リレー小説2
<Rel2.京都焼き討ち1>

 

夜。京都中心部裏路地にて・・・
「・・・「奴」・・・天皇か。アゼラル様も面白い方だ。 
 しかし私は天皇の素生について詳しくは知らない・・・ 
 ここは他の前支配者に・・・しかし、アウェルヌス様・ 
 へルル様・カンルーク様は対談の予定・・・む、思い出した。 
 「あの人物」にシンクロして降臨している方がいる! 
 まずは金閣寺の・・・公に会わねば!」
ストグラはそう小声でつぶやきながら、金閣寺へ向かった。 
その人物とは・・・それは、またの機会に。
執筆者…A夫様

 


「ふぁ…眠ィ…」 
「もう今日でチェックアウトですからね。 
 早く起きて早く食べなきゃ」 
既に朝食を終えてロビーへと鍵を戻しに行く一行。 
ロビーは人が多く、混雑していた。
「やはり東日本、大名古屋国と潰れれば西日本に入って来るのが道理ですね」 
「だが、これでアホ天皇が調子付くのは気に喰わないなぁ」 
ふと、エース達は出口へと向かって行く一同と眼が合った。 
……いや、合わされた。 
向こうの方からエース達をジーっと見ていたからだ。 
見ると出口の方に居るのは、長身痩躯でピアスを付けた、黒いロングコートの男、 
丸サングラスを掛けてトランクを持った長髪の大女。 
昨日、『青』にぶつかった幼い少女。 
其の隣に少女に良く似た…併し背丈は上の寝惚け眼の少女。姉妹だろうか? 
最後尾には、ペットか何かなのか、嫌な目付きのペンギン。 
次の瞬間、彼等は外へ去って行った。
「…??……あのペンギン…… 
 『ペンギン太郎』じゃん…。変な友達が出来たのか?」 
過去、自分の弟子であったペンギンだ。 
或る組織に勤めていた時の事件で生死不明だったのだが… 
直ぐに、大した事ではないと結論付け、 
バカ天皇の皇居『金閣寺』へと車で向かうエース達。
執筆者…is-lies

「やれやれ、成り上がりの日本征服計画かよ。 
 といってもほっとけていたら車には乗ってないが・・・。」 
「よそ見はマズイでしょ、『青』さん。 
 ・・・ところでその佐竹さんって人、大丈夫なんでしょうかね。」 
「せめて生きてて欲しいもんだな。」
車に乗り込み、金閣寺へと進んでいく『青』とエース。 
彼らはもうちょっと共同で行動することに決めたようである。
その後彼らは無事に金閣寺に到着する。 
しかし、建物の前には重装備の警備部隊がいた・・・。 
車を降りる前に、『青』とエースは相談を始めることに。 
「取り敢えず、どうする?真正面から行くのは流石に危険だ…」 
「取り敢えず、IDカードを入手しましょう。 
 金閣寺内部は所々にドアがあって、専用カードが無いと通れません」 
大名古屋国大戦後、結局蹴ったものの、 
皇国からの勧誘で呼ばれ、金閣寺内のセキュリティーも少しは見ていたのだろう。 
「警備兵なら持っている筈…ちょっと待っていて下さい」 
車から降りて、最も隙のありそうな皇国兵に近付くエース。
執筆者…A夫様、is-lies
「き〜み〜が〜あ〜よ〜お〜が〜〜」 
警備部隊は全員が『君が代』を唱歌していた。 
まるで洗脳される様な感覚を覚えながらエースは相談しようとする。 
「あの、済みませんが……」 
「貴様…アレが見えんのか?」 
皇国兵が指差したのは金閣寺の屋根…日の丸の旗が翻っていた。 
「日の丸に敬礼ーーーーーェェッ!!」 
不必要な迄の大声で叫ぶ兵士。 
「…………」 
「何をしとるかァァッ!敬礼ィィッ!!」 
「………」 
「貴様、其れでも皇国臣民かァッ!!? 
 あ、オレは警備の仕事があるから良いのね」 
「………」 
「聞ィこえんのかァァァッ!!? 
 敬礼せいィ!オルァ!ああ?クルァア!」 
「………」 
どうやら神の国狂信者の様だ。 
「(・・・仕方ない・・・)・・・あ、はい!敬礼!」 
そういって敬礼するエース。 
「よーし!それでいい!で、何の用…だッ!?」
一瞬の内に、皇国兵の口に眠り薬を染み込ませたガーゼを宛がう。 
為す術も無く眠る兵を抱き止めて、彼の懐から素早くIDカードを抜き出すエース。…で、 
「あの〜。この人、居眠りしてますケド」 
他の皇国兵達が眠った兵を一斉に睨み付ける。 
余りの気迫にエースもちょっとたじろぐ。 
「貴様ァァーー!!何と不謹慎な!!」 
「天皇陛下に詫びて逝ねィ!!」 
フクロにされる皇国兵の冥福を祈り、車の『青』を呼ぶエース。
「(さぁ、今のうちです!バレたら・・・)」 
「(よっしゃ!行くか!)」 
そして彼らは早足、しかもしのび足で金閣寺に突入したのであった。
執筆者…is-lies、鋭殻様、A夫様

・・・ところ変わって、場所は金閣寺内部・上層部へ。
「・・・ふむ。それで六条天皇について調べにきたと。」 
「はい。相当楽しみたい様子でして・・・下らないものでしょうか?」 
豪華な部屋の中で会話しているのはストグラと呼ばれた人型魔物。 
そして京都の真の支配者『藤原』公である。 
だが、藤原公の周りには赤いオーラがかすかに渦巻いていた。
「別にいいのではないでしょうか?結果が良ければ・・・ 
 刃向かう愚民どもを消せる。ついでに優れた魂が沢山あれば 
 それを媒介として「直属」を増やせるかもしれませぬな。」 
「おっと、哀れな天皇公の「再利用」も忘れずに・・・。」 
会話は着々と進んでいるようである。
その時、藤原の体からオーラが昇っていく。 
「おや、どうなされましたか?」 
しかしいつもと変わらぬ様子の藤原である。そしてオーラはストグラ・藤原両名に語りかけた。 
「さて、アゼラルの計画を伝えに来たのは構わん。 
 当然、方法とやらは用意してあるのだな。」
その言葉に真っ先にストグラが反応する。
「もちろんですとも・・・前支配者『プロノズム』様!」
執筆者…A夫様
「・・・つまり、特殊な毒を盛ってその隙に・・・。」 
プロノズムが物静かな雰囲気で話す。 
「はい。細胞と魂の結びつきに関連する特殊な毒でございます。 
 これを浴びたものは魂の活動に異常をきたしますから、あとは私の能力をもって 
 天皇様を異形へと変質させてしまえば・・・OKです。」 
焦らずに回答するストグラ。 
「・・・盛るのなら私にお任せください。」 
微笑みながら応答する藤原。
「ありがたい、藤原殿・・・プロノズム様、信用していいものでしょうか?」 
「別に構わん。私と彼は実にいいシンクロができた。心とやらもな・・・。」 
「・・・む、外が少し騒がしいようです・・・では、後は私にお任せを。」 
そう言って、藤原は外を立ち去った・・・。
「・・・では、ストラグよ。どうする?私は少しここに残ろうと思うが。 
 勿論、作戦後の話だがな。」 
「はい、私はアゼラル様の元へ帰還します・・・。」 
「そうか。では、一旦失礼するぞ・・・。」
個室には、誰もいなくなった・・・。
執筆者…A夫様

  金閣寺、謁見の間

 

妖しい香炉が焚かれた室内、 
翳しの向こうのヒバゴンに向かって平伏する臣下達。 
無論、BGMは『君が代』である。

「アズナブル〜アズナブル〜」

如何にも怪しいローブを纏った占い師が呪文を唱え、
水晶球の上に両手を翳しながら動かしている。

と、占い師の眼が見開かれた。

「アズナブル!ウシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャーーーーーァァァアアアアッ!!!」  

大口を開け、声を絞り出す様に叫ぶ。頭には血管がクッキリと見え… 
…というか血が噴水の様にピューピュー飛び出してます。 
上体を天井へ反らした侭、何度かビクンビクンと痙攣してから… 
「本日の大君のラッキーアイテムはシルクのドシフンです」 
「うほっ、其れなら今、着用しておるぞ。 
 今日、朕はツいとる。ぐほほほほ」 
「御苦労であった。『Ω真理教』の者よ。下がって良いぞ」 
占い師が立ち去ろうとした其の時。 
下級兵の1人が謁見の間へ入って来た。 
「大君に申し上げます! 
 賊が金閣寺内へと侵入している可能性があります!」 
ザワつく臣下達。天皇は何の事か解って居ない様だ。 
仕方ないので臣下の1人が兵に聞く。 
「ああー、可能性?」 
「はっ、同僚が眠らされた間に 
 カードキーを盗まれたと…」 
「ふむ…直ぐに捕らえよ」 
「ははぁ!畏まりました!」
執筆者…is-lies

ヒバゴンが喜んでいる間、『青』達の侵入劇が始まっていた。
              〜金閣寺・1F〜
「・・・妙だな、俺。」 
「え?突然何言い出すんですか、『青』さん・・・。」 
「いや、『青』でいいよ。 
 ・・・変だな。少し頭痛がするぜ。何だこりゃ。」
気配を立てないようにして金閣寺を進んでいく2人。 
その最中、『青』の方は軽い頭痛を訴えた・・・エースはそんな彼を心配したが 
すぐにその頭痛は引いたようである。 
原因は・・・また今後に。
「和風×成金・・・ハァハァ、金持ちっていいなぁ。」 
「へ?何か変なものでも食べましたか・・・?」 
「いや、普通ですが何か・・・ぁ?」
廊下を歩く2人の耳に突然、君が代が響き始めた!! 
「なななななな、な、な、何だぁー!?」 
そして彼らの目の前から何かの大群が向かってくる。 
それは、日本皇国の重装警備隊だった・・・。
執筆者…A夫様
「ま、まずくないか・・・・?」 
「そうですね・・・・こんな狭い通路じゃ・・・」 
「ははは!これならば貴様等等敵ではないわ!大君の逆鱗に触れた罰を受けよ!」 
実際は天皇は何の事だか分かっていないのだが。 
『青』は仕方ないと言いたげな顔をして、 
「エース、行くぞ!」 
『青』はヒボタンを大剣に変化させ、高速で警備隊に近づいていく。 
「は、はい!」 
エースも『青』の後ろについて行く。 
それを見た警備隊は応戦しようとするが中々動きが取れない。 
装備が重過ぎる上、人数が多すぎて通路に詰まっているのである。
「こっこら、お前どけ!」 
「お前のほうこそどけよ!!」 
「隊長殿!苦しいであります!」 
警備兵たちは、ガシャガシャと装備から出る音をたてながらもめあっていた。 
中には転ぶ者の姿もある。…当然といえば当然だろうが。 
「…」 
「…片付けるぞ」 
「…はい」 
2人は呆れ顔で、警備兵たちに向かっていく。
「おのれ!ここは通さん!!」 
「隊長殿!通りたくても通れない状況でありますよ!」 
「うるさい、余計な事を言うな!!」
 だが…! 
   ズドォォォン!! 
「ぐわっ!?」 
「ったぁ!?」 
「「「「「ひでぶっ!?」」」」」 
信じられない事に。後続の皇国兵達がグレネードランチャーを使用したのだ。
「案ずるな!死して英霊となれッ!大君万歳!!」
仲間を巻き添えにしても何とも思っていない。
「な…何て奴等だ!」 
あれだけの重武装。このまま戦えば、此方のダメージも馬鹿にならないだろう。 
「っ畜生!」 
「『青』さん!一時撤退すべきです!」 
今迄戦って来た相手との違いを痛感し、 
『青』、エース共に逃げ出した。だが、退路にも皇国兵達が現れた。 
「ほ…本当に居た…っと!捕まえろー!!」 
此方も重武装。甘く見ていた。 
直ぐに残っていた道へと入り、奥へ奥へと進んでいく。
執筆者…鋭殻様、ごんぎつね様、is-lies

道は先程の絢爛なものではなく、薄汚れたものへと変わっていった。
「…此処は……牢獄か?」 
「内裏が騒がしい様だけど…何かあったのかい?」 
急に聞こえて来た声の方向へと身構える2人。
だが、彼等の目の前の牢に入って居たのは…
「あれ?君達は確か…『青』君とエース君… 
 どうしてこんな所に居るんだい?」
旧大戦時に日本が創り上げた超人兵器『獣人』達からなる 
テロリスト『獣人解放戦線』のブレイン『長峰』であった。 
良く見てみると、周囲の牢獄は獣人解放戦線のメンバーで一杯だ。 
「皆さん、御久し振りです」 
テロ達の司令に納まっている、眼鏡を掛けた猫耳の少女が、
動じる事無く、エース達に軽く会釈する。 
「どうやら皆さんは侵入者の様ですね。 
 先程、皇国兵が来て色々尋問されました」 
「あ…ああ。だが何でアンタ達が牢なんかに? 
 アンタ達だって大名古屋国大戦の英雄達じゃないか」
「簡単な事です。私達には元より人権がありません。 
 獣人解放戦線の目的は『戦後人権の獲得』そして『死んだ同胞を英霊として祀らせる事』です。 
 これ等が認められず、テロ行為しか残されていなかったのですから 
 当然といえば当然の結果ですね。 
 まあ、テロだから…というのもあるのでしょうけど」 
「………酷いな…あんなに頑張ったってのに」 
テロ司令の話を聞き、自分達との扱いの差というものに憤りを感じる2人。 
だが、休んでいる暇は無かった。
「我等!一億総火の玉! 
 欲しがりません!勝つ迄は!!」 
「チッ!奴等…もう来やがった!」 
先程、通って来た通路に向かって身構える『青』。 
其れに続こうとするエースに長峰が話し掛ける。 
「ものは相談だけどさ。
 其のIDカードで牢のロックを解除してくれないかな? 
 そうすれば、私達も手を貸してあげるよ」 
「行け!月月火水木金金!! 
 贅沢は敵だ!パーマネントは止めましょう!!」 
皇国兵達の声が段々と近くなる。 
何を言っているのかは解らないが… 
「もう直ぐ其処迄来ているぞ!!」
執筆者…is-lies
「・・・よし!分かりました!ロック解除!」 
エースは牢のロックを解除し、通路の方へと戦闘態勢をとる。 
と、突然エースの口調が変わる。人格が変わったかのように。 
「おっしゃああ!行くぞ!」 
エースは槍を構え、何やら呪文を詠唱し始める。
「喰らえ!!」 
エースが珍しくドスのきいた声で叫ぶと、槍の先から 
電磁砲が一直線に放たれ、兵士達を爆発に巻き込んで倒していく。
「くっ!やっぱり範囲が狭かったか!」 
エースの放った電磁砲は直線上の敵を一掃したのだが、いかんせん横への範囲が狭かった。
そして重装兵士がエースとの距離をつめていく。
重装兵士がエースを取り囲もうとしたその時、
巨大な大剣が彼らをなぎ払い、一撃で重厚な鎧もろとも断ち切った。 
「・・・ふぅ。しょうがないな・・・『青』も。」 
「いやいや、ストレスで腹痛になるのは勘弁したい。」 
「(結局なんなんだよっ!)」 
1階の方へ無事に兵士を追いやったエースたち。 
その後・・・ちょっとした会話タイムが始まった。<Rel2.a3:3>
執筆者…鋭殻様、A夫様
「…しかし、変な連中じゃないか?」 
「ああ…」 
『青』とエースは、半分、呆れ顔になっている。 
「力は…あるんですがね」 
「そうだろうさ。そうでないと、 
 あんた等は『アホ』に捕まったことになる」 
「…全くだよ。 
 毎日のように、変な雄叫びなどが聞こえたりする」 
「とりあえず、牢のロックは解除したから…」 
牢から出た獣人解放戦線のメンバー達も一息ついたようだ。
「さて、これからどうする?」 
「うーん。ここまで来てしまったからには・・・なぁ。」 
「さっさと済ませて、無事に生還したいもんだ・・・。」 
「・・・そうですか。」 
「で、どうする?作戦を決めなければ、犬死にする可能性だってあるな。」 
長峰が口を開く。 
「まず、1フロアだけでも安全が確保できればいいのですが。」 
冷静に答えるエース・・・そして・・・ 
再び頭を抱えている『青』 
「・・・一体どうしたんですか?」 
心配そうに、猫耳少女が語りかけてきた。そして『青』は言う。 
「・・・ぐっ、あ、頭がもっと痛い・・・ね、猫耳・・・キモ・・・。」 
こんな様子の『青』に「殺意」が芽生えた者もいたようだ・・・。 
しかし、この頭痛は一体何なのか。その事は誰も知らない。 
では話を戻そう。
「仕方ありませんね。『青』さんは此処で暫く休んでいて下さい」 
「んああ…で、作戦はどうするんだ?」 
問われて長峰が何やら考えている様な仕草をし… 
「やはり我々の半数…素早い者達が兵を撹乱、 
 残った者達で一気に天皇を討つのが宜しいかと…」 
「…そうですね…腹括りましょう」 
『青』と数名の護衛を残し、1階へと戻るエース達。
執筆者…ごんぎつね様、A夫様、is-lies
 
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