リレー小説2
<Rel2.101便・ロバーブラザーズ4>

 

  101便・VIPルームブロック通路

 

豪奢な絨毯やシャンゼリアのある通路、 
何か顔中に出来物のある女性が2人転がっていた。 
用心して近付かない様にするバンガス達。 
其の時、彼が背後にした扉が急に開かれ…… 
キャアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!多くの少女達の悲鳴と共に扉から出て来たのは、 
カッターシャツにベルトインの黒ズボンという出で立ちの男であった。 
『モーニンゴ娘』が航宙機事故で全滅なんて洒落にならないわ!! 
 この『つんく♂♀』が命に代えても皆を守ってあげるわん!!」 
オカマ言葉で訳の解からぬ事を叫ぶ男。 
突然の事に怯える乗客達をユーキンが何とか落ち着かせようとする。 
一方、つんく♂♀と名乗った男は、 
手にしたモップを武器にしてバンガスへと襲い掛かる。
つんく♂♀は意味不明な叫び声を上げながらバンガスへ突進する。 
「う、うわあ!!」 
そのあまりの速さに、バンガスは反応し切れなかった。 
「もうダメだぁー!!」 
再びバンガスは諦めかけた。しかし…
ぽかぽかぽかぽかぽかぽかぽかぽかぽかぽかぽかぽかぽかぽかぽかぽかぽかぽかぽかぽかぽかぽかぽかぽかぽかぽかぽかぽかぽかぽかぽかぽかぽかぽかぽかぽかぽかぽかぽかぽかぽかぽかぽかぽかぽかぽかぽかぽか
「……………」
ぱこぱこぱこぱこぱこぱこぱこぱこぱこぱこぱこぱこぱこぱこぱこぱこぱこぱこぱこぱこぱこぱこぱこぱこぱこぱこぱこぱこぱこぱこぱこぱこぱこぱこぱこぱこぱこぱこぱこぱこぱこぱこぱこぱこぱこぱこぱこぱこ
「……………」
「なぁにこの石頭! 
 このアタシの攻撃が効かないじゃないの!」 
つんく♂♀はバンガスの頭を必死に叩く。叩く叩く。 
モップで叩く。叩く叩く。
べき
「あ」
つんく♂♀の持っていたモップが折れた。 
つんく♂♀は非力だった。 
バンガスは、折れて床に散らばったモップを見た。 
「……もろい…」 
モップの折れた部分は白かった。 
「…ペイントされてる…」 
そう、モップは色を塗られていた。 
「…発泡スチロール…」 
そう、モップの正体は発泡スチロールだった。 
アアア…アアアアア!!! 
 このアタシの作った自作モップが折れたぁ!
バシィ 
次の瞬間、ユーキンのビンタがつんく♂♀の頬を直撃する。 
そして、つんく♂♀はその場に倒れた…。
キツネグマ命名者の少年と其の母親が、自覚無きまま煽る。
「アハハハ!おもしろ〜い!」 
「あら、本当。漫才をやって下さっているのね」 
「な…何をぉお!………あら?」 
立ち上がったつんく♂♀の涙目が、おトメさん…そしてミナへと向けられた。
執筆者…is-lies、ごんぎつね様
「……ねぇ、貴方達!モーニンゴ娘に入らない!?」 
何か当初の目的を忘れて滅茶苦茶な事を言ってるつんく♂♀。 
「き…貴様ァーーー!?ロリコンかぁ!?」 
劇画風の濃ゆい顔になって汗を流しながら叫ぶユーキン。 
おまいう。
「失敬ね!才能は小さい内に育てていくのが最良なのよ! 
 この2人には確実に才能あるわ!スターになれるわ!!
 (嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ) 
実際におトメさんの勉強を手伝ったユーキン&バンガスは 
おトメさんがスターになっている姿なんぞ想像出来なかった。 
ミナはミナでオロオロして「あの」だとか「その」だとか言ってるだけだ。 
「兎にも角にも、モーニンゴ娘に入りなさいよ! 
 そっちの御二人は御兄様? 
 私、セブンHOSEプロデューサーのつんく♂♀です」 
今更、態度を改め名刺を差し出すつんく♂♀。 
バンガス達は無常にも名刺を手の甲で払う。 
「この2人の才能は、このまま埋もれさせるには………」 
くどくど説得を続けるつんく♂♀を無視して先へ進もうとするユーキン一行、だが……!
「ちょっと、つんくさん!そんな娘入れちゃ、モーニンゴ娘の質が下がっちゃうよ!」
ドアの中からモーニンゴ娘の1人が顔を出して、つんく♂♀に抗議する。 
ピクリと血管を浮かばせるバンガス。 
其れを見て訝しげな表情になるユーキン。 
更に別のモーニンゴ娘が口出しした。
「そうです〜。イモです、イモ。 
 一生脇役ってゆーか、取り柄無さそうです〜」 
「そうそう!其れにメンバーが増えたら 
 一人一人も目立たなくなっちゃうし!」
今更である。
無表情なバンガス。無表情過ぎて怖い位に…… 
更に続くモーニンゴ娘達の罵声と、 
何とか宥めようとする、つんく♂♀の頼りない声……
「………つまらない。こんな大量生産アイドルに構っている暇は無い……
 行きましょう、御頭、ミナさん。さ、こっちだよ、おトメさん」 
張り詰めた顔から一変、脱力した様に溜息を吐き、乗客達の避難を進めるバンガス。 
其のクールな態度に罵詈雑言を浴びせるモーニンゴ娘。
だがバンガスは意にも介さずに其の部屋前を後にする。
あんな連中におトメさんをとやかく言われるのが勘弁ならなかった。 
おトメさんは…其れは確かに、行動や言動は幼稚で、 
演技や対談も出来そうに無い。歌うなんぞ想像すら出来ない。 
だが其れでもおトメさんは、まるで赤ん坊の様に純真無垢。 
慣れない世間でも物を覚えようと「これなんですか?」を繰り返す。 
あんなプライドと世の中の汚さに塗れた女共に、おトメさんを見せる事すら許せない。 
そしてマジメに対応する事すら馬鹿馬鹿しい。
所詮おトメさんとは住んでいる世界が違うのだ。
ふと…バンガスは思う。 
おトメさんに人の世の事を教えて本当に良いのだろうか?
執筆者…is-lies
一方のおトメさんはと言えば… 
「う〜」 
いつものように意味不明な唸り声をあげている。 
バンガスは思った。 
(何を考えてるんだろう?) 
そして、問いかけるバンガス。 
「ねえおトメさん。人間の事、色々知りたい?」 
狐女はう〜と唸った後にこう答えた。 
「わからんです」 
「……………」 
バンガスは思った。 
(何も考えてないのかも…。 
 …なるようになれ、なのかなぁ…)
3人と1匹は先に進もうとする。 
そんな3人と1匹の後に近付く人影。 
「ねえ待ってってばぁ〜〜〜」 
「しつこい」 
「おう?!
バンガスは冷たく言い放つと、つんく♂♀に裏拳を叩き込む。 
つんく♂♀はそのまま仰向けに倒れる。 
モーニンゴ娘のメンバーを巻き込みながら… 
「ギャ」「ギャ」「ギャ」「ギャ」「ギャ」「ギャ」 
「ギャ」「ギャ」「ギャ」「ギャ」「ギャ」「ギャ」
「おお、人間ドミノ倒し!!」 
そのままドミノ倒しになった似非アイドル達を置いて、 
ユーキン達は機長室前の通路へと出た。
執筆者…ごんぎつね様、is-lies

  101便・機長室前通路

 

見ると、機長室のブ厚い扉を守る様にして立ち塞がる2つの影があった。 
1人は紫の髪をした少女。 
先におトメさんを狙って来た『アヤコ』と呼ばれるSFESサイドの人間とは別人の様だ。 
何となく全身から無気力さが漂って来ているが、スタイルの良い美人である。 
手にしているのは自作のヨーヨーであろうか? 暇を潰している様だ。 
もう1人はメイド服を着た三つ編み赤髪の少女。 
メガネを掛けているのが何とも大人しそう………というか、 
ヘタレっぽく「あうー」とか言いながら、隣の紫髪少女の袖を引っ張る。 
「来ましたよ〜。ユーキンさん達〜!」
其の声にやはりボーっとしながら柴髪少女は先ずは会釈する。 
そして、つられて返すユーキン一行。
「………初めまして…『細川小桃』です…」 
「あう〜、私はキララって言います〜。宜しくです〜」 
何となく脱力しそうになるのを堪え、何者かと問うバンガスに、予想通りの答えが返って来る。 
「…SFESのゲストです………今、監禁したリリィさんに興味があるだけです……」 
「唯、私達がリリィさんと接触するのは、 
 SFESの皆さんがタカチマン博士の勧誘に成功したら… っていう条件があるんです〜! 
 だからSFESの皆さんに協力…って訳です〜」 
要するに、彼女達は、何の為かは解からないがリリィに興味を持ち、接触したがっている。 
だがリリィの乗ったこの航宙機はSFESが掌握。 
何か大事が起こる前にSFESに取り入り、リリィと接触しようと言うのだ。 
「………だから…此処は通せませんよ………」 
殺気も何も込めずに淡々と言うだけである。迫力も何も無い。 
小桃は続けて言葉を発する。 
「引き下がりますか?それとも…」 
「引き下がるわけないだろう?」 
小桃が「それとも…」と言うと同時に、ユーキンが言った。 
場は一瞬、静まり返った。 
ユーキンが再び口を開く。 
「ここまで来て引き下がるわけにはいかないよ! 
 キミたちこそ引き下がれっ!!」
そのユーキンの言葉をあとに、その場は沈黙に包まれた。 
…と、次の瞬間。いきなりの出来事だった。 
小桃が手に持ったヨーヨーを使ってユーキンたちに攻撃を仕掛けて来た。 
「うわおっ?!」 
 ユーキンが咄嗟に攻撃をかわす。 
小桃は無言のまま、攻撃を仕掛ける雰囲気を見せている。 
「………やるのかね。 
 ………行くぞバンガス!おトメさん!!!」 
「ハ…ハイッ!!行くよおトメさ…って、あれ?」 
 おトメさんはいなかった。 
 バンガスが振り返ると、席の影に身を隠したおトメさんが 
 一行がいる方向を睨んでいた。 
「どんどんいやです」 
狐女は平然とそう言うと、岩に化けて固まった。
「…こんなのがスターになれると思うのかねぇ、つんくさん」 
ユーキンはボソッとそう言うと、小桃たちがいる方向へ向き、身を構える…! 
その目は真剣そのものだった。バンガスもまた同じだ。
執筆者…is-lies、ごんぎつね様
ミナは乗客を後退させ…VIPルームの一つに退避させると、 
小桃の方に近寄って、なるべく刺激しない様に説得を試みる。 
「あ…あの……細川小桃さん…貴女の事…知ってます…… 
 火星の大企業『細川財団』の令嬢……」
ゆっくりとミナに注目する小桃。 
「……貴女が…リリィに興味を持つのは…解かる気がします… 
 其処のアンドロイド・キララさんも…貴女が作ったと…」 
ユーキン達は眼を剥いた。このキララと呼ばれた少女は人間ではなかったのだ。 
ミナは更に続ける。 
「リリィに…用があるのなら……私が……」 
其処に小桃が口を挟む。 
「………戦力調査と言っても……受け入れてくれますか?」 
「!!?」 
「其れに…航宙機は完全にSFESが掌握しています… 
 貴女方に付く理由もありませんし…………」 
言い切るなり、片手でヨーヨーを振り被り、もう片手に魔力を込める小桃。 
「ミナさん、危ない!!」 
立ち尽くすミナに覆い被さり、姿勢を低くするユーキン。 
其の頭部ギリギリを通り抜けるヨーヨーの連撃。
「ちょ〜っとぉ!あのコ達をデビュ……
 しまっ!?
 ぶーっ!?
 たいっ!?
 ほぉぉおおッ!!!?
ユーキン達の後を追って来たであろう、つんく♂♀が 
ヨーヨーの四連撃をマトモに喰らって吹っ飛んでいく。 
「「「「「「「「「「「「アンタ達、さっきはよくもやってくれたわねッ!」」」」」」」」」」」」 
やっぱりコイツ等も来てました。モーニンゴ娘。 
だが、こんな連中を相手にしている暇は無い。 
小桃の片手に収斂された魔力を感じるバンガス。 
「御頭、ミナさん、おトメさん!逃げましょう!!」 
岩になったおトメさんを引き摺る様にしてVIPルームに逃げ込むユーキン一行。
小桃から放たれた紅蓮の炎は通路を塞ぐ程に巨大であった。 
VIPルームに逃げ込んだバンガスの判断は正解だ。 
炎が通り去ったと感じ、ボウガンを構えながらVIPルームから飛び出すユーキン。 
だが……彼が眼にしたのは…… 
小桃&キララよりも先に眼についたのは……
アフロと化したモーニンゴ娘&つんく♂♀であった。
ぶ…ぶはははははははははァッ!!何だ其の頭ァ!!?」 
笑い転げるユーキン。無理も無い。 
「はあぁ!?アンタ達の頭がァ!?」
「「「「「「「「「「「「つんくさんの頭がァ!?」」」」」」」」」」」」
漸く互いの頭が小桃の爆炎魔法の余波で 
アフロ化している事に気付くモーニンゴ娘&つんく♂♀。 
「………」 
アホらしいと思いながら笑い転げているユーキンに魔法を放とうとする小桃。 
だが油断無く小桃に注意していたバンガスの射撃で、急遽、回避行動に移る。 
「!!?」 
弾丸を苦も無く避ける小桃。明らかに人間を超えている。 
直ぐにバンガスも銃を構え直すが……
執筆者…is-lies
「其処迄だっちゅーの」 
「其処迄だっちゅーの」 
「其処迄だっちゅーの」 
耳の錯覚か?背後からコギャル(死語)の声を聞いて振り向くバンガス… 
其処には……… 
は…はあああああああああぁぁぁぁぁぁあああああぁぁッ!!?
すんごいデブのヤマンバ女子高生(しかもクドい顔の)が3人… 
バンガスに向かって棍棒や鎌、ハンマー等の凶器を見せ付けていた。 
「アタシ達はSFES機動部隊所属将校『クドい三連星』!!」 
「アタシ達はSFES機動部隊所属将校『クドい三連星』!!」 
「アタシ達はSFES機動部隊所属将校『クドい三連星』!!」 
3人が3人、全く同じ科白を順々に喋る。 
「………クドい……………」 
そんなバンガスの突っ込みも無視してクドい会話を始めるクドい三連星。 
「ねー、こっちで良いの?機関室はァ?」 
「ねー、こっちで良いの?機関室はァ?」 
「ねー、こっちで良いの?機関室はァ?」 
何ホザいてやがると内心で問い掛けるユーキン。 
こっちは機関室と全く正反対の機長室側なのだが……
…というか、機長室前は、おぞましい状況と化していた。 
機長室への扉を守る細川小桃&キララ。 
VIPルームに隠れる乗客やミナ、おトメさん。 
通路に溢れるアフロのモーニンゴ娘&つんく♂♀。 
スクウェアブロックから、この通路にやって来たヤマンバデブ女子高生×3。 
それ等と対峙するユーキン&バンガス。
「ま、良いや。大名古屋国大戦の勇者、正義盗賊ユーキンとバンガス! 
 このアタシ達が成敗してやるゾ!!」 
「ま、良いや。大名古屋国大戦の勇者、正義盗賊ユーキンとバンガス! 
 このアタシ達が成敗してやるゾ!!」 
「ま、良いや。大名古屋国大戦の勇者、正義盗賊ユーキンとバンガス! 
 このアタシ達が成敗してやるゾ!!」 
どうやら成り行きでSFES将校との戦闘に入ってしまった様だ。 
身構えるユーキン達。だが相手の容姿に威圧されている様だ。 
『ジェットストリームアタック』を仕掛けるぞ!!!」 
「『ジェットストリームアタック』を仕掛けるぞ!!!」 
「『ジェットストリームアタック』を仕掛けるぞ!!!」 
「了解!」 
「了解!」 
「了解!」 
自分で「仕掛けるぞ」と言っておきながら、自分で「了解」とのたまう奴も珍しい。 
一列に並び、各々イタいポーズを取るクドい三連星。 
すると凄まじいスピードでユーキン達に向かって突進して来たではないか。 
しかも、恐ろしい迄に速い。
危険を感じてVIPルームに再度隠れるユーキン一向。 
突進中のクドい三連星は、アフロのモーニンゴ娘やつんく♂♀を弾き飛ばし、 
機長室前に佇む小桃達に突っ込んで行くではないか。 
どうやらクドい三連星、突進中はトランス状態らしく、 
仲間である筈の小桃にも気付いていない様だ。
「ゲフン!?」 
「ゲフン!?」 
「ゲフン!?」 
そのまま突進していったクドい三連星は、 
小桃とキララにあっけなく避けられ、壁に激突する。
クドい三連星は向きを変えると、 
再びユーキンたちのほうへ突進してきた。 
『ジェットストリームアタック』を仕掛けるぞ!!!」
「『ジェットストリームアタック』を仕掛けるぞ!!!」
「『ジェットストリームアタック』を仕掛けるぞ!!!」
「任せろっ!!!」 
今度は不意打ちではない、大丈夫のようだ。 
ユーキンは突進してくるクドい三連星の前に立ちはだかる。 
「御頭っ?!」 
バンガスは叫んで前に出ようとするが、ミナに止められる。
一同はユーキンVSクドい三連星の戦いを目にした。
執筆者…is-lies、ごんぎつね様
クドい三連星は縦に並んでユーキンへ突進! 
「ごぉぉおああ!!」 
ガイアが叫び、手に持った鉄パイプをユーキンに向けて振る。 
「たあああっ!!」 
ユーキンは跳んだ。が、天井に頭をぶつけた。 
あいたっ?!
ユーキンはそのまま落下する。ガイアの頭を踏んづけて… 
「アタシを踏み台にした?!」 
クドい三連星の攻撃は続く。 
「ごぉぉおああ!!」 
ガイアの頭の上にいるユーキンめがけて 
マッシュが巨大なパチンコ弾を発射する。が…! 
「どぉあ!」 
「うごぉ!?」 
ユーキンはガイアの頭を踏み台にして、再び跳ぶ。 
そしてマッシュの鳩尾にパンチを喰らわせた。 
ガイアとマッシュを倒した(?)ユーキン。しかし… 
「ごぉぉおああ!!」 
今度はオルテガだ。マッシュと同じく巨大パチンコ弾を構える。 
げっ?!
ユーキンは隙を見せていた。さすがに避けられない…その時!
「!!!」
オルテガがユーキンへ巨大パチンコ弾を発射しようとしたその時、 
オルテガの目の前に岩が飛んできた。 
岩に化けたおトメさんをバンガスが投げつけたのだ。援護射撃である。 
「この野郎!あと少しってところを!!!」 
オルテガは拳で岩(おトメさん)を叩きつける。が… 
いでぇええっ!!
「素手で岩を叩き壊そうだなんて無理でしょ…」 
オルテガは痛さに怯む。
「そこだあっ!!!」 
オルテガの隙をユーキンは見逃さなかった。 
ユーキンは力いっぱいのパンチをオルテガの顔に叩き込む。 
げふっ!!!
オルテガは直撃パンチを顔面に喰らうと、バタリと倒れた。

 

   ユーキンVSクドい三連星
                   勝者・ユーキン
ユーキンがクドい三連星と戦っていた間に、 
乗客達は気絶したモーニンゴ娘&つんく♂♀を 
VIPルームに連れ込んでいた。戦いの邪魔にならない為であろう。 
「ぐぞぉ……調子ノってんじゃねーぞ?……最終兵器始動!!」 
まだ意識のあったガイアが、携帯電話を操作…… 
そしてガクっと倒れた。何かの発動スイッチであろう。 
見るとスクウェアブロックの方から、何者かが近付いて来た。
「何ぃ!?」
執筆者…ごんぎつね様、is-lies
 ファンシーな丸型の体…つぶらな瞳、フサフサ耳に尻尾…ひらひらアンヨ… 
其れはユーキン達と同じく、大名古屋国大戦の勇者… 
ネオス日本共和国の最新ロボット『ジョイフル』であった。 
だが、どうも様子がおかしい。
無言でサブマシンガンをバンガスに向ける。 
恐らく操作されてしまっているのだろう。
う…うわぁあああ!?
必死の思いでVIPルームに隠れるバンガス。
一方、小桃と戦っていたユーキンもジョイフルの登場で動揺… 
挟み撃ちにされるのを恐れてバンガスの轍を踏む。
どうも小桃はユーキン達を倒す気は無く、 
単に機長室へ近付く者を撃退しようとするだけらしい。 
其の証拠に追って来る素振りが全く無い。再びヨーヨーに興じている。 
だがジョイフルは違う。
VIPルームの扉をサブマシンガンで破壊、 
内部に侵入して来たのだ。怯える乗客達&ミナ。

 

「やれやれ、危なっかしいですね」

 

サブマシンガンを連射するジョイフルの後から声がした。
そして、その瞬間、ジョイフルの体が吹き飛んでいった。
ジョイフルは壁にぶつかり、動かなくなった。 
「ふう、なんかすごい頭ですね。
 へたするとテレビネオスの社長さんから怒られちゃいますね。
 まあ、僕の責任じゃないですけど」 
独り言を言いつつ現れたのは金髪の魔術師風の青年一匹の犬だ。
「あ・・・貴方は、誰ですか?」 
恐る恐るミナが質問した。それも無理がない。
今まであらわれた人物は全員、ユーキン達の敵であった。
もしかするとこの青年も敵かもしれない。しかし、青年の回答は予想に反した。
「僕ですか?僕の名前はルウ・ベイルス。
 通りすがりの運び屋です。以後お見知りおきを。
 あ、この犬はチェインです。ほら、チェイン。挨拶しなさい」 
ルウと名乗る青年が犬に命令すると
犬はぺこりと頭を下げお辞儀をした。どうやら知能が高いようだ。 
「さて、運ぶのは101便に搭乗している
 モーニンゴ娘とプロデューサーのつんく♂♀。
 気絶しちゃってますから今のうちに運んでしまいましょう。」 
「あの、運ぶって何処へですか?」 
運ぶ。その言葉を聞いたバンガスが質問する。
「ああ、日本宇宙ステーションですよ。これ以上は言えませんね。」 
おかしい。タカチマン達やキムラ達の話によれば
備え付けの脱出ポッドは既に射出済み。 
それ以前に、この青年は乗客にいたのだろうか?
通信手段は途絶えている。
この状態のこの機の中で地球の企業から依頼を受けるなど不可能。
つまり、この青年は何か脱出の手段を持っている。そうに違いない。 
「あの、もしかして貴方は移動手段をもってるんですか?」 
口を開いたのはミナだ。ルウはクスッと笑い、 
「ええ、空間移転、即ちテレポートですね。
 というのも僕は空間を操れるんで。
 ですが今は依頼を優先しなくてはならないので。
 それに自戒ギリギリの状態なんです」
テレポート・・・バンガスには心当たりがある。
あの白い髪で肩に小さなドラゴンを乗せた男。
結局ユーキンは信じてくれなかったが、確かにこの目で見た。
BIN☆らでぃんにハイジャックされたときにあの男は姿を消した。
もしかするとルウと名乗るこの青年はあの男と知り合いなのだろうか・・・
「あ、ちょっと時間を食いましたね。
 他の依頼もありますんで。この辺で失礼させていただきます。」 
「ちょっと待ってください」 
立ち去ろうとするルウを止めるミナ。 
「あの、今この機は危険な状態でして・・・」
執筆者…is-lies、塩味枝豆様

  一方、機長室前では…

 

キャ〜ダメぇ〜!」 
「いやぁ〜やめてぇ〜!
機長室のドアに向かって『口』の能力でメイ達の声を真似るペンギン太郎と、 
それを白けた目で見つめるSFESエージェント…小桃とキララの姿があった。 
「クペペペペ、せいぜい焦ってるがいいペン。 
 さて、コイツ等は放っといて、小桃さん、集合ペン」 
「まだ……あのアンドロイド……リリィ……」 
「分かったペン。僕はアズィムを迎えに行くけど、 
 アンタはゲストなんだから、無理はするなペン」 
まだリリィの事を気にしている様子の小桃を残し、 
ペンギン太郎は床に溶け込むように姿を消した。
執筆者…Gawie様

  再びVIPルーム内

 

ミナは今の状態を全て説明した。
BIN☆らでぃんのこと、そしてSFESのこと。 
だが、ルウの回答は 
「なるほど。ですが今は依頼を優先しなくてはならないので。
 それに自戒を破るわけには行かないので」 
自戒?」
「ええ、僕は1日ごとの能力使用の回数を自分で決めてるんです。
 使いすぎるといつか自分の身を滅ぼすんじゃないか、て思いますんで。
 僕的にですが第3次世界大戦で能力者側が負けたの要因に
 それが含まれるんじゃないかと思いますから。」 
・・・しばらくの沈黙が続く。
「じゃあ、僕は失礼します。えっと、1、2、3、・・・ちゃんと全員いますね。
 あ、そうそう。僕は一応千里眼も持ってますし
 もし何かあったら助けに来ます。ではまた縁があったらよろしく」 
そう言うと、ルウとペットらしき犬、そして気絶したままのモーニンゴ娘とつんく♂♀の姿が消えていった。 
暫し呆然とする一同。 
「い…今のは一体…」 
テレポート能力…そんな力があれば、 
危機的状況からはいつでも脱出出来るというセーフティを保ちつつ、 
敵の虚を衝き攻撃、或いは敵の方を別の空間に飛ばすなどして
戦わずして勝利することも可能だろう。 
尤も、この手の能力は悪者の特権であるという妙な偏見が頭を過るが、 
ゼロと名乗った男といい、先程の通りすがりの運び屋といい、 
こちらを攻撃してくるどころか、何故か結果的には助けられている。 
しかしまた、この惨状を目の当りにしながら、
積極的に協力しようという様子も見られず、腑に落ちないことが多すぎる。 
圧倒的セーフティにある者の余裕なのだろうか…謎である… 
何とも言えない脱力感が一同を襲う。
執筆者…塩味枝豆様、Gawie様
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