来た後どこかへ行ったよ。》
「・・・・・そうか。」 
交信を終えると、ロネはクレージェの方を向く。
「これから尋問をさせてもらう。
 一応言っておくが、抵抗は身の為にならないから止めておけ。」 
ロネは外へ出てクレージェを量産型兵士に拘束させると、彼等を引き連れ司令室を出て行った。

 

 

  『箱舟』・尋問室

 

狭い尋問室に連れ込まれたクレージェが見たのは、 
自分と同じ様、兵士に拘束されたフレディックだ。 
椅子に座ってイラついた様な顔をしている。 
無理も無い。 
白き翼の隠れ蓑に過ぎないLWOSが 
こんな所で反乱を起こすとは予想出来なかった。
いや、客観的に白き翼とLWOSの関係を見ると、回避出来た事でもあった。 
表向きには白き翼はLWOSの投資者に過ぎないのだから。 
だが、フレディック達は其の能力でLWOSを牽制する事も出来た。 
SFESとの戦いさえ無ければ。 
要するにフレディック達の情報不足… 
SFESの攻撃による混乱が合わさった結果でもある。
入って来たクレージェを見て一瞬、顔を引き攣らせ、 
落胆した様に肩を落とすフレディック。 
其のままクレージェは兵士によって、 
フレディックの隣の椅子に座らせられる。 
テーブルを挟んだ対面にはロネが着席した。
「さて…早速本題に入るか… 
 どうしてLWOSに入り込んだ? 
 其れは私達を見縊っていたと言う事か?」 
「・・・・はあ、つれない人達だねぇ・・・・援護しに来たってのに・・・・」 
フレディックはクレージェの方に眼を少し向ける。 
クレージェは其れの意味を察すると、一瞬何かを念じる。 
《いいか、クレージェ、俺の言う事に口裏合わせろよ》 
《うん》
彼女の返事は先程の格納庫でのモノとは明らかに違っていた。 
返事を確認したフレディックはロネの顔をじっと見る。
「・・・・・何だと?」 
ロネもフレディックを睨みながら言葉をゆっくりと発する。
「ったく、おつむの弱い兵隊さんは困るぜ・・・・・
 いいか、俺達はあんた等が襲撃されてるって聞いたんで援護に駆けつけようとした。
 だが連絡しようにもちょっと問題があってな。仕方なく無断で駆けつけた訳。お分かり?」
「・・・・少し気になる事がある。何故其処の女がデータベースに居た?」 
ロネがクレージェを指差しながら言う。
「・・・貴方達は本当に何も判ってないのね・・・・・
 私があそこに居たのはSFESからデータを守る為。
 後で他のデータベースのデータもコピーして一時的に保管つもりだったの。」 
それに対してロネはすかさず返事を返す。 
「・・・では何故「人事データベース」に居た?
 ・・・人事データベースよりはSFESが狙いそうな研究施設のデータの方を守るべきだろう・・・
 まさか、人事データにある自分達の組織のデータだけを守る気では無かったのだろうな?」
「考えすぎだっての。コイツは全部のデータを守る気だったんだよ。少しは信用しろよな。」 
はぐらかそうとするフレディック。しかしロネの言葉は続く。 
「・・・・ひょっとしてお前達、我々を白き翼の隠れ蓑か何かか勘違いしていないか?
 我々と白き翼はあくまで「対等」な協力関係の筈だ。
 だが今回お前達は無断で箱舟に侵入、あまつさえ許可も無しにハッチを使用・・・・・
 とても対等な関係を目指しているようには思えん。
 其れに、無断で駆け付けた割には妙に存在を隠していたな。 
 バルハトロスの居る司令室に迄、無断で来る事はないだろう。 
 もっとちゃんとした話を聞かせて貰いたいものだな」

 

尋問の様子を監視カメラで窺っていたバルハトロスが、 
眉間にシワを寄せながら今後の行動を考える。 
白き翼は自分達LWOSを軽く見ている。 
あのフレディック達の態度からしても一目瞭然だ。粛清が必要か… 
いや、其れでも大事な協力者だ。失う訳には行かない。 
救われた事とて事実。 
併し其れで全てを無かった事にし、 
再び対等な関係でいようと握手出来る程、 
バルハトロス・レスターという男は穏健ではなかった。
「ロネ、そいつ等はどうあっても口を割らん。 
 ……自白剤を使用しろ。自殺されぬ様、細心の注意を払ってな」
執筆者…鋭殻様、is-lies

航宙機内・リヴァンケ専用室

 

リヴァンケと黒髪の筋肉質の男・・・ジュネーヴァが会話をしている。 
「・・・・成る程。つまり彼等は捕まったと。
 それで連絡が無かったのですね・・・・」 
リヴァンケは仮面を抑えるようにしながら言う。
「マズイぜ、総帥。奴等がもしアイツ等を人質としてして何か要求してきたりしたら・・・・」 
リヴァンケはそれに対して首を横に振る。 
「それはまず無いでしょう。バルハトロスはそういう性格ではありません。
 彼は私達のような協力者とそう簡単に決裂するような人ではありませんよ。」 
「確かにな・・・・・」
その時、アナウンスが再び流れ、モニターに先程の団員が映る。 
《リヴァンケ様。「カーデスト」様並びに「ミルディール」様の部隊からの報告です。
 「部隊は「ルーラー」出現地点まで移動したが姿は見られず。
  残留エーテルを少量だが検出。」
 ・・・・との事です》
「・・・・やはり逃げられましたか。仕方ありませんね。」 
そう言うとリヴァンケはジュネーヴァの方へ向き直る。
「とりあえずは・・・・彼等の救出ですね。行きますよ。「箱舟」へ。」 
リヴァンケははっきりとした声で言った。
リヴァンケはジュネーヴァと共にフルステルス強襲揚陸艦に乗り込んだ。 
揚陸艦の前方には突撃し、敵艦に乗り込むための4本の爪がある。
遠くから見れば巨大な悪魔の腕のような印象を与える。 
強襲揚陸艦の周囲は3機あまりのラウ・レーガに守備され、 
その内部にも団員を30名ほど連れてきている。 
団員も白兵戦用に鎧を装備し。手には各々の装備を握っている。 
この揚陸艦は10あまりの部屋からできていてその中でも 
先端部分の爪に隣接する部分に団員を待機させている。 
通路には重力が無く、重力があるのは各部屋と艦橋だけである。
リヴァンケはジュネーヴァと共に艦橋に立っている。 
「総帥。やはりアンタも出撃するつもりか…。」 
総帥の忠実なる配下がその忠義の対象に質問する。 
「…たまには動きませんと、体に毒ですからね。」 
蒼いマントを左腕で払うような動作をしながら答えた。 
「…。」
ジュネーヴァは黙り込んだ。
「ジュネーヴァ…この剣を持っていきなさい。」 
総帥は腰に差していた剣をジュネーヴァに渡し自室に戻っていった。
武装は飽く迄、最悪の事態に発展した場合のものだ。 
リヴァンケもLWOSという『盾』をそう易々と見放す気は無い。
「さぁ、通信を始めて下さい。逆探知は気にしないで下さい。 
 彼等は恐らく我々と対等な関係を求めて来るでしょうし、 
 此方も其れを呑めると言う意思表示をしないと。 
 ……………外向けにはね」
執筆者…鋭殻様、タク様、is-lies

   『箱舟』・尋問室

 

捕虜となったフレディックとクレージェが 
自白剤を投与されそうになった正に其の時。 
『箱舟』に何者かが通信して来たのだ。 
だが、これはLWOS所長バルハトロスも予測していた。 
これ程、対応が早いとは思わなかったが…
「…来たか、白き翼…… 
 何と言って来ている?」 
「えーと…交渉をしたいと… 
 一応、武装はしているものの敵意は無いそうです」 
オペレーターの「どうします?」という言葉に、 
バルハトロスは迎え入れる様に指示した。
こうして、LWOSと白き翼の対談が行われる事となった。

 

 

白き翼揚陸艦

 

「・・・・という事で。貴方達も早々に此処に向かってくださいね。」 
リヴァンケがモニターに映った二人の人物にそういい放つ。 
一人は黒いコートを羽織った茶髪の男性、
もう一人は少女で、黒髪で赤茶色のタートルネックを着ていて、
心成しかその顔つきはクレージェに似ていた。
《相変らず言いたい事を言って勝手に切ろうとするな。貴方は。》
《・・・カーデスト。この人には言っても無駄よ。》
《・・・だが、アイツ等をこのまま放っておくのも問題だな・・・・
 俺は今からそちらへ向かう。それまでは交渉を頼むぞ。》
《・・・・私も・・・今からそっちへ向かう。
 姉さんを放っておく訳にはいかないし・・・・》
「フフ、貴方達らしいですね。
 なるべく早く来てくださいね。「カーデスト」「ミルディール」。」 
その言葉を聞くと、カーデストとミルディールは一礼をし、通信を切った。
「・・・・これで三名は参加確実と・・・・」 
「そういえば、「幹部長」「ルージェント」は来ないのか?」 
ふいにジュネーヴァが後ろから話し掛ける。
「ええ。「リツィエル」は火星で姉の墓参りを、
 「ルージェント」は現在火星でSFESやその他要注意組織のマークをしていますから。」
「そうか・・・・おっと、あちらさんから通信みたいだな。」
ジュネーヴァが着信音の鳴っている端末を指差す。
執筆者…is-lies、鋭殻様

  『箱舟』・格納庫

 

何とか残っていた格納庫には、 
フレディックの乗っていた機動兵器ラウ・レーガが収納されていた。 
其の周りをエンジニアや学者らしき男女達が集まって、 
目前に聳える巨大人型ロボットを見上げていた。
「調査の結果、機体の50%に 
 アダマンチウムとミスリルが使用されている事を確認致しました」 
「これが白き翼の……いやはや 
 半分もレアメタル製だったとは恐れ入った…… 
 何処から仕入れているのやら…」 
「マリーエント殿はどう見ますか?」 
「…そうですね……外部から買った事は有り得ないでしょう。 
 こんなレアメタルはそう易々と手に入るものではありませんし、 
 直ぐに足が付いてしまいます。盗まれたという話はありませんし、 
 自給自足…という所でしょうか…」
技師達と話し続けるマリーエントを他所に、 
ベリオムは機材の入った小さな箱に腰掛けて、ラウ・レーガを眺めていた。 
「こんなモンを造っといて…技術提供は一切無しか。 
 白き翼………やっぱり、いけ好かない連中だな」 
「で…でも、このロボットの御蔭で助かったんですし…」 
冷たい床に体育座りになっているオルフィエは、 
寧ろ、LWOSの方で妥協する事を望んでいた。 
先のSFESの襲撃から間を置かずに白き翼との交渉… 
不安でならないのだ。 
もし決裂等した場合は、『箱舟』は沈んでしまうだろう。

 

 

  箱舟内一角

 

なにやら防護服を着た者達が細菌検査用の機械を持ち歩いている。
どうやら先程の攻撃の際に
ウィルスが入ってきていないかバルハトロスの命令により調べているらしい。
男達の通信機が鳴る。バルハトロスからのモノのようである。 
《どうだ?何か変化はあったか?
 ・・・・無いのならそれで構わんのだが》
「現在・・・反応、無しですね。
 しかし所長、あんな奴等・・・白き翼の言う事を鵜呑みにしていいんですか?」 
《奴等の言う事を聞くのは癪だが、仕方有るまい。
 生き残れなくては何の意味も無いからな》
と、その時前方に居た研究員から何やら合図が来る。 
「何か変化があったようですね。では所長、報告は後で。」 
《判った》 
研究員は通信を終えると仲間の下へと歩いていった。

 

「で、どうしたんだ?」 
対する研究員は酷く狼狽えた様子で、 
喉から乾いた声を絞り出すのがやっとだった。 
「一体、どうしたって…………」 
自分の持っている機器の反応を確かめてみて、 
現場主任であろう研究員が眼を白黒させる。 
慌てて通信機を取り出そうとするが、 
動揺し過ぎたのか、巧くポケットから通信機が出せない。 
やっと取り出し、バルハトロスへと連絡を入れる。
《何だ?君とはさっき…》 
「それどころではありません、所長! 
 発見された病原菌は……… 
 お……OX……『OX-96』ですッ!!」 
《何だとぉ!?》 
バルハトロスが驚いたのも無理は無い。 
OX-96といえば第3次世界大戦で使用された最悪のウイルス。 
感染したら肉体へと暫くの間、潜伏して徐々に体を蝕んでいく。 
大名古屋国大戦の首謀者『本田宗太郎』ですら、 
このウイルスに蝕まれた体を治す事は出来なかった。 
治療法が無いのだ。
「所長…我々も……既に…感染している可能性が……」 
バルハトロスは沈黙を続ける。
SFESは異形だけでなく病原菌も持ち込んでいた。 
其れでも降伏勧告して来たというのは、 
どうにか治せる算段があるからなのだろうか? 
自分ももう感染しているかも知れない。 
では、どうするか? 
SFESを倒し、あるかどうかも解からない 
相手の算段とやらを奪取する。 
バルハトロスの頭の中には降伏という言葉は無かった。
《捨て置け。どうせ我々はもう手遅れだ。 
 この病は直ぐに死んだりはしない。 
 除去を考える前に…役立たせて貰う》 
「其れは…どういう?」 
《白き翼の連中はこの事を知らずにやって来ているのだろう? 
 ならば奴等にも我々と同じ立場に立って貰う。 
 其れが縒りを戻す最も手っ取り早い方法だろう?》 
聞いていた研究員が冷や汗をかきながら、 
バレないかどうかと聞くが… 
《心配は無い。器具の不備であったとか言い訳はどうとでも出来る》
執筆者…is-lies、鋭殻様

「・・・・という訳で・・・この映像からも解る通り、LWOSの被害は甚大。
 現在は月に向かっている最中です、『総裁』殿。」
Mrマリックを彷彿とさせるヒゲ男、LWOS副所長ジェールウォントが
悪趣味な部屋(やたらと派手な装飾がしてある)の一角で通信していた相手に喋る。 
《ほっほっほ!そうですかそうですか・・・いやあ、実に愉快です!
 この映像に映っているクズどもの慌てる様子と言ったら、実に愉快です!》
「はっはっは!!そうでしょう!」
・・・・馬鹿そうな親父が二名大声で笑う。その様子を見ている部下達は溜息をついた。 
《・・・所で、副所長殿、例のアレは?》
モニターに映った総裁がお気楽な顔で言う。 
「・・・アレですか・・・フッフッフ・・・無論、順調ですよ・・・・・「上玉」ばかりを用意しております・・・・」 
ジェールウォントがニヤリを笑いながら答える。
《・・・・フッフッフ、「越後屋」、お主も悪よのお・・・・》
「いえいえ、「お代官様」には敵いませぬよ・・・」 
そしてまた二人の笑い声。 
それを見ていた秘書はこう思った。 
「・・・はあ、何で私、こんな変態親父の部下になったんだろ・・・・」と。
Mrマリックことジェールウォント・カディエンスが、 
親しげに通信している『総裁』と呼ばれた相手は、 
右眼に赤く光るスコープをインプラントした男性。 
顔立ちは割と整っており、年齢的には30〜40台といった所か。
ジェールウォントが『総裁』と出会ったのは数週間前。 
其れまでジェールウォントが秘密裏に行っていたLWH横流しの顧客だ。 
見目麗しい女性型のLWHを信じられない程の高額で買い取ってくれるので、 
ジェールウォントも彼が只者でない事には感付いていた。 
だが『総裁』の正体はジェールウォントの考えを遥かに上回るものであった。 
其れから彼は、この男に情報を流し続けている。 
何故か? 
この『総裁』が望むからだ。 
何を? 
人々が右往左往して混乱に陥る所を。
最早、ジェールウォントは、
『総裁』の悪趣味な欲望を満たし、 
褒美として与えられる金と権力に溺れるだけの佞人となっていた。
いや、彼は最初からこういう人間だった。
金の為、仲間の苦しみをも金儲けの材料にしてしまう。
そういう利己的で他人に思いを致さぬ私利私欲の権化。
其れがジェールウォント・カディエンス。
LWOS副所長の椅子に座ったケダモノの正体であった。
「ほら、御覧下さい総裁!」 
《むっ?》 
ジェールウォントが『総裁』の方へ映像情報を送る。 
其れはジェールウォントの端末にも表示されているもので、 
今の『箱舟』が向かっている先…月の一角の映像であった。 
だが月という割に、映し出された月の地は、 
クレーターだらけの其れではなく、一部やけに平らになっており、 
更には明らかに人為的なものと見られる巨大な円形の建造物が聳えている。
《ほぉ……これが其の》 
「はい。我がジェールウォント財団とLWOSが、 
 千数百億もの資金を投資し建造した月基地で御座います。 
 事前に提出したデータに目は通して頂けましたかな?」 
《ええ、まあ。 
 ですが再度説明頂けますかな?》 
「………畏まりました。 
 名実共に月の資源回収を目的としており、 
 運営は我々ジェールウォント財団に一任されております」 
《ふむふむ…ああ思い出した。 
 では其処で箱舟を修復しようと?》 
「はっ」 
《…ふふ、解りました。 
 ではバルハトロスに感付かれない様、頼みますよ》
執筆者…鋭殻様、is-lies

  所長室

 

≪・・・・「ティアマト」「グリフォン」「処刑人」封印完了しました。≫ 
モニターに映った研究員がバルハトロスに報告する。
「御苦労。・・・・下層部の方の損傷具合はどうだ?」 
≪推進装置が二つ消滅。下層部にあった第35から54までの研究室全て、
 下層部生体兵器調整室、第17から27までの組織員居住地区が消滅した模様。修理費は現在計算中です。≫
「人的被害等は?」 
≪えー、研究員、組織員が合わせて数百名近く死亡。
 死亡者の中にはルクス・ルゥエル第3研究室主任、アストン・マーシン第5研究室主任、
 ウォート・カーディナル第4研究室副主任、ジェスト・オースティン戦闘部門第7部隊長、
 クルジア・マクストン生体兵器調整室副主任・・・・≫ 
「いや、もういい・・・・生体兵器の損失は?」 
延々と死亡した幹部の名を言う研究員をバルハトロスは制す。
≪生体兵器の損失金額は・・・・ざっと計算した所数千万といった所です。≫ 
「そうか・・・・・もういい。報告、御苦労だったな。後は私に書類を回してくれ。」 
そう言ってバルハトロスは通信を切ると、椅子から立ち上がり、
後ろで拘束されている少女・・・マリーエントの方を向いた。
「さて・・・・・マリーエント、いや、OR4号よ。
 何のつもりだ?私の居ない間に部屋に侵入するとは?」 
マリーエントは顔を横に向け、質問に答えようとしない。 
バルハトロスは呆れた顔をしたかと思うと、突然怒鳴った。
「全く・・・仕方の無い・・・・出来損ないめっ!!」 
そういうとバルハトロスはマリーエントを蹴り飛ばした。 
彼女に幾らLWHという肩書きがあるとは言え、所詮は常人を超えた能力があるだけの人間。
防御も出来ない状況では無力である。 
蹴られたマリーエントは後ろへと倒れこむ。其処に更にバルハトロスは蹴りを入れ、頭を踏みつける。 
・・・・嫉妬に満ちた目で。
「・・・くぅっ・・・・」 
しばらくして彼女を踏みつけるのを止めると、バルハトロスは呟いた。
「・・・・お前は例のモノの事を知っている。
 だからこそ逃れる事は出来ない。大人しく従った方が身の為だぞ?」 
その言葉にマリーエントは反応し、バルハトロスを睨みつける。
その反抗的な態度の相手をするのに疲れたのか、バルハトロスは携帯を出すと、外に居る警備員に連絡をとった。 
「・・・・私の部屋に一匹鼠が入り込んだ。少々罰を与える必要がある。連れて行ってくれ。」 
数分後、警備員が部屋に入り、マリーエントを見ると、そのまま彼女を何処かへと連れて行った・・・・ 

 

 

  「箱舟」上層生体兵器調整室

 

「……全く、今回の戦闘には参りましたよ。
 クルジアが爆発で即死した上、
 折角調整しておいた調整槽も大部分が大破。
 おまけに研究部門も主任は死ななかったものの、
 研究室の大部分が消滅。
 これじゃ幾ら僕でも切り盛りできませんよ?」
修理作業と生体兵器の調整を同時に行なっており、室内は慌しい。
その様子を見ながら、青年はバルハトロスに言った。
「…何人増員が必要だ?」
「まだ正確な数値は出てませんが……
 おおよそ今回死亡した研究員の人数より2,3割程度少ない位で 十分です。」
「判った。後で手配しておこう。」
「それと、所長。」
「何だ?」
「前から疑問に思っていた事ですが……
 貴方は彼…ベリオムにナノマシン以外の仕掛けを施しましたね?」
その言葉に、バルハトロスの眉がピクリと動く。
「一応僕も霊魂等に関して学びましたからね。」
バルハトロスは暫く考え込んでいたが、決心がついたのか、
口を開いた。
「……此処では人が多いな。ついて来い。」

 

 

  所長室

 

「……痛みを敵に流し込む?」
「そうだ。ベリオムの能力と奴に施した措置は判っているな?」
「ええ。再生能力と精神の分断でしたね。」
「……奴には、精神的な恐怖、痛みを蓄積するよう魂のレベルで細工がしてある。
 再生能力を持つ肉体といえど、痛み等にはやはり恐怖を感ずるものだ。人という生き物はな。
 増してや奴はコアを破壊されれば終わり……」
「それを利用して痛みや恐怖を蓄積……
 では、精神を分断して発狂した状態を作り出したのは?」
「あの状態はいわば恐怖等の負の感情が増大した時に発露する。
 すなわち「殺られる前に殺れ」という気持ちが働いてな。」
「つまり、あれは負の感情の増大を計る為の?」
「それだけではない。奴はあの状態から元に戻った時、今まで自分が何をしていたか気付く。
 そして自己嫌悪する。そして痛みは蓄積されていく。」
執筆者…鋭殻様

  居住区特別エリア 個室

 

室内には二人の男が居た。ロネとアレットである。 
「・・・・で、被害は甚大だと。ったく、SFESもやってくれるじゃねえか・・・・」 
手に持っていた書類を机に放るとアレットはソファーに座る。 
「御偉いさん方にも困ったもんだ。
 こんなロクな作戦も立てずに正面突破したら被害も相当なモンになるっつーのに。
 作戦ならお前が居るってのにな?」 
そういうと彼は机に置いてあったコーヒーを一杯啜る。
「幹部達にもプライドがあるのだろう。造物主である自分達の方が優れている、という、な。
 ・・・・そういえば、アレットよ。お前は戦闘中治療施設に居たと聞いたが・・・」 
「ああ、アレの事か・・・・・」 
「何があった?」
アレットは少し考え込むと首を横に振る。 
「良く思い出せねえ。
 戦闘機に乗ってて、オッサンが特攻かけるっつったのに反論しようとしたら
 突然胸の辺りが苦しくなって・・・・」 
「おい、大丈夫か・・・・・?病気なら早い所治した方が良い。」 
「そだな。今度火星に行った時に病院で検査でも受けるか。」 
アレットの言葉にロネが首を傾げる。 
「・・・・?調整室へは行かないのか?」 
「あそこはあんま好きじゃねえ。俺達が道具でしか無いって思わされるからな。」 
「・・・私達は道具として生まれてきたのだろうが。」 
アレットはロネの言葉に少々悲しそうな顔をすると、言った。 
「そうかもしれねえが・・・・だが、俺達は生きてるぜ?血も流れてるし、考えられる、笑ったり泣いたり出来る。」 
「・・・。」 
「だから俺は調整室は好かねえ。俺が言いたいのはそれだけだ。」 
アレットはそういうと、ソファーから立ち上がった。
「じゃ、俺は自室へ戻るぜ。状況報告、サンキュー。」 
彼はそう言うと部屋から出て行った。 
「・・・「生きている」か。アイツらしい・・・・」 
部屋が静まり返った後、彼は静かに笑った。
執筆者…鋭殻様
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