リレー小説2
<Rel2.101便・SFES1>

 

《……為、近々、日本宇宙ステーションとの連携をした、
 効率的な運営をして行きたいと火星運輸大臣は話しております。続いて……》
宙港内、天井に設置されたニュース用TVを眺める者達…
左耳にのみピアスをした黒ロングコートの青年、
顔貌の良く似た金髪の少年少女…両方女に見える。
併し背丈は姉と思われる少女が上だ。
そして、ペットか何かか…嫌な目付きのペンギン。
人込みも気にせず、彼等はモニターに注目していた。
求める情報が其処にあったからだ。
 京都炎上。
正確な死者数は解っていないが、相当な数に上ったのだろう。
日本皇国の頂点でもある天皇の生死も定かではない。
「御待たせ〜」
人込みを掻き分けて現われたのは、丸サングラスを掛けた長髪の大女と
眼の下にクマのあるジャンキー染みた少年だ。
「反乱軍、居たみたいよ〜。
 …となると、オジジの勘はドンピシャね〜」
くるりと回る大女。妙にハイだ。
「…やっぱ、SFES関連か?」
「うん、そーね。
 確かに日本皇国の情報を集めていたみたいだけど、
 場所が場所よね〜。京都を目的地としているクセに活動地が東京よ〜?
 行動開始から目的地到着の間隔が長過ぎ。
 漏洩した情報が西日本に入る方が圧倒的に早いわ。
 アタシだったら…皇居で活動するわね。
 西日本はターゲットじゃない。飽く迄、建前。
 真のターゲットはアタシ達…幾つか情報も入手してるらしいわ〜」
其の言を聞いたペンギンが残虐な笑みを浮かべる。
「じゃあ、予定通りにする迄だペン」
喋っていた。というか「ペン」と来た。
「基地の方、俺等で潰してやったから、
 既に搭乗している14人を始末すればOKだ」
「始末…ていうか、ちゃんと尋問してよ。
 背後関係調べるのが仕事なんだし」
「そうそう、基地の情報、押さえる寸前で隠滅かまされちゃったけど、
 どうも予想以上に大きな組織が絡んでるっぽいわ〜」
おちゃらけた感じの口調と裏腹に
丸サングラスから覗く大女の眼は、残虐な色に染まっている。
「そりゃ楽しみだ。
 所でコンテナは検閲通ったのか?」
言いながら、彼等は7番線へと歩いて行った。
《標準時間10時発、
 火星アテネ宙港行き101便は7番線を御利用下さい》
執筆者…is-lies
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