リレー小説2
<Rel2.101便・セート3>

 

  101便・通気ダクト内
  【セート、ミレン、レオン、リュージ、 
   ユーキン、ハチ、シストライテ、レシル】

 

キャビンルームの真上辺りまでは進んだであろう。 
何故かといえば、下から誰かさんの叫び声が聞こえるからだ。 
「誰か助けてちょんまげ!コイツ、臭いんだっちゃ!」 
「うっせぇなぁ…しやあねぇだろ?」
そう、縛ったまま左キャビンルームに移動させた後、 
放置していたテロリストBIN☆らでぃんと変質者ゴレティウである。 
ゴレティウの体臭に悲鳴を上げているのだろう。 
変てこな日本語でギャーギャーと騒いでいるBIN☆らでぃん。
「そいや、あいつ等てっきり忘れてたな…」 
バンダナ越しに頭をポリポリと掻きながら 
呆れた様に小声で呟くのはリュージだ。 
「まあ、無事みたいですし… 
 SFES側から交渉を持ち掛けて来たんですから、 
 彼等が見付かっても殺される事は無いんじゃないでしょうか? 
 無論、SFESがマトモに交渉する意志を持っていれば話ですが…」 
レシルの言う様、SFES側も交渉という今、 
乗客に手出しをするとは考え難い。何よりも彼等を助けてやる義理は無い。 
其のまま放って置いても大丈夫だろう。 
再び進み始めるセート達。
そして漸くカーゴブロックの灯りが見えて来た。

 

  101便・カーゴブロック

 

 カーゴブロックはフロア全てが吹き抜けになっており、 
一旦、此処で下りなければならない。 
尚、本来ならある筈のファンは無い。 
先にレオン達がダクトで侵入した時に取り除いたのだ。
「良いですか?何処に何が仕掛けてあるかも解かりません。 
 慎重に行きますよ。レオン、どうだ?」 
黒いジャケットに片手を突っ込んだまま、 
ダクトから上半身を乗り出してカーゴブロック内の様子を探るレオン。 
「…………敵の気配は感じないが……奥の方迄は解からない」 
「其れだけ解かれば結構。さぁ静かに下りますよ」 
セートとレオンが音も無く通気口から身を乗り出し、 
隣にあった細いパイプを掴んでスーっと滑る様に真下へと下りた。 
先んじてカーゴブロック最下層に付いたセートとレオン。 
周囲に敵が居ない事を確認し、上のユーキン達にも下りて来る様にと手で促す。
「さっ、僕達も早く下りよ」 
ミレンがセート達に倣って隣のパイプを掴んだ其の時…

 

「ユーキンさ〜〜〜ん!!ハチ〜〜〜!!」

 

機関室方面からメイの叫び声が木霊して来たではないか。
「メイさん!!?」 
「御嬢!!?」
ユーキンとハチが慌てて叫んだと同時、 
彼等の居る通気口の対面にある通気口に付いているファンが破壊され、 
其処から無数の銃弾がユーキン達目掛けて殺到して来た。 
「ッ!」 
直ぐにシストライテが前に居たユーキン達を 
突き飛ばし、更に自分もカーゴブロック内へ飛び降りる。 
ユーキン、そしてユーキンにぶつかって落ちて来たミレンは 
セートとレオンが何とか受け止め、 
ハチもダルメシアの姿に戻ると、風を操作して宙に浮き、 
更に後続のリュージ、レシル、シストライテを助ける。 
銃弾は先程まで居た通気口へと其のまま入っていった。 
あの中に居たら蜂の巣にされていただろう。 
「敵…ですね………」 
「…あ…アイツ等、交渉どうなっても良いのか?」
狼狽えるダルメシアに答えたのは… 
「くぺーーーーぺっぺっぺ!交渉? 
 最初っからマトモにそんな事、考えてなかった連中の科白かペン?」 
機関室方面から放たれた大声、ペンギン太郎の声である。
「………成程…お見通しという事ですか…」 
コンテナに背を付け、声のした機関室側の扉を窺いながら呟くセート。 
機関室側の扉が開き、其処からペンギン太郎ともう1人が現われた。 
黒いロングコートを着た青年で、左耳に大きなピアスをしている。 
真っ赤なエレキギターの弦の上に指を滑らしながら 
眼を瞑ったまま不敵とも言える笑みを口元に湛えていた。 
今迄、見た事の無い敵の出現に内心焦る一同を他所に、 
数歩進んだピアス青年がすぅっと息を吸い、 
カーゴブロック全体に行き渡る様、大声で叫ぶ。
「聞こえるかぁ!?俺ぁシルシュレイってんだ! 
 一応、此処のSFES連中を仕切ってるボスってトコだ! 
 生憎だがお前等の作戦は全部筒抜けだ! 
 とはいえだ…俺も暴れられないまま全てが終わっちゃ物足りねぇ! 
 其処でだ……… 
 俺を殺せたら人質を解放し、 
 SFESを退散させてやる… 
 どーよ?」
いきなり提示された条件に一瞬、呆気に取られる一同。 
このピアス男さえ倒せれば万事解決に向かうというのだから 
これ程、美味しい話は無い。ダルメシアやユーキンが飛び出そうとするが、 
冷静なセートは其れを寸前で押し留める。 
「くぺーっぺっぺ、安心するペン! 
 違約さえなければこっちも約束は守ってやるペン! 
 シルシュレイを倒せればの話だけどねペン」 
相手側の妙な余裕……何かある。
確実に罠がある。
執筆者…is-lies
「敵の挑発に乗ってはいけません。 
 我々の目的はあくまで動力源を抑えることです」
セートの言葉に、一同は一旦コンテナの影に身を隠した。
挑発であるのは間違いない。このまま進めば先程のような罠が仕掛けてあるのは必至である。 
今までの戦闘を見ても、SFESの戦闘力の高さは容易に窺える。 
しかし、ここにいるメンバーも決して弱くはない。 
「(全員でかかれば…)」
思考を巡らせるセートであったが、その足は止まったまま。 
必死に何かを言おうとするが、口を開いたまま何も言い出すことが出来ないでいる。 
勝利のイメージがまるで浮かんでこないのだ… 
『あの男には勝てない…』 
今まで何度も修羅場を潜り抜けてきたセートの戦士としての本能が直感的にそう答えた。
「(一度退いて敵の出方を見るか…)」 
セートが後ろを振り返り、キャビンブロックに通じるドアを確認する。 
ロックはされていないようだ。 
しかし、ここまで自分達の行動が読まれていた以上、
既に後ろにも罠が仕掛けられている可能性は十分にある。 
むしろ、『退路に罠を張り、逃げ腰になった獲物を仕留める』というのが狩りの鉄則である。
戦うか?退くか? 
選択肢がセートを追い詰める。
退くにしてもシルシュレイ達に背を向ける事になる。 
いや、そもそもあの男の前に姿を現す事自体、危険に思える。 
「も…もう戦うしかないんじゃ…?」 
「そうだなぁ、そっちの方が俺は楽しいなぁ」 
驚いた事に、ミレンの小声に答えたのはシルシュレイだ。 
ざっと見ても200m程は離れているというのに、 
しかも幾つものコンテナによって声が遮られているにも関わらず。 
「其れともアンタ等は隠れんぼがお好みかい? 
 生憎、俺はそーゆーガキっぽい事ぁ… 
 …まー嫌いじゃねぇけどよ、大人と付き合う趣味ぁ無ぇ」 
シルシュレイが脇にエレキギターを抱え、ヘッド部分を天井へと向ける。 
「?」 
何だとセートが思った直後、タンッと乾いた音と同時にヘッド部が光り… 
其のギターが銃であると解かったと同時に、 
セートの頬に赤い筋が縦一直線に奔った。 
「…ッ…!?」 
見ると床が抉れて煙を放っている…天井から放たれた弾丸がセートの頬を掠ったのだ。 
だが、一同が目を凝らしても天井にスナイパーの影一つ発見出来ない。 
「まさか……跳弾で…」 
シルシュレイが放った弾はたったの1発。 
其れが天井に跳ねてセートの頬を掠めた。幾ら何でも正確過ぎる。 
「其のまま隠れてて脳天撃ち抜かれるか、 
 逃げて背中から心臓撃ち抜かれるか、 
 俺と戦うか……決めろや」
正面から戦って勝てる相手ではない。 
だからと言って悠長に対策を練る事も出来ない。 
ふと、セートの目に上のタラップが目に止まる。 
3つのフロアから成る。現在、彼等が居るのは2層目。
「……………皆さん…皆さんの命… 
 私に預けてくれますか?」
「どうしたぁ?隠れてばっかいるんなら… 
 今度は利き腕を撃ち抜いてやっても良いんだぞ?」 
ギターを模した銃を構えながら、大胆に歩を進めるシルシュレイ。 
隙だらけに見えて、威圧だけで獣をも追い払えそうな雰囲気を纏い、 
1歩、1歩、確実にセート達の隠れたコンテナに近付く。
やがて、観念したのかセートとダルメシア、シストライテが姿を現し、 
シルシュレイと対峙する。彼等の表情はどれも意を決した戦士の目だ。 
「へぇ、覚悟を決めてくれたかい?上等」 
即興のフレーズを掻き鳴らして歓迎の意を表すシルシュレイ。 
「ペンちゃん、其の入り口はちゃんと見張ってろよ」 
「くぺぺ、言われなくても解かってるペン」 
機関室側の扉をペンギン太郎に任せ、青年はダルメシア等へと駆け出す。 
これを好機と槍を構え、ダルメシアも颶風と化して青年へと突き進む。 
慌てず騒がずシルシュレイは跳躍し、擦れ違い様にダルメシアへ後ろ蹴りを入れ、 
其の反動で跳んで上のパイプに捕まり、セート達に向けて掃射を行う。 
そんな間にもギタープレイは続けられていた。 
銃声をもフレーズに併せ、暴力的な音楽を形成している。完全に楽しんでいる。
だが、何を思ったかセート達は弾丸にも怯まずにシルシュレイへと接近する。 
彼等とて極めて高い身体能力の持ち主。弾丸は体の所々を掠めるに留まる。 
「お?」 
少し呆気に取られた感じの表情でセート達を眺め、 
彼等が刀や拳を繰り出す直前で、体をくねらせながら後ろ跳びになる青年。 
背後のダルメシアが突き出した槍を軽々と掴んで止め、 
其れを主軸にして回り勢い付け、ダルメシアに再び蹴りを入れようとするが、 
今度は精霊神の対応が早かった。 
手で槍を回転させ青年を床へ叩き付けようとする。 
深入りはせずにさっさと槍から手を離して体勢を整えるシルシュレイ。 
「………良いねぇ、このリズム」 
シルシュレイの顔には心底楽しそうで、凶悪な笑みが浮かんでいた。
間違いない。この男は戦いを楽しんでいる。 
先に出して来た条件を見ても其れは明白であった。 
青年…シルシュレイは使命云々よりも自分の楽しみを優先する男だ。 
更に先からの攻撃はどれも致命的なものではない。 
勝つ事ではなく、戦う事自体に意味を見出すタイプの人間。 
だから一気に自分達を殺す事はないだろう。 
其れこそスポーツか何かの感覚で戦いを続ける。 
セートは其れを見抜いていた。
目的は敵を倒す事ではない。機関室の動力パイプを正常に直す事。 
3層目と最下層に潜んだ仲間が機関室を制圧する事を祈りながら、 
シルシュレイを楽しませ……其の裏で実利を得る為に戦うセート達。
執筆者…Gawie様、is-lies
最下層に移動したレシル達が機関室に向かって走り出す。 
あのペンギンに不意打ちを掛けて倒し、通路を確保するのだ。 
幸い、シルシュレイという青年はエーガ達との戦いに夢中の様だし、 
ペンギン太郎も其れを面白そうに見物している。 
やるなら今しかない。 
ペンギン太郎が立っているであろう場所の真下に着いたレシルが、 
上に向かって魔法の炎弾を放つ。 
灼熱の焔が薄い通路と一緒にペンギン太郎を一瞬で蒸発させる。
…筈だった。
「くぺぺ?今、何かしたペンか?御嬢さん」 
床に開いた穴を跨いで、眼下のレシル達に嘲笑を浴びせ掛ける。 
ペンギンは全くの無傷であった。 
「な…このバケモノめ!!」 
片腕…しかも左腕であるにも関わらず、 
口を使って何とかボウガンに矢をセット、 
早速ペンギン太郎の眉間に撃ち込むユーキン。 
矢は陰険な笑みを浮かべたペンギンの 
憎らしい顔を貫通し、天井に突き刺さる。
だが、ペンギン太郎の額には傷一つ付いていない。 
「くぺぺ…そんなもの痛くも痒くもないペンねぇ〜」 
一方、最上層を走っているミレンも 
ペンギン太郎へナイフを投擲するが、全く効果が無い。
「今です、ダルメシア!!」 
セートが叫ぶと共に、ダルメシアが機関室向きに突風を発生させた。 
溜まらず、横のコンテナの淵に掴んで吹き飛ばされない様にする。 
「今ですって……何が?」 
呆気に取られるペンギン太郎がちらっと上を見ると… 
「は…はうぅ!?」 
全く気配を察知出来なかった、セートの仲間である剣士レオンが、 
最上層から高く跳躍していた。 
風の援護も受けて本来なら有り得ない距離を跳んでいるのだ。 
そして其の先は… 
「くぺぇ!?」 
顎が外れるペンギン太郎。 
レオンが跳んだ先は、窓の割れたクレーン操作室である。
「ちッ、アイツ、レオンとか言ったな。 
 目には見えても耳には聞こえねぇか…。面白い!」 
 おーい! ペンちゃん! ステルス野郎がそっちにいくぞッ!!」
レオンに気付いたシルシュレイが後ろを振り返って叫ぶ。 
その隙を逃さず、セートがシルシュレイに斬りかかる。 
しかし、シルシュレイはセートの斬撃を軽くかわすと、大きく跳躍し、
そのままギターを構え、レオンに迫る。 
「させるかッ!」 
追撃ちをかけるようにダルメシアが放った竜巻が空中のシルシュレイを捕える。 
常人であれば、体を引き裂かれるほどの風圧だったが、
シルシュレイは渦に巻かれながらも持ち堪えている。 
だが、ダルメシアが狙っていたのはここにあった。 
いかに相手が強力であっても、空中での移動手段を持たない限り、
宙に浮いた状態で拘束してしまえば身動きは取れないはずである。
「今です! 全員機関室へ!」
シルシュレイを空中に拘束し、ペンギン太郎がレオンに向かった隙を突き、
下層から回り込んだ他のメンバーが一斉に機関室側の扉になだれ込んだ。
執筆者…is-lies、Gawie様
  101便・機関室への通路

 

真先に扉へ乗り込んだシストライテが直に最後の扉を確認する。 
だが、やはり扉はロックされていた。
「この扉を抜ければ…。ミレン!」 
シストライテがロック解除のためにミレンを呼んだ。 
しかしその時。
「よぉ、シストじゃねぇか」
聞き覚えのあるその声にシストライテがハッと振り返る。 
シルシュレイとペンギン太郎を突破したことで先走り過ぎていた… 
敵はここにも潜んでいたのである。
「ア…アズィム…」
直にシストライテが身構える。 
「近寄らないで!」
「なんだよ。感動の再会だってのに、殺る気満々じゃねぇか?」 
アズィムと呼ばれた少年は、両手を広げ、シストライテを抱きとめるように歩み寄る。 
そこへ、ユーキン、レシル等が駆けつける。
「ちィ、まだいやがったのか!?」 
シストライテと対峙するアズィムに、
ユーキン、ミレン、リュージが一斉に攻撃を仕掛ける。 
先程のカーゴブロックとは違い、ここは機関室前の狭い通路である。
3人の同時攻撃をかわせるようなスペースはない。 
リュージの銃弾がアズィムの体を掠め、矢とナイフが防御するアズィムの掌に突き刺さる。
更に間髪いれずレシルの電撃がアズィムを撃つ。
そして、シストライテが拳に渾身の力を込めてアズィムに迫る―――
「強くなったなぁ、シスト…。 
 さぁ、俺を止めてくれ……」
「……ッ!!」
シストライテの拳がアズィムを討つことはなかった。 
彼女は直前で拳を止め、そのまま崩れるようにアズィムに身を委ねた。
「シストライテ…!?」
相手は、あのSFES…何故…? 
一同は動揺する。 
アズィムは血塗れの腕にシストライテを抱きながら、その顔には邪悪な笑みを浮かべている。 
次の瞬間、アズィムの放った膝蹴りがシストライテを弾き飛ばした。
「甘ぇよ。お前に俺は殺せねぇ。 
 お前は全然変わってねぇんだな。  
 ケケケ! 愛してるぜェ! シスト!!」
アズィムはその手に刺さった矢やナイフを引抜きながら一同に近付く。 
まるで痛みを感じないのか、その顔に苦痛の色はない。 
それどころか、悦楽の表情を浮かべながら手から流れる血を舐めている。
ぐあぁぁぁぁ!!」 
「ミレン! 助けてくれ!!
クレーン室の方から響くセート達の叫び声に一同が振り返る。 
ここまでなのか…
「いや、違う。 
 セート達は殺されたってあんな声を上げたりしない。 
 それより、シストライテさんは…!?」 
「構いません。ここは私が。 
 ミレンさんは機関室をお願いします」
三度目の声真似ではもう騙されない。 
何より、敵が声真似で動揺を誘ってきたという事は、
それはセート達がまだ闘っているという証拠でもある。 
再びリュージが銃を構え、ユーキンがボウガンに矢を番える。 
そして、レシルが全員を覆うように魔法障壁を張り、ミレンは扉の開錠にかかる。 
扉にはロックを示す赤いランプが点灯している。
「電源が入ってる。これなら…!」 
ミレンが懐から小道具を取り出し、電子錠に差し込む。 
しかし、一方のアズィムも黙って見ているはずはない。 
アズィムは一人無防備なミレンに狙いを定め、素早く距離を縮める。 
一斉に射撃を開始するリュージとユーキン。 
堪らずアズィムは近くの船員室に逃げ込む。 
「これで時間が稼げる」 
リュージがそう思った瞬間、 
アズィムは船員室のドアを引き剥がし、それを盾にして突進してきた。 
ここで接近戦に持ち込まれたら勝ち目はない。 
透さずレシルが突風を起し、ドアごとアズィムを通路の奥へ吹き飛ばす。 
が、やはり有効なダメージは与えられない。
「ケケケ、やるな。 
 特にそっちの女の方はまだ余裕がありそうじゃねぇか。 
 だがな…!」
そう言いながら突進してくるアズィムに、レシルが再び突風を放つ。 
しかし、今度はアズィムが魔法障壁でそれを防ぐと、なんとレシルを上回る突風を放った。 
接近戦タイプであると思われたアズィムの魔力は余裕でレシルの風を押し返す。 
通路全体が軋むほどの衝撃がレシル達を襲う。 
と、その時。
「開いた!」
ミレンが機関室の開錠に成功した。 
直にリュージ、ユーキン、ミレンが機関室に突入する。
執筆者…Gawie様

  101便・機関室
  【リュージ、ユーキン、ミレン】

 

「はうぅ! ししし侵入者ですぅ!!」
機関室に突入したリュージ達を待ち構えていたのは、
謎の魔女っ子小桃とアンドロイドキララであった。 
機長室を強襲し、佐竹を負傷させた魔女っ子。 
よく解らない攻撃(?)でバンガスを倒したアンドロイド。 
とてもリュージ達だけでは手に負えそうもない。
しかし… 
シルシュレイやアズィムの突き刺すような殺気とは明らかに異なり、 
二人とも、突入して来たリュージ達に対し何故かオドオドしている。
「御嬢ちゃんか…、ちょっと邪魔するぜ」 
少々拍子抜けしたリュージが二人を横目で見ながら動力パイプに歩み寄る。 
異常は直に解った。 
機械とも生物ともつかない物体が機関室内のあちこちに取り付いているのである。
「コレだな…」
奇妙な物体は特に反撃してくる様子もなく、リュージが銃弾を撃ち込むと、
触手のように伸びたケーブルをくねらせながら、あっけなく床に落ちて動かなくなった。
「やった…、僕達の勝ちだ」 
「じゃあな、御嬢ちゃん、邪魔したな」 
リュージ達は武器を納め、敵意はないということをアピールしながら機関室の出口に向かった。 
ところが、先程までオドオドしていた小桃が
何かをブツブツと呟きながら、機関室の出口の前に立ちはだかった。
「何だよ御嬢ちゃん、そこ、どいてくんねぇか?」
「………わ…私は…貴方達を・・・排除します・・・」 
「何?」
ゴオオオオオオ!!
小桃は発言と同時にリュージ達に手の平を向け 
火炎放射を放った。 
「な!?」 
リュージ達は何とか炎を回避した。 
さらに小桃が指を鳴らすと上下から氷の槍が突き出してきた。
「・・・相手をどう判断しようと御自由ですが・・・ 
 油断をすれば確実に怪我をします・・・」 
先ほどの氷の槍で右足に怪我をしたユーキンを見て 
小桃は聞える程度の声で言った。 
「うぬう・・」 
止血をしながらユーキンはうめいた。 
その間に機械室に取り付いていた物体が蘇り始めていた。 
「生き返った!?」 
しかし物体はリュージ達には目もくれず、 
自分達がいた元の位置に戻り始めた。
「殺しはしません・・・ただ動けなくなってもらいます・・・」
執筆者…Gawie様、R.S様
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