リレー小説2
<Rel2.101便・タカチマン2>

 

  101便・下キャビンルーム【タカチマン、ナオキング、ジョニー、リュージ、リエ、ジード】

 

「おろおろおろおろおろおろ」
「どないするんや?!」
「ただの変人だろう。…放っておけ」
「確かに、変人だ。
 …それでも、テロリストはテロリスト。
 どうする…?」
『変人』と発言したタカチマンとジードにBIN☆らでぃんが近寄る。
「やい、おんどりゃあ!
 今、『変人』と、仰いやがったな!
 …どうも、ありがとう!」
…言葉も、一部解かっていないようだ。
紛う事無きバカ。併し銃火器を乗客に向けている事には変わりが無い。
他の乗客の事を考えると無闇に攻撃は出来ないだろう。
仕方なく一同はジャッカー達の指示通りしゃがみ込む。
暫くしてからBIN☆らでぃんが通信機に向かって何やら指示を始めた。
…と同時に機内アナウンスが流れる。
《あーあー、マイクテストテストテスト。
 うぉっほん!俺様がBIN☆らでぃんなり。
 この航宙機はアタクシ共が乗っ取った。
 ぼっくんの要求『Ω真理教追放』が叶えば、諸君等は解放しても良いッス。
 んだが、もし叶わない場合は、この航宙機に持ち込んだレーザー砲で地表を攻撃。
 最終的には航宙機自体を日本へ落とす!
 解ったか野郎共ぉぉ!!?》
「……狂人め…」
呟くジードを睨んで一言。
「いや〜照れますな〜」
其の後のジャッカー達の会話を聞くと、ネオス日本共和国に要求を突き付ける様だ。
宙港内でもやっていたニュースに、日本皇国壊滅の報があったからだろう。
現在はネオス日本共和国本部へのホットラインを回させている様子である。
機長室は完全に制圧されていると見て良さそうだ。
執筆者…ごんぎつね様、is-lies
東日本の対応は早急だった。
まあ、こんなラリった野郎共に200人近い命が掌握されていると考えれば仕方ないかも知れない。
機長室から各キャビンルームのモニターのチャンネルが合わせられる。
ネオス日本共和国都市連合代表『ケンリョ・クホシー』の顔がモニターに写った。
平べったい顔一杯に汗を流し、其の表情は蒼白…といった感じであった。
《……要求を…どうぞ……》
「いやっはー!朕が何したいかってゆーと、
 何つーかアレだよ。Ω真理教をちゃーすん(消す)のよ!」
《はっ?》
「コイツ等、超MMC〜(まじむかつく殺す)!げにいぶせし(実に憂鬱)!」
《へ?へっ??》
「解ったか、おんどりゃぁ!?」
《……あの……此方に通訳がおりますので、
 母国語で御願い出来ませんでしょうか?》

 

ブチッ!

 

BIN☆らでぃんによって、通信が遮断された。
覚えた言葉が通じなかったという怒りが彼を支配していた。

 

「…ジハーーーーードオオォォォォオオオ!!!!

 

天井に向けて人差し指をビシッっと立て、涎を垂らしながら大声で叫ぶBIN☆らでぃん。
「Ω真理教本部に弾ブチ込んだれ!」
命令に従い、航宙機のレーザー砲が地球…日本へと照準を向ける。
執筆者…is-lies
「クッヒャヒャヒャァ!
 ユー・アー・ザ!れぇざぁ!
 アイ・アム・ゴッド!!!」
そう言い、BIN☆らでぃんはレーザーを発射した。

 

「…奴め…本気でやったのか」
船の振動を感じ、タカチマンがつぶやいた。
BIN☆らでぃんは信じられない事に本気だったのだ。
「あかん…!汚したらあかんってのに・・・!!」

 

「れぇっつらGO!
 ファイア!!!!!!!」
発射されたレーザーは日本に直撃…はせず、
その付近の海に直撃したようだ。
深海までレーザーがとどいたのか、海に穴があく…。
「オウ、マイ、ゴッド!イエーイ!
 直撃もイイケドネ!
 このレーザーで海に落書きヨ!イェイ!
 津波ぃ〜での被害もあるはずぢゃ〜ん」
そういい、らでぃんはレーザーで、海に巨大な落書きをはじめた。
「ま〜るかいて♪おむすびひとつ♪
 おだんごもひとつ♪おやまがみっつ♪
 あ〜っとゆう間に、BIN☆らでぃん〜!!」
海に放たれたレーザーは、線を描いていく…。
もう、意味不明な落書きであった。
しかし、津波の被害は馬鹿にならないだろう。
…そして、しばらくすると、荒れた海はおさまった…。
「イヤッホォ〜!ラクガキ、た〜のしかった♪
 人類ではじめて海にラクガキしたの、ボクちんだよん!
 これは人類の、新たな一歩である!
 そして…くたばれΩ!!
発射された極太のレーザーが、日本のΩ真理教本部を破壊した。

 

「あの馬鹿野郎が…!」
「おろおろおろおろ…」
執筆者…ごんぎつね様
為す術も無く数分が経った其の時…
力強くキャビンルームの扉が開かれ、3人の少年少女が飛び込んで来た。
いや、正確に言えば飛び込んで来たのは1人だけ。強気そうな少年だ。
其の後ろで気弱そうな少年が、
眠っているのか…赤い服の少女を背負って事の成り行きを見守っている。
「見つけたぞ貴様ァ!!メイさんは何処だァ!!?」
「(メイ?)」
BIN☆らでぃんに向かって強気そうな少年の放った科白に、タカチマンが反応する。
…この少年、メイの知り合いか?
「はっはっはー!余の芸術作品が……へ?」
1人、モニターを見て喜んでいた様子のBIN☆らでぃんが、やっと少年達の侵入に気付く。
「うぬぐわああぁぁああ!!」
計画も何も無い突進だが、其の迫力に恐れを為すジャッカー達。
ビクビクした彼等の放った銃弾等、少年に当たる筈もなし。
「ヒッ…ヒィ!!何だオメーは!?」
「貴様に名乗る名など無いッ!」
迫る少年。慄くジャッカー。
「ひ!く…来るなでごわす!
 来るとコイツをくるさりんどー(殺すぞ)!」
隣に伏せていたナオキングを抱えて銃を突き付けるBIN☆らでぃん。
「(…ナオキ!?)」
「こ…コイツって…僕ぅ!?オロオロオロオロ」
だが、併し……
うっせーハゲーーー!!
一向に足を止めぬ少年に、悲鳴を上げる2人。
「「神様ァーーーーー!!!」」

 

ブチッ

 

突然何かが切れる音がした。
どうも・・・BIN☆らでぃんに捕まったナオキングからのようだ・・・・
「ふ・・・フフ・・・・フフフッ・・・・・」
不敵な笑みを見せるナオキング・・・・辺りは急に静まりかえる。
「なんじゃおのれは〜!!!」
「あがー!!なに考えとんやしおめーはー!!!」
困惑する少年とBIN☆らでぃんを他所にタカチマンが呟いた。
「……始まったか」
「フハハハハハハハハハ!!!!!
 敵はお前等かーッ!!!!!」
突如リアル化し、オーラを発しながら叫ぶナオキング。
その表情は狂気に染まっている。
「敵はお前等か!!!!ぶっ殺ス!!!!!
辺りの空気が暴走するナオキングに集まっていく。
何が始まるのか・・・・
タカチマンが知っていた。
『おろおろメーター』がMAXか・・・いかん」
説明しよう。普通の人間はストレスが溜まるとキレる訳だが、
ナオキングはオロオロし過ぎるとキレてしまい、所謂トランス状態に突入してしまうのだ。
脇に居たタカチマンがナオキングの前に飛び出し、
錯乱状態のBIN☆らでぃんと強気そうな少年に銃口を向ける。
「BIN☆らでぃん・・・貴様の言うジハードとは所詮この程度か」
「お頭ぁッ!?」
様子を伺っていた少年が叫ぶ。恐らく『お頭』とは目の前に居る、強気そうな少年の事だろう。
其の時、この騒ぎで眠っていた赤服の少女が目を覚ます。
執筆者…is-lies、しんかい様
「!!!!う゛〜〜〜〜〜!!!ばんばんいやですっ!!」
タカチマンに向けて鬼火を放つ赤服の少女。
「なっ!?」
不意に自分に放たれた鬼火をバク宙で交わすタカチマン。
油断した。敵か味方かは解らないが、恐らく能力者なのだろう。
先のBIN☆らでぃんとの会話を振り返ると、どうやら謎の少年少女達は
BIN☆らでぃんを止めに来たのだろう。
だが、ナオキングの暴走で敵対し掛けている……と言った所だ。
「今だぁ!!死・・・」
少年がBIN☆らでぃんに向き直り、そこまで言いかけた時・・・
「ハハハハッ!消えて無くなれぇっ!!」
拳銃という枷がなくなり、ナオキングはその力を解放する。
「まずいっ!」
ナオキングの魔法が発動するとほぼ同時に、
被害を抑えるためその周囲に防護壁を張り、魔法を押さえ込むタカチマン。
ふごぁあ゛あ゛あ゛〜〜〜〜!!!
無論、ナオキングを掴んでいたBIN☆らでぃんは防護壁内に居たため、その攻撃をモロに受けた。
「こら死んだな・・・」
万が一の時の為に十字架型の大剣に手を掛けたジョニーが呟く。
強気そうな少年はと言うと、一瞬なにが起こっているのかわからないようで、呆然としている。
「これでナオキも元に戻ったろう。ついでに、ゴミ掃除もできた。」
魔法の光がやみ、二人の影が見えてきたとき、少年のほうがその場に倒れた。
どうやら気絶してしまったようだ。そして、BIN☆らでぃんは・・・
「ふ、ふははは!!」
「なに・・?」
「こんなこともありんすかと!実は服の馬鹿(中)に、
 たゃあ(対)エーテル防護服を着込んでゃー!!!」
衝撃で混乱しているらしく、ただでさえ下手な日本語がさらに悪化している・・・
執筆者…you様
「ほう…だが状況は変わらないぞ……ここまでだ。BIN☆らでぃん。」
自慢気なBIN☆らでぃんに銃口を向ける青髪の男。
「そ、そうだ!覚悟しろっ!!」
謎の少年も、銃を向けた。
「・・・・なははは!!この防護服は防弾チョッキも兼ねちょるばい!!」
「だが、頭は丸出しだろう?」
その言葉を聞き、BIN☆らでぃんは固まった。
「リーダー!どうしたんだっちゅーの!?
その時、ジャッカー達が3人ほど、扉から入ってきた。
「フハハハ!まだテンは彼に味方せんとーす!」
ジャッカーの銃口がタカチマン、強気そうな少年、そして乗客のほうへ向けられる。
「ケイタイバクテン(形成逆転)だな!」
「ちっ・・」
タカチマンと、強気そうな少年が銃を床に投げた時・・・
「はぁっ!」
ぐえっ!?
突然、扉から躍り出た緑髪の青年がジャッカーを一人気絶させた。
其の背後には銀髪の男とメイド服の少女、小柄な少女が居る。
「なんだっ!?」
「ちっ!」
もう一人のジャッカーがその青年に銃口を向けるも、メイド服の少女に銃を払い落とされた。
「動くなぁ!!」
残ったジャッカーが近くに居た乗客を人質に取り、二人から離れながら壁のほうへ寄った。
「くっ・・・」
どうやら彼等も隙を見てキャビンルームを開放しに来た者達みたいだ。
この機…タカチマンが思っていたよりも多くの実力者が乗っていたという訳か。
「そこの緑髪の男。伏せなっ!」
「?」
どこの誰かはわからなかったが、その場に伏せる緑髪の青年。
ズキューンッ・・!!
ぐわぁっ!
どこからか飛んできた銃弾が、ジャッカーの肩を正確に射抜く。
ジャッカーが銃を取り落とした瞬間、メイド服の少女が気絶させた。
そして、次の瞬間、タカチマンが銃を拾い、再びBIN☆らでぃんに向けた。
銃弾の飛来元を探ると、上キャビンルームに居た筈のキムラ達が居たのだった。

 

 

其れを影から眺めるのは…宙港迄トラックに便乗した謎の男『ゼロ』と其の使い魔『グレイ』である。
「これでBIN☆らでぃんも終わりですね。」
「たいしたことなかったね。」
「まだですよ。」
「え?」
「SFESのみなさんの真の計画はこれからですよ。」
「なんでわかるのさ?」
「さっき、積荷の中にそれらしいものを見つけたからですよ。それに、SFESのみなさんの気配もしてますしね。」
「それらしいもの?」
「後のお楽しみですよ。・・・さぁ、SFESのみなさん、どう行動を起こしますか?」
さも楽しそうな微笑みを浮かべ、呟いた。
執筆者…you様

  101便・VIPルームB−4

 

「ああ、A目標はドジった。予定通り連中が大活躍さ。
 だがな、ちょいと問題が発………あン、聞いた?
 …………へぇ……流石に惜しいって訳かい…了解。
 おう……んじゃ、派手にやるぜ」
雑誌をベッドの上に投げ捨て、通信機を切る青年。
「OKだ」
「了解〜。ミッションスタートね〜」
ノートパソコンをブラインドタッチしながら
のんびりとした感じに次々と作業を進める大女。
「全脱出ポッド強制射出準備完了。
 全通信回線掌握準備完了。
 『リゼルハンク本社』とスタジオ強襲班への報告準備完了。そっちはどぉ?」
「……解凍完了。自己診断プログラムにる異常無し…。
 …指令伝達準備完了……安定してるよ……」
「タオ・キャパシター接続完了。各部動作異常無し。
 ミッションデータ送信完了。リザルトコード受信。
 固定解除準備完了…何時でもOKだよ!」
ミッションスタートシーケンスを口頭確認する一同。
全ての準備が完了した事を聞き、不敵に笑むピアス男。
徐ら椅子から立ち上がり、ネオス日本の低俗な番組を映すモニターへと向き直る。
其処には、何か偉そうに踏ん反り返った中年女が出演していた。
其れを鼻で笑いながら、通信機を操作した。
「よう。そっちの準備は…OK?良し」
機は熟した。
バッと両腕を真横に伸ばす。
イッツ!ショーーーターーイムッ!
同時に長髪大女がキーボードを一押しする。
其れが全ての下準備を実行に移したのだ。
大きく震える機体と共にピアス男も僅かに震えていた。
戦場の空気。其れが歓喜に彼の全身を震わせる。
幕は切って落とされた。

 

 

  101便・機長室

 

「始まったぜェ」
天井にパイプで串刺しにされている乗務員から滴る血が
床に大きな血溜まりを作り、他の血溜まりと繋がる。
其れは部屋中を血の匂いで満たし、通信機を弄っていた少年の心も満たす。
「ケケ…九尾の狐……俺の獲物だ……
 此処で決着を付けてやるよ…クケケ」
側に『居る』…いや…『ある』機長から流れ出る血を指で掬って舐める。
口内に蕩けていくのは、愛おしい程の甘さ…
頭部の無い機長から溢れる其れを更に飲みたいという欲求を静め、
ジャンキー少年はコンソールにドッと肘を突く。
「…こういう時は渇きが抑えられねェ…ケケ
 さっさと終わらすか」
「くぺぺ。楽しそうペン」
資料のある棚を漁っていたペンギンの言葉に「ああ」とだけ返し、
ドライバーにディスクを挿入し、コンソールを操作し始める少年。
執筆者…is-lies

  同時刻
  火星・リゼルハンク本社ビル

 

「ようこそ皆さん」
会議室に集結した大国・大企業の上部メンバーを前に、白髪の老人は恭しく頭を垂れる。
「ふふ。楽しみだよ」
ハイテクの都市アメリカ大統領でありながら魔女フェチであり
『魔女っ子大作戦』も所持しているというラリった男…
『ビンザー・デリング』が静かに席に着く。
「ほぉ…中々大きなイベントになりそうですな」
知謀に長け、勝利の為には手段を選ばぬイスラム皇太子
『モハメト・シャー』は両腕を組んで老人に笑い掛ける。
「らでぃんの始末、出来るんだろうね」
「もちろんですとも」
招待された、他のメンバー達も席につきつつあった。
いや、一人…女が老人に問い掛ける。
「そういえば…九尾の狐がいるって聞いたけど?」
地球の新興国家『ヤマモト帝国』のエージェント『アヤコ・シマダ』である。
紫色の髪をした、ミステリアスな感じの女だ。
「…それ、私にやらせてくれないかしら。
 ああいうの嫌いだし…、暇つぶしにいいわ。フフ…」
そう言い、アヤコは不敵な笑みを浮かべる。
「畏まりました。ヤマモト帝国の力…拝見させて頂きます。
 …しかし、SFESの一員にも、その狐を殺ろうとしている者がおりますので…。
 詳しい作戦行動は現地で御説明致します。」
「…そう」
執筆者…is-lies、ごんぎつね様
「おお…貴方が『Dr.ウイリー』ですか!」
「そういう君は『毒の水博士』か。中々、良い面子だ」
一通りの説明が行われ、ゲスト達が雑談に花を咲かせていた。
同時に2人の男性が、白髪の老人にワイングラスを持って話し掛ける。
「そろそろ、始まっても良いのでは?」
「今回の兵器…楽しみにさせて貰ってますよ」
世界的な大宗教『アグリメイデ』の教祖『ラ・ルー・ヌース』と
ヨーロッパの大貴族『ラモン・ド・パピーニァ』である。
「ええ。モニターに御注目下さいませ」
「所で、あそこに居る子供は?」
薬品から生物兵器迄扱っている大企業『パラソル』の
アメリカ支社副社長『ジョエル・オールマン』が指差す方のテーブルでは、2人の少女がジュースを飲んでいた。
片方は18歳程か…サラサラとした美しい紫の髪を靡かせ、
ボーっとした感じでオレンジジュースをストローで吸っている。
もう1人は眼鏡を掛け、メイド服を着た赤毛の少女。
「ああ…あちらの紫髪の方は『細川財団』『細川小桃』嬢です。
 魔術にも造詣が深い事で有名かと…」
「何ィ!?」
ビンザー・デリングが驚愕の声と共に小桃の方を向く。
何故ならこの男は、
『魔女っ子変身セット(対象年齢4歳以上)』も持っている程の魔女フェチだからだ。
ドキドキしながら細川小桃に近付くデリング大統領。
そして見守る一同。
執筆者…is-lies
「こんにちは、お嬢さん」
「・・・」
ビンザー・デリングに声をかけられ、小桃は上目遣いで彼を見た、
「いきなりで失礼だが・・・あなたの魔術を見せていただけませんか?」
ビンザー・デリングはドキドキしながら小桃に言った。
すると小桃はビンザー・デリングの前に、手を出した、
「・・・」
よくは聞き取れなかったが呪文を唱えたみたいだ、
ビンザー・デリングの目の前がグニャグニャと歪みだした、
そして、突如彼の目の前に、おぞましい姿の怪魚たちが姿を現わした、
ヒ!!ヒイイイ!!
その恐ろしさのあまり、デリングは腰を抜かしてしまった。
そして怪魚たちは、一斉に彼に飛び掛ってきた。
ギャアアアア!やめろ!やめてくれええ!
ぱちん、
指を鳴らす音と共に、怪魚は消え去っていった、
ビンザー・デリングの目の前には小桃の姿が見え始めた。
「はあ・・・はあ・・・」
かつて無い恐怖にビンザー・デリングの心臓はドクドクと高鳴っていた。
「ほう・・・?幻術ですか・・・」
「・・・」
小桃は無言で再び、ジュースを飲み始めた。
「さて・・・小桃嬢の御希望はアンドロイド・リリィの戦闘力調査でしたな」
「ほえ〜、アンドロイドですか〜」
ヴァンフレムの言葉に、小桃のお付きの赤毛メイドが間延びした口調で返す。
「あの宗太郎の元護衛アンドロイド…
 対するは小桃嬢とそちらのアンドロイド『キララ』…面白いカードではありませんか」
鷹揚に両腕を広げる老人。
「ああ…申し遅れました。
 私はリゼルハンクの副社長『ヴァンフレム・ミクス・セージム』です。以後、お見知り置きを」
深々と御辞儀する老人に、小桃も軽く会釈する。
「小桃様のリクエスト『大名古屋国最新兵器能力調査』ですが、
 諸事情で僅かに作戦開始を早めさせて頂きました。
 併し、小桃嬢の『魔力』ならば問題ありますまい」
其れに対して細川小桃は僅かに口を開いた…
執筆者…R.S様、is-lies

  101便・下キャビンルーム

 

「ふぅ…間に合った様だな」
「皆さん、大丈夫で………えっ?」
部屋に入って来た4人の少年少女。
内、3人は強気そうな少年を見ると表情を変えた。彼に見覚えがあったらしい。
敷往路メイと其の守護精霊の仮の姿ハチとタクヤである。
同時に強気そうな少年も顔を綻ばせる。
併し、彼が喜びの声を上げる前に、小柄な少女が……
「め…メイさん!?」
「メイさぁん!無事だったんですね!…って、何で君がメイさんの名前を!?」
「あ、『ユーキン』さんも来てましたか。
 其れより『ミナ』ちゃん…何で此処に?」
どうやら知り合いの様だ、ジョニー達も他の人物も混乱している。
そんな混乱に乗じてBIN☆らでぃんは逃げる機会を窺うが、
目の前のタカチマン…そしてジードは
BIN☆らでぃんを油断無く監視して隙を見せない。
其の時。

 

ゴオオォォォォオオン!!

 

航宙機全体を大きな衝撃が襲う。転びそうになり慌てて座席へ掴まる一同。
「な…何なんですか!?」
「貴様…何かしたのか?」
逃げ出そうとしたBIN☆らでぃんに素早く銃口を向ける。
だが、腰を抜かしたBIN☆らでぃんの口から出て来たのは意外な言葉だった。
「し…知りましぇーん!
 あっしの計画はとっくに失敗してますたい!」
其れを聞いて銀髪の男が前に出て来た。
ブルーのスーツに身を包んだエリートっぽい中年男だ。
「失礼。先程から思っていた事ですが、
 監視システムの隙を縫ったテロ行為のタイミングの良さ
 しかも20人以上もの団体での行動は、
 ニュースで見た貴方の強引で大雑把な行動とは掛け離れている様に見えました。
 更には初期の行動に比べ、ツメが甘過ぎます。
 そもそも幾多もの紛争で貴方々の銃火器や活動資金は底を尽き、
 イスラム共栄圏からも見放され始めている様子であるとも聞きます。
 ……貴方々は、どうやって、こんなテロを起こせたのですか?」
「こここ答えるかんら殺さんといて!
 情報提供者が居るんや!名前は知らへん!
 連絡は携帯電話でとって………??」
ピララ〜ララ…ピラリラリラ〜
BIN☆らでぃんの取り出した携帯電話が『チャルメラ』の着信音を鳴らす。
直ぐに其れを取って通話ボタンを押す銀髪の男。
「…もしもし」
《くぺぺ…BIN☆らでぃんは失敗したペンね》
「………何者だ?」
《答えるバカぁ居ないペン。精々、楽しませてくれペン。くぺぺぺぺぺぺ!》
ツー…ツー…ツー…
「貸せ!」
電話を引っ手繰る様に奪い、先程の相手の番号に掛けるが…
「電波が届かない…だと!?ふざけろ!」
先程、相手から掛かって来たというのに、此方から掛けられない。
故障かと思い、自分の携帯で電話を掛けようとするが…
「……どういう事だ?」
やはり電波が届かないと表示される。其れどころかどの電話番号も通じない。
慌てて周囲の一同も自分の携帯電話を掛けようとするが結果は同じ。
どうやら機内の電波が遮蔽されている様だ。
ならばエーテル通信かと思い、タカチマンがBIN☆らでぃんの携帯電話を調べるが、
エーテル通信に必要な結晶が何処にも無い。
「誰から…だったんですか?」
「……黒幕だ…。正体は解らないが……まだ何かあるらしい…」
………嫌な予感がした…
取り敢えず乗客達を各キャビンルームへと戻らせ、
メイは機長室へと航路確認に行くと言って来た。
機内の通信機がどれも使用出来ないので、直に歩いて行くそうだ。
勝手に侵入すれば射殺される事もあるが、この非常時では仕方が無いだろう。
「まあ、ちょっと待てよ。何か、知り合いやらが多いみたいだし
 此処等で一旦、情報交換といかねぇか?どうも嫌な予感がするんだ…。
 情報は多いに越した事は無い。違うか?」
其れには賛成の声が多くあった。勘の良い者は既に感じていたのだ…
………この事件は巧く動かないと命に関わると……
執筆者…is-lies
こうして彼等は自己紹介を始めた。

 

強気そうな少年…
「ボクは『ユーキン』!前大戦でも有名な正義盗賊だ!」
気弱そうな少年…
「えーっと、おかし…じゃなくってユーキンさんの弟子の『バンガス』です」
赤服の少女…
「……にんげん、きらいで…」
直ぐに少女の口を塞ぐバンガス。そしてユーキンが説明する。
「この子が『おトメさん』。まあ、此方もボクの弟子かな」

 

「敷往路メイです。そしてこの2人がハチとタクヤ。2人共『精霊神』です」
「精霊としての名は『ダルメシア・ヌマ・ブフリヌス』だ」
「同じく『吠黒天・猫丸』」
詰まりはハチとタクヤは精霊…しかも最高位の者が人間に姿を変えたものという事だ。
「私達は西日本の依頼で火星へと向かっていました。
 まぁ、其の西日本が崩壊した今、依頼も何もあったものじゃないですけど」
「キムラ…暗殺者だ。其処のメイに護衛として雇われている」

 

銀髪の男…
『佐竹』だ。各地で起きている『破滅現象』を調べている」
小柄な少女…
『ミナ』…です。佐竹さんと一緒に行動しています。
 そして、こっちの子が『リリィ』。アンドロイドです」
メイド服の少女ことリリィが会釈する。
「宜しく御願いします」
緑髪の青年…
『カフュ・トライ』。佐竹さんの護衛だ」

 

「…タカチマン…今は名前だけで十分だろう?」
「えっと…ナオキング・アマルテアです。
 タカチマンさんは魔導科学者で、其の助手をさせて貰ってます。
 僕達は依頼の調べものに必要なタカチマンさんの御友達を
 地球から連れて来た所で…何か……巻き込まれちゃって…オロオロ」
「俺が其の御友人とやらな。リュージってんだ。
 一応、銃火器店やってっから、銃で困った事があったら言ってくれや」
「はいは〜い!私はリエです〜!店長の店でバイトしてます〜」
「店長じゃ解んねェだろうが!
 ああ…俺の店のバイトだよ、コイツ」
「俺がジョニー。タカチマンさんの依頼主や」
「ジードだ。そいつ等(と言ってリュージとキムラを指差す)とは
 知り合いでな…面白がって付いて来たら…こうなった。
 これで全員終わりだな。で、機長室にはメイ達が行くとして…俺達はどうする?」
執筆者…is-lies
「それぞれ、キャビンルームに行ったほうがいいと思いますよ。」

 

「あ!あなたは・・!」
「君は・・確かゼロといったな。」
「ええ。」
「やはり、この便に乗ってたのか。」
「はい、あの時はどうも。」
「君たち、知り合いか?」
「知り合いというほどではないさ。」
「宙港まで一緒に乗せてやっただけだ。」
「佐竹さんこそ、お知り合いなんですか?」
「さっき、この機内で会っただけだ。」
「それより、キャビンルームに行ったほうがいいというのはどういうことだ?」
「あなた方の仰る、『黒幕』がこの航宙機内に居るからですよ。」
「この中に!?」
「ええ、さらに、まだ何か企んでいるようです。」
「・・・なに?」
「まだ詳しくは私にもわかりませんが、これからが『黒幕』の真の計画でしょう。」
「君はその『黒幕』について知っているようだな。」
「はい。『SFES』という組織です。知っている方もいらっしゃるのではないでしょうか?」
「SFES・・・だと?」
「・・・なるほど。」
「ど、どうしましょう、タカチマンさん!・・・オロオロオロオロ・・・」
ジード、タカチマン、ナオキングの反応を見て、ゼロがくすりと笑う。
「そこの三人の方はご存知のようですね。」
「ああ。少しだがな。確か、『セイフォート』とかいうものを研究している
 能力者たちのかなり大きい組織だとか。」
「それだけご存知なら十分ですよ。」
「その能力者集団が、何を企んでるんだ?」
「先ほど言ったように、まだ完璧にはわかりません。
 ですが、乗客に危険が及ぶのは間違いないでしょう。ですから、乗客を守りたいのなら
 このキャビンルームだけに固まっているのはやめたほうがいいでしょう。」
「なにを根拠にだ?」
「先ほど航宙機内を少し調べましてね。積荷に『あるもの』が載っていたんですよ。」
「あるもの?」
「おっと、少し喋りすぎましたか。
 あまりベラベラ喋るとSFESのみなさんから嫌われてしまいますね。」
「お前・・SFESと面識があるのか?」
「・・さぁ、どうでしょうね。」
「あ〜、あぶらあげたべたいです。」
「おトメさん・・」
「それでは私はこの辺りで失礼させていただきます。まだ見たい所があるので。」
「ちょ、ちょっと待ってくれ。君は一体どこまで知っているんだ?」
「秘密です。これ以上語る必要はないですから。それでは」
そう言うと、ゼロは扉を出て行った。
「一体、なんなんだ?あいつ。俺たちに情報提供してくれたと思ったら、
 SFESとの面識もある、さらに詳しいことは知っていても語らない。」
「一体・・・何者なのだ?」
「とにかく、このままじゃ乗客が危険だということは間違いなさそうだな。」
執筆者…you様
「・・・・とりあえず、手遅れになる前にSFESを叩くなりすべきか…」
「そうだな・・・・じゃ、いくとするか。」
リュージ達はキャビンを出て行った。
それに続いて、メイ一行、ユーキン一行と次々と彼等はキャビンを出て行く。
佐竹達の決めた班分けはこうだ。

 

上キャビンルーム…キムラ、ユーキン
下キャビンルーム…リュージ、リエ、佐竹
左キャビンルーム…リリィ、ミナ
右キャビンルーム…おトメさん、バンガス
前部キャビンブロック通路…タカチマン、ナオキング、ジョニー
後部キャビンブロック通路…カフュ、ジード
探索班…メイ、ハチ(ダルメシア)、タクヤ(猫丸)

 

各キャビンルーム内の守りは其れ程ではない。
部屋に直結している通路にこそ戦力を置いていた。
乗客達が混乱を起こしてしまってはいけない。
何が現われようとも、通路で片付ける積りだ。
同時にメイ、ハチ、ハクヤは、やはり機長室へと向かう。
先のゼロの言葉が真であれど、防戦一方では話にならない。
せめて航路確認だけは取りたかった。
先のテロの一件から解る様、この航宙機の保安機構は機能していない。
恐らくはゼロの言う『SFES』が手を加えたのだろう…
執筆者…鋭殻様、is-lies
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