リレー小説2
<Rel2.『青』2>

 

・・・それから2日後。結局佐竹の生死が解らぬまま日が経った。
あれから俺は反逆者として扱われ、なにかと追われる日々が続いていた。
それでも、この戦いの腕と狩りをする事によって生計を立てられた。
どちらにしろ現在の国家には信用できない。
平たく言えば、『青』の心境はこんなものであった。
「・・・流石に、1人で戦うのは無理があるな。
 覚悟の上で、都市とか訪れて仲間に遭えるといいのだが。」
独り言をぼやきつつ、彼は駅から列車に乗り込む。
その行き先は・・・西であった。
(手配といってもポスターは張り出されていないので、意外と街中は安全な環境であった)
・・・だが、誰も気づかない事があった。
それは列車を見送る、機械と生命体が合成された、おぞましきエネミーの姿。
その体は黒く、ところどころ血の色をした光を放つ。
その体は異形で、配管やチューブ、内臓がむき出しである。
「アウェ、ル・・・ヌス・・・マスターカナラ、ズ。」
そしてそのばけものは地中に潜り、列車をゆっくりと追っていった。
果たして、アウェルヌスとは一体何者なのか・・・。
執筆者…A夫様

「ちょいと、お隣良いかい?」
ギターケースを持った青年が、
座席に座って、うまい棒を齧っていた『青』に、軽い調子で話し掛けて来た。
黒い髪に黒いロングコート、左耳にだけしたピアス等があり、
口調も軽いが、無駄にチャラチャラした感じはしない。
ギターケースを持っている所、ギタリストなのだろう。
妙に顔つきなどが『青』と似ている。
「ああ、俺は別に構わないが…」
「悪ィ悪ィ。空いてる席が此処だけでよ…
 …所でアンタ、どっかで会ったか?」
「いや、全然」
「だよなァ…あ、気にしないでくれや」
数分、互いの干渉は無かったが、
或る疑問に駆られて『青』から話を切り出す。
「其れにしても、随分と人が多いんだな…
 今の西日本に見る物なんて無いんじゃないか?」
「そりゃね…でもしゃーねーよ。
 東日本は核攻撃受けたし、大名古屋国も無法地帯。
 西日本はマトモな方さ。安住の地って奴?」
東日本や大名古屋国で野盗や魔物に襲われるよりは、
まだ治安の良い日本皇国へ行こう…という事だろう。
「アンタも其の口か?」
「いや、俺は知人を連れ戻しにね。
 そういうアンタはどうなんだい?」
列車を謎の衝撃が襲ったのは正に其の時だった。
執筆者…is-lies
ぎゃあああっ!?
突然の衝撃に、座席から吹っ飛んで床にたたきつけられた『青』。
「だ、大丈夫かアンタ!」
「平気だ。実を言うと骨が金属になっちゃってて・・・。」
「そういや・・・俺の知人もそうだったな。手術でなったんだけど。」
「はぁ・・・いや、何が起きたんだよ!」
「ギュオオオオオ!!スピピバジョデュデュデュ!!」
様子を見に行った『青』と謎の男が列車の震源地でみたものは、
先に挙がっていた(読者視点)、異形のエネミーであった。
そして『青』たちを見るや否や、高熱の光弾を殻部分から射出する。 
「(ちっ!日本皇国の刺客か!?)」
咄嗟に横っ飛びになる『青』。
ついさっき迄『青』の居た床が光弾を受け、溶けた様な穴へと変わる。
「何にせよ敵は倒す!」
エネミーに向かってヒボタンソードと化した腕を構える。
一方、ピアスの男は座席の影に隠れて様子を見ている。
「(甲殻を持つ巨体異形…足音からして体重も相当ある…
  魔力の『音』が聞こえない辺り、エーテル能力とは無縁…
  詰まりはスピードを犠牲にしたタイプ。
  体に付着してる土から見て、地面に潜るか…
  もし地面から侵入したとしたら、地中で相当な速さが実現出来るのか…
  腕の関節も強いんだろう…走ってる最中の列車に乗れんだからな。
  体から突き出したパイプやらで死角も多い。其の分、防御力は高い…か…
  攻めるとしたら甲殻の無い箇所か、光弾射出口だが、
  腕の甲殻が邪魔だな。封じるには狭い場所へ誘い込むべきだ…)」
一般人では突然のエネミー来襲に唯、叫び、逃げ惑うだけだが、
この男は違った。妙に冷静にエネミーを観察している。
彼が、雇われ能力者集団とエーテル科学集団の両面を持つ非合法組織『SFES』のメンバーの1人であり、
組織内で最強とも呼ばれている男だからだ。
「(有機物と無機物が歪に合成されている所、
  どこぞの国の正規エネミー兵器や、レイネの『作品』とは違う。
  …となると………ったく、アイツ等…居候の身で又、勝手な事を…)」
隣に置いてあったギターケースを手に取ろうとした時、
エネミーと戦う『青』を眼にするピアスの男。
「んあ?アイツ……まさか、ヒボタンを使うあの…」
更に後ろの座席に身を隠し、静観を決め込むピアスの男。
執筆者…A夫様、is-lies
「お、おお、おおお!?」
『青』は突然の攻撃にビびりつつも、防御の構え・・・には入らない。
「どうした、そのままだとやられちまうぞ。」
「いや心配は多分無いはずだっ!(爆」
気合を高める『青』。その時、一瞬で突き出した手のひらを中心に
ヒボタニウム製の防壁が現れ、光弾を受け止める。
すかさず『青』は防壁を弾き飛ばし、怪物が怯んだところですかさず槍を投げつける。
「・・・へぇ、少しはやるじゃないか。成る程ね。」
「水差すのはやめい。」
しかし怪物『ポリキュベウス』の猛攻が思考を元に戻す。
そしてほとんど動じなかったポリキュベウスが、醜い体で突撃する。 
「(・・・見てるとかなり危なげだな。しかし、あの実力は。
 レイネ辺りは「基にした兵器を作りたい」とか言うだろうな。
 ・・・いや、むしろあの異形か・・・ふ・・・ん。)」
その他、いろいろ考えているピアスの男。
一方で『青』は油断し、一気に形勢が5分五分に・・・。
「(ちっ!『青』ぉ、お前には期待してんだぜ!こんなトコで裏切んなよ!)」
『青』の所へ向かうピアスの男。
「おいコラ、其処の腐肉!
 今なら見逃してやっから
 とっとと尻尾巻いて帰れ」
「タカガ…ニンゲンフゼイガ…!」
手で「しっし」と追い払う様なジェスチャーをかます男に対しエネミーは激昂し、
横へ真っ直ぐ掲げた腕先からビームを放って其の侭、腕を水平に振る。
其れに触れた壁は腐食され、一気に崩壊していった。
「お前(『青』)、ちょい下がってろ。
 勿体ねー。速さも力も武器も一級品なのに戦い方が其の場凌ぎだけだ」
言いながらビームを低姿勢で走り回避する男。
どうやら接近戦に持ち込む積りだろう。
醜悪なエネミーも接近戦に応じ、構える。
「…アイツ……戦えたんだ……」
素早く動くピアス男を捉えられずに苛立つエネミー。
其の時、ピアス男の拳が一足早くエネミーを捉えるが
堅固な甲殻に阻まれ、効果を発揮しない。
相手の動きが攻撃の為に止まった今だとばかりに
エネミーが両腕を左右に大きく開き、大振りの一撃を放つ。
ピアス男も咄嗟に身を伏せるが、
其の程度の照準補正が効かない異形ではない。
両腕を斜め下へ軌道修正する。
…がピアス男が動きを止めた場所は、座席と座席の間であり、
エネミーの両腕は両座席に阻まれる。
「ヴぁ〜か」
エネミーは素早く両腕を戻して胴体を守ろうとするが遅過ぎる。
ピアス男の貫手がエネミーの胴体を深々と貫く。
グっ!
「戦闘心得其の壱。相手の動きに乗らされるな」
執筆者…A夫様、is-lies
直ぐにピアス男から離れるポリキュベウス。
だが、当のピアス男は其れを無視して『青』に話し掛ける。
「『青』〜。お前、カタい接近戦タイプに弱ェだろ?
 幾ら銃とかで遠距離攻撃も出来るからって
 接近戦に持ち込まれると相打ちがオチ。
 だからといって剣なんかは、お前自身の腕力で効果を発揮する。
 防御力が其れ以上の相手じゃジリ貧だかんな」
なめられていると感じたエネミーが、怒って両腕から光弾を連続して放つ。
「そーゆー時はこーゆー手もある」
慌てず騒がず光弾を避け、
ポケットの中から禍々しい形をしたピックを取り出し
エネミーの右腕…光弾射出口へと投げ付けた。
異物が詰まった右腕は鋭い光と共に破裂する。
「戦闘心得其の弐。
 攻撃は防御を、防御は攻撃を弱くする」
遂にマジギレしたポリキュベウスが床を破壊し、出来た穴に潜り込む。
列車の下にしがみ付いた侭、相手に気付かれる事無く移動し
回避も防御も出来ぬ間に一撃の下、叩き伏せようという積りだ。
「アイツ等の作ったオモチャが知らねェのか…?
 俺の『耳』の力…ま、良いけどよ」
二、三歩移動しピタリと止まる男。
次の瞬間、男が先程立っていた床が破裂し、ポリキュベウスの巨体が姿を現す。
…で、其の背後で笑いを堪えるピアス男。
「戦闘心得其の参。先を読め」
あっさりと2発目の貫手を受け、身悶えするエネミー。
執筆者…is-lies
「す、すげぇ・・・俺より戦いの腕が・・・」
男の華麗な戦いぶりに、驚く『青』。この時彼は自分が
「井の中の蛙なのでは」と考えてしまった。
しかし、何故か顔を赤らめる・・・誰も見てないのが幸いだった。
何せ引き込まれたような気分だったので。
「おい、ボーっとしてる暇があったら相手の動向を見ろよ!」
その言葉でハッとした『青』。彼の視界に極太のビームが映る。
「おわっとぉ!」
力強く動き、間一髪のところで回避した。
「・・・ええい、俺もいっちょうやるか!」
どんな時でも機敏に動けるように、精神を引き締める。
そして敵の攻撃の前と後に発生する隙を伺う準備をした。
そして、ポリキュベウスはまた極太のビームを『青』目掛けて撃ってきた。
『青』はほどよい高さへジャンプし、ヒボタンを変化させる。
「くたばれ!!」
彼は猛烈な勢いで斧を回転させ、口目掛けて投げつけた。
斧はちょうど閉じようとした口に回転しつつ入っていき、
ポリキュベウスの体でうなりをあげて暴れまわった。
「上出来だな。」
ピアスの男はうなずいた。
執筆者…A夫様
ポリキュベウスは投げ斧の猛攻撃を受けた後、大きく腰を落とした。
何せ、内部から相当のダメージを受けたのだから。
「そろそろカタつけるぞ。奴、少しずつ傷癒えてるようだしな。」
男はなにかの能力で傷口がふさがる音を聞き逃さなかったのだ。
「おう!勢いに乗るぜ!」
そんなことは知らず、『青』は男とともに武器を構え突撃する!
その猛攻撃は圧巻であった。
爆音とも轟音ともとれぬような音がポリキュベウスの周囲を包んだ後、
その体に通っている配管やチューブがズタズタに引き裂かれる。
収まった後、ポリキュベウスは怯えて殻を強固に閉じるが、
相当の強度と回転速度を持つヒボタニウム製のドリルが
直撃したら、殻は何の役にも立たず、本体もろとも砕けた。
そして負の怪物は肉と廃材の塊となり、光の雫をまき散らし
消滅していった・・・。
「・・・ふぅ。まさかの災難だった・・・。」 
しばらくして、どこかから車両の音がする。
「お?あのマーク・・・武装レンタルカーか。
なぁ、あれ何だと思・・・あれ?」
気が付いたら、あのピアスを着けていた男は消えていた・・・。
「・・・名前ぐらい聞いておけばよかった・・・。」
そして車両から見覚えのある顔の人物が降りてきた。
執筆者…A夫様
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