リレー小説2
<Rel2.『青』4>

 

  イプト外部エリア南西部分

 

「掃討作業完了!救出作業完了!これより帰還を開始する!」 
炎に包まれ、赤くなって見える街の光景。とは言っても、ほとんど廃墟であるが。 
そこでなにやら小隊の隊長がその場にいる他の兵士に命令を行っている。 
命令を一通り終えたところ、隊長の通信機が反応をはじめた。 
どうやら通信が届いたらしい。
隊長は早速通信機を取り出し、通信を開始した。 
「こちら10号小隊、隊長。一体何か。」 
続いて通信機から聞こえてきたのは、ひどく焦った声だった。 
《こ、こちらっ、第7号小隊!!現在、そちらの近くで謎の生命体と・・・ 
 現在こ、交戦中でありますぅっ!!》
「ど、どうした!一体どうなっていると言うのだ!」 
《だから謎の生命はわわわ、ああ、あぎゃあああぁぁぁ!!!
(ブツッ!・・・ピー、ピー、ピー。) 
「ど、どうした!応答せよ!応答せよ!」 
第10号小隊長の呼びかけも空しく、通信はそこで途絶えた。 
舌打ちをしながら、隊長が一人呟く。 
「・・・クッ。謎の生命体・・・だと?」
そういい終えた時、無常にも隊長の意識はそこで途絶えた。 
原因は・・・突如後から頭部をえぐり、貫いた謎の腕であった・・・。
その頃、兵士達が撤退を開始しようとしていた。だが、隊長は来ない。 
「・・・た?隊長、どうしたんですか?」 
なにやら不審に思った1人の兵士が、隊長のもとへ視線を向ける。 
そしてこの男は恐ろしい光景を目撃してしまったのだ。 
(ピチャ、ピチャ・・・ジュルリ。ガチュッ!) 
・・・得体のしれない、バケモノに食われている隊長の姿を直視してしまったのだから。
「うぎゃあああああぁぁぁーーー!!!」 
この光景に耐えられず、直視した兵士は恐怖に震えながら絶叫した。 
その絶叫に突然驚いた他の兵士達も、隊長のいる方向を振り向く。 
そして先ほどの兵士同様、この光景に動揺を見せる者が。 
「た、隊長!?隊長ぉーーー!?」
「ギッ!ギヒヒイィッ。」 
・・・絶叫に反応して、隊長の死骸から猫背で立ち上がるバケモノ。 
奴は兵士の一人に視線を定め、深呼吸を始めた。 
そして背中から血で汚れた2本の腕を、逃げ出そうとする兵士めがけて伸ばす。 
その腕は兵士の纏っていた鎧をわき腹のほうから無残に貫き、
体の内部めがけて激しく運動を始めた。
腕が激しく運動するたびに、涙と血を大量に流す兵士の口から呻き声が聞こえる。 
あげっ、あぐあがはぁ、うぐえっげへへぇっ!?
数十秒たった後、兵士は動かなくなった。 
そしてバケモノは腕を縮め、兵士を引き寄せる。そして不気味な口で 
心臓の部分から噛み砕き始めた。 
噛み砕くたびに、大量の血が胸元から噴出されていく。 
不気味な音を発しながら。 
・・・他の兵士達はこの光景に恐れをなして、全員逃亡していた。
だが、兵士達の逃亡は謎の生命体によって阻止された。 
突然一番前を走っていた兵士の体が、煙をあげて燃え上がる。 
「う、うわぁ!?どうしたんだ相棒!」 
もう一人の兵士が呼びかけているその時に、燃え上がっている・・・いや、 
細胞が燃焼している兵士に、謎の液体が撃ち込まれていく。 
そしてそれがまた兵士の細胞を 
どんどん燃焼させていくのだ。そうして兵士は1分もしないうちに倒れる。
残った兵士達が前を見回すと、腹から数本の管が飛び出し、 
緑色の鱗のような鬣を生やした人型のバケモノが立っていた。 
そして腹の管の穴からは、先ほど兵士を倒した液体がわずかに垂れている。
「な、何だ・・・コイツは・・・ええぃ、クソっ!」 
兵士の一人が開き直ってバケモノにマシンガンを撃ち始める。 
同時にバケモノはマシンガンの弾を被弾しながら、兵士の1人に突進し始めた。 
弾丸が当たった場所から不自然なくらいに赤い血液が飛び出す。 
しかしバケモノはそれをものともせず・・・ 
兵士の目の前に到達していた。 
「あ、あああ・・・この野郎!こここれならどうだ!?」 
兵士は怯えた雰囲気で必死に手持ちの斧を振り回す。 
だが、兵士の斧を握っていた手に何かが巻きついた。 
それは恐らくバケモノのものであろう、長い尻尾。先端は尖っている。 
先端が肩口まで到達したとき、突如5つに開いたのだ! 
そして尻尾は想像もつかない、物凄い勢いで腕を噛み千切っていく。 
腕に走る激痛に悲痛な叫びをあげる兵士。だが、即中断された。 
・・・バケモノの大きな口による噛み付きによって。
身も凍るような、異様な光景。それを直視した男・・・ 
残った兵士の中で何かが壊れたらしく、彼はでたらめにマシンガンを乱射しまくった。 
うああああああああああああぁ!
ほとんど狙いは定まっていない。たまに弾丸がバケモノに直撃しているようだが、 
それも効果はほとんどないようだ。
しばらくして、突如兵士の首が飛んだ。真空の刃によって。 
そして先ほどのバケモノが兵士の首なしの体に飛び乗り、怪しげな口で 
がつがつと体を食い始める。 
そして、この場にあの青年が現れることに。
執筆者…A夫様
その青年・・・『青』は街の中を進んでいる中で、絶叫を何度も聞いたのだ。 
彼が絶叫の聞こえた場面にすすむと、そこには残酷なシーンが展開されている。
「こ、こいつら・・・反乱軍を!」 
彼はこのバケモノたちが反乱軍の兵を食していることを、
バケモノの立っている、人の残骸を纏っている鎧で、見抜いたようである。 
そして『青』は怒りをあらわにして、バケモノたちに立ち向かっていく。 
と、その時。またもや視界に映る光景が変化したのだ。 
それは現実ではなく、何かのビジョンである。
「(・・・また幻覚か!?いったい何をしたんだ!?)」 
しかし、ビジョンは鮮明ではない。やや半透明である。 
そしてそれに映るのは・・・何故か、ウサギの獣人や猫の獣人の姿であった。 
「・・・獣人ってヤツなのか・・・?」
呟いた矢先、そのビジョンも消滅していく。 
直後に『青』の胸部を鈍い痛みが襲う。それは獣人らしき生物の 
収縮自在の鳥足のような腕による攻撃によるものだった。 
鋭く、重たい爪での攻撃を受け、思わず苦痛に声が漏れる。 
「・・・ううっ!!」 
後方に『青』の体は飛ばされたが、なんとか体勢を整えて立ち上がる。 
「・・・やる気か、このバケモノどもめ!」 
『青』はそう言い放つと、腰の鞘から刀を取り出した。 
美しく輝く鋭い刀身は、紛れも無くヒボタニウム製のものだ。 
だが、変形は出来ない。彼はまだ能力との関連が薄いからだ。
直後、後ろからもう一体の獣人らしきものが指と腹管から液を噴出した。 
それらを2つとも回避し、取り出した拳銃で攻撃を行う。 
しかし筋肉のせいで、なかなか通用しない。 
そうこうする内に距離は縮まっていく。 
追いつめられた『青』に、大口の噛み付きが襲い掛かった。 
肉が裂ける特有の音が聞こえ始める。その間、苦痛が『青』を襲った。 
「ぐううううううぅ!」
激痛にたまらずうなり、右手の刀を振り回す『青』。 
そして噛み付いている獣人の眉間に拳銃で攻撃を加え・・・ 
さらに胸元を切りつけた。 
獣人はこの攻撃に怯み、『青』を逃すことになる。 
なんとか牙から解放された『青』。だが、このままでは何も変わらないかもしれない。 
そう思って体勢を整える『青』に、今度は背後からレーザーが襲ってきた。 
突然の攻撃に、前に倒れそうになる『青』。しかも上体を起こしたら、 
今度は一つのかまいたちが彼に攻撃を加える。
だが、『青』は倒れようとしない。何故ならこの場で倒れることは 
「・・・くっ、ぐうぅ!(倒れるな・・・倒れたら助からないんだ!)」 
本人はこのように考えていたらしい。
次にとった行動は、いきなりのバックダッシュであった。 
「アキュウゥゥゥゥゥウ〜!?」 
突如『青』が起こしたこの行動に、奇声をあげる獣人らしきバケモノ。 
そして彼は間髪入れず、そのままバケモノにヒボタニウムの刀で切りつけた。 
肉が裂けると同時に不自然なくらい赤い血が、傷口から噴出される。 
ギギギギギギィィィィィィ・・・!!
恐ろしい声を出して、その場に座り込む獣人らしきバケモノ。 
奴は手を伸ばしてカウンターしようとしたが、その前に上段からの 
振り落としが炸裂し、 
バケモノは真っ二つになって絶命した。体が赤く爆発していく。
そして『青』が向き直ると、先ほど噛み付いてきたもう一体の 
獣人らしきバケモノが再び、腹の管から大量の液体を噴出してきた。 
とっさの動作で回避し、果敢に走って突っ込んでいく『青』。 
「そろそろ限界かもしれねぇ。だから、早くカタつけさせてもらうぜ。」 
こう呟きながら、『青』は走る。 
ショットガンを荷物の中から取り出しつつ。そして目前で発砲した。
ぶぐっ!!ぶぐぐっ!!
奇声をあげ、バケモノは体を大きくのけぞらせた。 
その間にもショットガンがガンガン撃ち込まれていく。しかし 
さきほどの『青』のように、なかなか倒れてくれない。 
さらに指からの液体が『青』を襲う。喰らった瞬間、彼は激しい痛みに 
襲われ、銃を手放しそうになる。 
しかし攻撃の手を緩めるマネは、彼はしなかった。 
そしてまた上段からヒボタニウムの刀を振り下ろし、一撃を加える。 
バケモノは真っ二つになったあと、ホネもろとも溶解した。
バケモノが死亡し、周りに敵がいないのを確認して『青』は座り込んだ。 
「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」 
先ほどの激しい戦いで、肩で息をしている。 
その間、彼はこのバケモノの存在とさっきの幻覚が不思議に思えてしょうがなかった。 
「あれは・・・み、未来の話なのか・・・夢なのか・・・。」 
小休止したあと、彼はふらふらと立ち上がり、歩きはじめる。 
はぐれたメンバーとの合流をするために。
その一方で他のメンバー、ジェントやバジーらがどうなっているのか。
執筆者…A夫様

  イプト西部エリア

 

既に街に回った火の手は全体に及び、空が赤く染まって見える。 
街の各所には逃げ遅れた兵士や傭兵、市民の倒れた姿、そしてエネミーの残骸、 
スクラップと化した機械などがいたるところに散乱していた。 
その中で彼らは、勇敢に戦っていた。
「こっちは終わった。バジー、そっちはどうなった?」 
「全部おれが倒したぞ!」 
ジェントの会話に対して、元気に答えるバジー。 
その手にはやはりハイロングソードが握られている。 
2人が会話している際、後ろから兵士の声が挙がった。 
「現在、市民の脱出が完了した模様です!ではお先に!」 
「わかった!こちらも後で行く!」 
そして市民を乗せた車両が、街の出口に走っていく。ジェントはその様子を見届けた。 
その後南の方から・・・一人の兵士がボロボロの様子で歩いてきたではないか。 
ただごとではない、と確信したバジーが急いで駆け寄る。 
「おい、どうしたんだ!!誰にやられたんだ!!」 
「・・・ここより・・・南方に、ガフッ!
兵士は必死に声を出そうとしたが、大量の血を吐いて力尽きた。 
「・・・南に何があるというんだ?」 
バジーとジェントは2人、南の方へと進んでいった。

 

西エリアと南西エリアの中間地点。

 

そこで2人は、異様な光景を目にしたのだった・・・。 
「な、何だあれは!!」 
ジェントが驚いたのは、視界に映ったスカイブルーの人型のオーラが、 
兵士の一人を腕の部分で締め上げ、苦しめていたからだ。 
兵士の1人は体を異様に激しく痙攣させており、さらに血を噴出している。 
そしてピクリとも動かなくなったあと、兵士の体は謎の存在に 
猛烈な勢いで投げ飛ばされた・・・。
そして、謎の存在が2人に視線を向ける。
「・・・っ!!」 
謎の存在から放たれる恐るべき、殺気。 
いや正確には殺気ではないのかもしれないが、そこから恐るべき威圧感が 
自分達を圧倒していることをジェントは悟っていた。 
「お、おのれっ・・・ハァ!!」 
気を取り直し、ジェントが水属性の魔法を放って謎の存在にぶつける。 
氷柱が内部から謎の存在を貫くが、全然こたえていないようだ。 
そして・・・ 
・・・終われ。
その一言と同時に、ジェントを激しい水圧が襲った! 
四方八方から放たれる猛烈な水圧に、彼の体は固定されたまま 
絶大なダメージを蓄積されていく。 
ぐああああああぁぁぁ!!!
悲鳴を挙げるジェント。そして彼は10秒もたたないうちに・・・死んだ
水圧の猛攻撃が襲いかかったあと、ジェントの体は地面に落ちた。 
「・・・な、なんて野郎なんだ・・・てめぇ!!許さねぇ!!」 
温厚なバジーが逆上して、ハイロングソードを上段から振り下ろす。 
だが刃が両断しようとした瞬間、謎の存在の体がいきなりオーラへと変形した。 
そしてオーラがバジーの体に全てまとわりつき、 
体を空中に持ち上げる。 
「ん、んぐっ!?何がどうなってるんだコレは・・・」 
自分の体が宙に浮かぶのに、思わず戸惑ってしまうバジー。 
無意識のうちにハイロングソードが、彼の腕から離れていく。 
そして彼の体に、なにやら違和感が生じはじめた。 
それはどんどんダメージを伴っていく・・・ 
「ぐ、ぐはっ!?」 
呻き、じたばたするバジー。しかし何も起きない!
・・・同時に、それは体をふらつかせながら歩いてきた『青』の視界に移った。 
(ば、バジー!?・・・どうしたんだ!)
そして彼の目の前で空中に浮かんだバジーの体がフラッシュをし始めた。 
数十回のフラッシュの後・・・
バジーの体が、頭部から粉々に破壊されていった。
執筆者…A夫様
・・・恐らくその光景は、『青』にとって極めて凄惨な場面だった。
頭から出血して弾けたバジーの体は宙を回転しながら、 
思いっきり地面に直撃した。 
『青』の目の前で・・・。
彼の顔面は引きつっていた・・・それは数時間前まで元気な様子を見せていた者の死を、肉眼で目撃したからに違いない。 
そして怒りの感情がこみあげる。
「・・・こっ、この野郎・・・生かしてたまるか・・・!!」 
刀を腰から抜き出し、早速攻撃態勢に入った『青』。 
その音に反応して、謎の存在が振り向いた。こう呟きながら・・・。 
ほぅ。死に急ぐ、か。
「はいはい、その台詞はこれっきりにして下さいねっと!!」 
喋っている謎の存在に、悪人のような形相で『青』が謎の存在に飛びかかった。 
だが・・・。
くたばれ。
『青』の視界が暗くなり、突如稲妻のようなエネルギーが体を 
貫通していく。それと同時に内臓が弾け、全神経を貫くような痛み、 
さらにおびただしい数の裂傷が一気に体を襲う。
絶大なダメージを被った彼は絶叫しながら、地面に仰向けで激突した。 
『青』が倒れたその横へ、謎の存在が歩み寄る・・・。 
・・・ふっ、ここで貴様の人生は終わる。
謎の存在はそう呟き、右手を尖らせて『青』の心臓へ突き出した。
だが、効果は無い。実際に彼の心臓は貫かれなかった。 
何故ならそれは・・・
「むむっ・・・限界か。仕方ないな・・・。」 
どうやらこの謎の存在いわく「限界」が来たらしい。 
そしてオーラでできたシルエットが、だんだん薄くなる。 
何も言わぬまま、この存在は赤い空から姿を消した。
「ぐ・・・か、がぶっ・・・ふぅ・・・。」 
後に残されたのはボロボロになって倒れている『青』一人だけである。 
燃え盛る炎の中から、無傷に近い兵士が数人駆け寄ってきた。 
そして彼や他に倒れた人物を、輸送機へと運んでいく・・・。 
『青』達が運ばれてまもなく、イプトの状態が急変した!
「あ、熱いー!?ギャアアア!!」 
「い、嫌だぁ!何が起きるんだぁ!?」 
地表に立っていた者たちは、何が起きたかも分からぬまま苦痛とともに消滅していく。 
それは人だけでなく、あらゆる生命、物質も同じであった。 
いや、この国と同時に消滅していったのだ・・・。
閃光と共に、イプトが分解されていく。それは数機の輸送機から見ることができた。 
そして、その中の一つ・・・そこで『青』は目覚めようとしていた。
執筆者…A夫様

彼は意識の中で、またもや幻覚を見ていた。
自分の記憶のあの存在と何かが、妙に被って見える。
それはオーラであった。
しかしオーラは2つある。一つは水色、もう一つは赤色であった。 
そして映る、人型のシルエットと翼のシルエット。 
彼は不思議と、何かの共通点を掴んだらしい・・・。
目覚めた『青』は自分の体の異常が無いことを確かめ、ブーツを履いて機内を散策する。 
そして一つの空間に出た。そこは窓からベルトンが見え、机といくつかの椅子がある。 
その椅子に座り、うつむく兵士とすすり泣く兵士などの姿が見えた。
「なぁ・・・あの後、どうなったんだ?それと母船は?」 
そんな兵士たちに『青』は質問を行う。回答が返ってるのに少し時間はあったが。 
「・・・くっ・・・母船は・・・あの光の中で消滅しました!」 
「う、ううっ!我々反乱軍は・・・反乱軍は・・・も、もう駄目ですっ! 
 事実上壊滅してしまいました!」
「(・・・ということは司令とかも・・・!)」 
兵士達の回答を聞いたとたん、『青』の心は暗い気持ちになった。
「・・・そ、そうだ!ジェントさんは・・・」 
少し錯乱しかけた『青』は、場を明るくしようとジェントの話題を持ち出す。 
しかし、回答は無い・・・そんな状況が少し続いた後。
「・・・くっ、ヒック・・・だ、駄目でした・・・。 
 もうあの時に、バジーさんも・・・死んでて・・・。」 
泣きながら兵士の一人が弱々しい声で会話に反応する。 
「そ、そんな!じゃあ遺体は?」 
「この輸送機の保存カプセルに・・・」 
悲しみにくれた兵士の案内を受ける『青』。
機内のとある部屋へ、滅菌処理を行った後に入った3人。 
そこにはカプセルが5つ程置かれており、それぞれに 
遺体が・・・無残な状態のまま安置されていた。 
その中で隣り合わせに配置されたバジーとジェントの保存カプセル。 
中身を見たとき、『青』の目から涙がこぼれた・・・ 
その後、彼は意味も分からず、泣いたのだった・・・。 
「うっ、ううーっ・・・!」
しばらくした時、突如彼の視界が変化する。それはまるで 
ワープ空間を高速移動しているようだった。
(あれは・・・そうか、あれは俺の記憶だったんだ。 
 いつの間にか忘れちまった・・・いや、抑えていたんだな、うん。) 
そう、今彼は自分の意識が「抑えていた」記憶を巡っていたことを 
たった今実感したようである・・・すぐさま、彼の脳内で思考がめぐった。
(あの幻覚を整理してみると獣人は・・・あれも獣人なのか? 
 破滅現象・・・佐竹が言ってたのは、あの現象のことだろう。 
 で、あの赤い翼のオーラと人型のオーラ・・・何か関連性あるだろーな・・・ 
 いや、あれは許せない。もし生きてるのなら・・・ 
 クッ!どうするんだ、俺!)

 

そして彼の意識は現実へと戻っていった。
現実へ意識を戻した『青』は、病室のベッドで目を覚ます。 
体の不調は完全に吹っ飛んでいた。そして気のせいか、前より頭が 
鮮明になったような感覚であった。
執筆者…A夫様

  京都郊外病院前

 

木の枝の上に腰掛け、『青』の病室を双眼鏡で覗く人物。 
真っ黒なローブを纏った眉毛の濃い男だ。 
手にしたパンを貪りながら、地上に向かって叫ぶ。 
「どうやら手術は終わった様だ!」 
地上の方には同じく黒ローブが2名。 
髭の濃い男と、右目下にホクロのある女であった。 
「なら、もう奪取しても良かろう」 
「早く教祖様の許に連れて行きましょ」 
「そうだな『菊池』… 
 教祖様のマインドコントロールで 
 日本最強の男を我等側に引き込めば怖いもの無しだ」 
菊池と呼ばれた女と髭の濃い男が、眉毛の濃い男に向かってニヤリと口を歪めるが、 
髭の濃い男の笑みは、寧ろ嘲笑めいていた。 
「だが『高橋』よ…。あの小僧…信用出来る者なのか?」 
其れに対して木から飛び降り答える眉毛の濃い男、高橋。 
「ふっ…敵と言う事はあるまいし、もしそうだとしても関係無い。そうだろ『平田』? 
 我々は3人揃っていれば教祖様に最も近い能力を得るのだからな!行くぞ!」 
一列になってロビーから病院内に入り込む一同。 

「「「しょーこー!しょーこー!
   しょこしょこしょーこー!
   あーさーはーらーしょーこー!!!!」」」

見えない糸を巻くかの様にグルグルと両腕を回し、身体を大きく仰け反らせながら行進して 
トチ狂ったかの如く「しょこ」という単語を大声で連発する3人。 
其れのあまりの煩さに耳を押さえる病院内の人々。 
だが1人…又1人と耳を塞ぐのを止め、この「しょこ」を歌い出す。 
あっと言う間にロビーは「しょこ」の大合唱で支配される。 
簡易洗脳した人々を列に加え、3人は歌いながら『青』の病室へと向かう。
執筆者…is-lies
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