リレー小説2
<Rel2.『青』編1>

 

   −あの日から、俺は何か目的を見失っていた。−   
それを改めて実感させてくれた言葉があった。
「何ら理想も持たぬ小童共に、我を止められる道理はない」
確かにそうだった。あの時の言葉は俺の心に今でも重くのしかかっている。
・・・何故なんだろうか。
・・・それとも俺がこの荒れ果てた世界に絶望しているせいなのか。
あの戦いから1週間程が経ち、戦争は終結した。
だが世界は以前にも増して乱れ、復興すらままならぬ状況であった。
人々の心は少しずつすさみ、ある者は人道を外れ、
またある者は2、3年前の平和な時代を懐かしがって暮らしている。
実をいうと、『青』もその1人であったのだ。
その日から彼は、エネミー(怪物)退治で生計を立てていた。
ただし、2度にわたる戦争後の彼は生きる理由を持てず、苦しんでいた。
・・・こんな荒れ果てた宇宙全体を、数年前に戻せれば。
平和な時代に戻せれば。
『青』はいつしかそんな事をよく考えるようになっていた。
そんなある日の事。彼は荒廃していた都市を訪れていた。
「いやー、以前は都市部だと言うのにひどい荒れぶり・・・。」
日本の都市、名古屋。かっては実に繁栄していた地であり、
大名古屋国大戦後も、大名古屋国の元異彩を放ちながら繁栄していた。
しかし本田宗太郎の生存がいまいち確認できぬ今、その跡はほとんど無く、
某MMを彷彿とさせる無秩序な都市と化しつつあった。
では、何故彼がここを訪れたのか?
それはある依頼を受けての事だった。
詳しい詳細は不明だが「この仕事は君のような奴にしか出来ない」と記されていた・・・。
「ここか・・・案外丈夫そうなビルだな・・・。
 ああ、俺の身が無事でありますように。」
『青』はそんな心境でビルに足を踏み入れた。<Rel2.ao1:1>
執筆者…A夫様

ビルの内部は人気が無く、蜘蛛の巣も張ってあった。
「偽装ね…用心深いこった」
ジーンズのポケットから折り畳まれた紙切れを取り出し、片手で広げる。
「…三階……か…」
三階にあった扉は殆どが板で打ち付けられ、開ける事が出来ない様になっていた。
…唯一つを除いて。
扉を開けた『青』の眼に入った光景は、今迄の見るからに廃墟然とした小汚いものではなく、
美しい調度品に囲まれた優雅な空間であった。
「やあ。待っていたよ」
ブルーのスーツに身を包んだ中年男性…
櫛で梳かしたばかりのオールバック銀髪を手で軽く整えて、『青』に向き直る。
「アンタは?」
「申し遅れた。日本皇国のエージェント『佐竹』という。ああ、無論偽名だがね」
「偽名か・・・まぁいいか。」
そして『青』は佐竹に薦められて席に座り込む。何故か正座だが・・・。
「何故に正座かね?まぁ、深くは追求せんが・・・」
「それにしても割と贅沢ですね、この部屋。狙われないのか?」
「あー、今はそんなに野盗も出てこれんから心配は要らんよ。」
ちょっと麦茶でティーブレイクした二人。そしてまずは『青』から会話に入った。
「で?依頼の内容は?だけどよ、気に入らなかったら即刻帰らせてくれないか?」
興味ありげに佐竹が会話に対応する。
「おや?君はどんな仕事でもこなせる訳ではないのか?」
「ああ。国や怪しい組織絡みのヤツは・・・」
「そうか・・・ではひとまず聞いてもらおうか。」
佐竹は案外まともな態度の『青』に依頼を説明した。
「・・・これは人類の運命に携わるかもしれんのだ。」
「え!?どういう事なんだそれは!!」
驚く『青』を尻目に語る佐竹。どうやらこの男、ただのエージェントではないようだ・・・。<Rel2.ao1:2>
執筆者…A夫様、is-lies
「今の地球は先の戦争ですっかり荒廃しつつあるのは君も見たとおりだろう。
 実は現在、怪しげな現象が地球全土で発生しているのだ・・・。」
「その怪現象って?」
「突然、急激な温度の変化や眩い光と共に、建物や、自然、生命、魔物、魂・・・
 この世に存在する全てのものが消滅していく・・・
 私をはじめとする皇国側の人間は『破滅現象』と呼んでいるがね。」
「何だって・・・俺が知らない間にそんな事が・・・!?」
「うむ。事実だ。当時は原因がわからなかったのだが、
 どうやらとある存在が影で糸を引いているらしい。
 まだその存在については全く解らないのだが・・・。」
そして『青』が重く口を開いた。
「・・・つまり、この怪しい危機を助けて欲しいと。」
「そうだ・・・放っておけばいずれ人類の脅威となるだろう。
 だからこそ、君のように優れた素質や力量を持った者にお願いした訳だ・・・。」
「・・・わかった。何とかできるかやってみます。」
「ああ、これは・・・国全体ではなく私個人の願いとして頼む。」
「いや、国だとか人だとかはどうでもいい。
 このままじゃまともに暮らせそうにないからな!ああ行くさ!」
「『青』君・・・」
と、その時だった。突然窓ガラスがぶち割れたのだ。
突然の出来事に、慌てて2人は身構えた。
「これも破滅現象の一端か?」
「いや、違う・・・なにかが割ってやってきたようだ!」
2人が周囲をよく見回すと、そこには中型のプテラノドンの姿があった。
「・・・?何故、エネミーがこんなところに・・・?」<Rel2.ao1:3>
執筆者…A夫様
「まあ良い。佐竹さん、アンタは伏せてな!」
右腕をエネミーへと向ける『青』。
其れは眩い光と共に、白い銃身へと変化していく。
『ヒボタン』…
怒り、喜び、驚き、残虐さ、必死さ、そして勇気…
これ等の激しい感情によって強化される、変幻自在の最強の個人武器だ。
『青』が『日本最強の男』と呼ばれる所以として
このヒボタンが自身と融合しているという割合が強い。
『青』が戦闘態勢に入ったと判断し、エネミーは用心深く距離を取る。
「ん?」
何か…違和感を感じる。
良く見てみると、エネミーの体には小型砲塔や、コード、プレート等が取り付いている。
…いや、取り付けられている。
人の手により整備を受けているエネミーなのだ。
「佐竹さん、このエネミー…
 …何かの手掛かりになるかも知れませんよ」
「そうか・・・よし、なるべく傷つけずに倒してくれ。」
佐竹の言葉を聞き、『青』はプテラノドンとの間合いを一気に詰め、
変化したヒボタンでプテラノドンのパーツをなるべく破壊しないように弾を撃った。
しかし重そうな外見なのにも関わらずプテラノドンは『青』の攻撃を避ける。
「クソッ、意外と素早い・・・・」
そして今度はプテラノドンが『青』に接近してくる。<Rel2.ao1:4>
執筆者…is-lies、鋭殻様
「ギィヤ〜!!」
プテラノドンはやかましく鳴きながら翼を広げ、一気に
飛び掛ってきた。しかし、『青』は身構えないで待っている。
「・・・そうだ、来い!」
そう言うと『青』は瞬時に銃のヒボタンを鞭へと変化させ、
勢いよくプテラノドンに振り、絡ませて動きを止めた。
その時、頭を打たれたらしく、プテラノドンは気絶した。
「・・・ふう、上手くいったな。」
汗を拭いながら佐竹が言う。
「ホッ。殺さずにエネミーを捕獲するってのは緊張するぜ・・・。」
『青』もちょっと安心した様子であった。
というのもエネミーは人類・亜人類と違い、生命活動が停止しても
蘇生するチャンスが絶対に存在しないのである。
(まぁ魂を破壊されたらどっちも死んでしまうが)
そして二人は接近して観察していた。
しばらくした後、突如、佐竹が顔を驚かせて後ずさりしたのだった。
「・・・どうした?まさか自爆装置でも?」
「こ、これは・・・日本皇国のマーク!一体どういう事だ!」
「何!?」
「・・・まさか・・・」
「おっさん、何を隠してんだ・・・?」
2人とも冷や汗を垂らしながら会話を始めた。<Rel2.ao1:5>
執筆者…A夫様
「ああ、すまん。恐らく・・・これは処刑用として各地へ送られたものだろう。」
「処刑のために!げっ、なんて狂気ぶりなんだ・・・。」
そしてその場に、重たい雰囲気が流れる。
「・・・やはり日本皇国は狂っているのか。」
沈黙の中、佐竹が重い口を開けて発言した。
「こうなる事は、まさか予測していたと?」
「うむ。数日、いや数週間前から上層部の奴らが不穏な動きを見せていたのは解っていた。
 私は仮にも皇国のエージェントだからね。」
「何か恐ろしい事実を知ってしまったのでは?
 そうでなければわざわざ処刑用に作られたらしいエネミーが、
 こんな所嗅ぎつけてくる訳ないと思うんだがねぇ。」
「・・・む。心当たりがあるかもしれん。聞いてくれ。」
『青』は早速佐竹の言葉に耳を傾けた。<Rel2.ao1:6>
執筆者…A夫様

  日本皇国首都「京都」

 

周囲にケバい光を放つ金ピカの砦『金閣寺』。
日本皇国の表面上の支配者『六条天皇』の住居である。
鉱脈から採掘した純金を惜し気も無く使いまくり、
無理矢理、内裏(だいり)に仕立てたという
悪趣味さと虚飾に満ちた建造物と変わり果てていた。
「大君(おおきみ)、御報告致します」
君が代の流れる謁見の間に駆け付け、天皇に平伏す男…
烏帽子と束帯という服装が大昔の貴族の様だ。
この男こそ、裏の支配者…摂政『藤原』に他ならない。
そして、翳しの向こうで胡坐を組む傀儡天皇六条…
立纓冠を被り、束帯を着た…ヒバゴンといった感じだ。
「処刑用に出した人工異形が消息を絶ちました」
「ぐほ?朕の、神の国の尖兵が、何者かに敗れたと申しちょるのか?」
扇子の先を藤原に向けて問い詰めるヒバゴン。
「は、只今、行動停止直前に送られた画像を解析しております」
「ぐっぱ!がぽぽん、ぶぴぴ!朕の壮大な計画…失敗は許されんのだぞ!おのれ等ァ!
 小煩いネオス日本共和国が弱まり、生意気な大名古屋国も壊滅しちょる!
 この機に日本を朕の名の下に統治する
 『大日本帝国復古大作戦』
 何としてでも成功させるのだ!ぐほほほほ!」
場面は『青』達へと戻る。<Rel2.ao1:7>
執筆者…is-lies

「・・・だ、大日本帝国!?麻薬でも常用してるのかよ!!」
「そうだ。私の部下からこのような不穏な噂を聞いて以来、しばらく探りを入れていたのだ。
 その結果、彼らは疲れ果てた国の情勢なぞ知らずに・・・」
「破滅へ向かうかどうかもワカラン行為を・・・と、鳥肌が。」
ここで佐竹は表情を少しきつくし、会話を始めた。
どうやら信用できそうな人物だ、と『青』は顔を少し緩めた。
「・・・今の情勢は、どんどん危険なものになる可能性が高いだろう。
 それを気にもとめず狂った発言や思想にとりつかれたような国家の上層部達。
 このままでは、あと数ヶ月もしないうちに、西日本は完全に荒れるな・・・」
「・・・ああ、俺もそう思ってた。多分この状況に疑問を感じている奴が、まだいると思っていたよ・・・。
 俺、決心ついたぜ。それをはじめとする狂った野望の数々を、片っ端から片付ける為に戦うぜ!」
「しかし、1人で大丈夫なのか・・・!!『青』君!!」
「何だ・・・くっ、この化け物め!もう動きやがったか!」
会話の途中、突如プテラノドンがまた起き上がって襲い掛かる。
『青』「もう調べる事は調べたし、手加減しないぜ!」
そしてヒボタンを今度は大剣へと変化させ、プテラノドンに高速で突っ込む。
それを見たプテラノドンも『青』に向かって突っ込む。
    ズシュ!!
思いっきり『青』は自分の体をねじり、その後反動を付けて大剣を振り回す。
轟音と共に、突撃してきたプテラノドンの体は真っ二つに切り裂かれた。
そして血肉を沸き立たせ、爆発していく。
「やれやれ・・・って手ごたえ無いジャン・・・。」
「ううむ、皇国の処刑用エネミー・・・感づかれたようだ。
 『青』君、私のことに構わず・・・逃げたまえ。」
「・・・え?もし死んだらどうするんだよ・・・まさかこうなる事を覚悟していたから、か。」
「いや、目的はどうやら私だろう。
 何せこんな計画を外部の、それも君のような実力のある輩に流してしまったからな・・・
 それに私には、君ほどの戦闘能力は持っていない。
 このままついてっても、足を引っ張るだけだろう。」
「そこまで思っているってことは、未来を託したい、と。」
「そうだ。さぁ、急げ!皇国の増援部隊が来るかもしれん!」
「すまない、佐竹さん!できれば生きてまた会おう!」
こうして、『青』はビルから脱出した・・・。<Rel2.ao1:8>
執筆者…A夫様、鋭殻様
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