リレー小説2
<Rel2.101便・ロバーブラザーズ1>

 

 

「間に合う…!!!」
ユーキンの気合いというものは恐ろしいものだった。
「…着いた!!!」
「さ、さすが御頭…」
「ハッハッハ!…はぁ」
「…ちょっと、無理しすぎましたよ」
「うるさい!メイさんのもとへ1秒でも早く着く!
 当然の行為!そして好意だろう!」
「…」
バンガスの顔はやつれていた。もちろん、ユーキンもだ。
…祟りの影響がまだ続いているらしい。
「つい〜ん」
「…で、お金も消費しましたね〜」
「まあ、乗り物を利用したし…」
「…油揚げも買いましたし」
「つい〜ん」
おトメさんがバンガスの持っているスーパーの袋に手をやる。
ガサガサと音をたて、油揚げを発見、口にほおばる。
「つい〜ん」
「あっ、勝手に取っちゃダメだよ」
「いけないゾおトメさん!」
「つい〜ん」
「まったく、しょうがないな〜」
「(御頭の情けなさ程ではないかもしれないけど…)」
「さあ!メイさんを探そう!!!」
2人と1匹は中港内部へ向かう。
「何処だー!メイさぁん!?」
2時間程、宙港を探し回ってみたものの、メイの影も形も見当たりはしなかった。
「…もしかして、早く来過ぎちゃったとか…」
「………」
リアル顔になって一筋の汗を流すユーキン。
バンガスは落胆するばかりだ。だが其の時…
「あ!メイさんいたです!」
なぬっ!?と思ってトメさんの視線を追うロバーブラザーズ。
其処には人込みに紛れて7番線へと入っていくメイの姿があった。
「め…メイさぁーーーん!!!」
7番線へと走るユーキン。
   ドンッ
「あたっ!?」
何かにぶつかった様で、其の侭、尻餅をついてしまう。
「コラァ!?何処見て……」
其処にいたのはラガーマンのようなゴツい大きな警備員さんだった。
「御客様、手続きはなさられましたか?」
答え。していない。というか金も無い。
執筆者…ごんぎつね様、is-lies
「お金がなきゃ…メイさんが機に乗ったらどうするんです?!」
「るさい!油揚げを大量に買ったせいもあるんだぞ!!」
「八つ当たりはみっともないですよ御頭ァ〜」
バンガスとユーキンは言い争いを始めた。
…だが、バンガスはすぐに降参したようだ。
ユーキンは「へへん」という顔をしている。
「…で、何か忘れているような…」
「…え〜〜〜と……」
2人はしばし沈黙した。そして…
「あああああっ!メイさん、見失ったぁぁぁ!!!!」
「うう…情けない」
…と、今度はバンガスの八つ当たりが始まった。
「おトメさん!キミのせいだぞ!何とかしなさい!」
ユーキンもそれに続く。
「そうだそうだ!」
自業自得であろうに。
「う〜〜〜〜。おかねってなんですか」
「…。いろんなことに必要なもの」
「ひつようってなんですか」
「…。欲しいってことだよ」
「あ〜。あぶらあげほしいです」
ユーキンとバンガスは溜息をついた。
「お客様…?」
「あっ、い、いえ、なんでもないです。お気になさらず」
「左様ですか。手続きをされるのなら御急ぎ下さい」
「あっ、はい!」
「では、良い旅を…」
そう言い、にこやかに笑った大きな警備員さん。
デカイくせして爽やかな奴だとユーキンは思った。
ユーキン達は手続きを済ませ、後は搭乗するのみ。
ユーキンはもちろん、メイも航宙機に乗っていると信じている。
…しかし、お金が無いと言っていたのでは?
「えっ?お金?ああ、そのことならもういいんだ。
 何なら君にもあげようか?ボク達は億万長者だ!」
ユーキンはポケットから万札を十数枚取り出している。
「フッフッフ、これはおトメさんの変化で変わった葉っぱなのさ!」
「お、御頭ァ…。バレたらお終いですよ…うう…」

 

つまりは…

 

[ユーキン一向、犯罪を犯すの巻]
であった。
「?」←おトメさん
執筆者…ごんぎつね様

  101便・右キャビン側入り口【ユーキン、バンガス、おトメさん】

 

無事、航宙機に乗り込んだユーキン一味。
直ぐに自分達の席右キャビンルームA−17へと荷物を置きに行った。
この航宙機にはキャビンルームが4つあり、
上キャビンルーム、下キャビンルーム、右キャビンルーム、左キャビンルームとなっていた。
各キャビンルームは其々、キャビンブロックの上下左右にあり、
上下左右の通路や、中央部通路で行き来が出来た。
「…というか、火星行き航宙機に乗って迄、
 メイさんに情報渡す意味ってあるんで……」
ユーキンの方に振り向いて問おうとするが、
彼の表情を見て、マトモな答えは返って来ないと考え、止めた。
ユーキンの顔は、おトメさんの術に溺れた金の亡者の其れだったからだ。
「おトメさんッ!此処には遊技場がある!
 葉っぱをコインに変化させて遊びまくるのダ!」
「?…こいんってなんですか?」
もはやバンガスには泣く事しか出来なかった。
執筆者…is-lies

「ギャハハハハ!!!もっとやれやれいけいけーーーー!!!」
「…うるさいです」
「御頭ぁ…」
ユーキンは遊技場で荒稼ぎをしていた。
その目は、もう、人間ではないような目。
完全にイってしまっていた。
「もっとやるぞーーーー!!!!」
…と、その時。
「ユーキンさん!」
と、女の声がした。
「んぁ?誰だ!ボクの覇道を邪魔するな!!!!」
ユーキンはそう叫び、振り返った。そこには…
「メっ、メメメメメメ…メイさんっ!!!」
「お久しぶりです、皆さん」
「…うう…ううう…会いたかった…会いたかったんですよぉぉぉぉ…
 このコイン!金!もういらぬ!メイさんさえいればそれで!!!」
「メイさん!お久しぶりです。
 (御頭の暴走を止める特効薬になってくれた…)」
「おひさしぶりってなんですか」

 

ユーキン一向は、メイと再会した。
ユーキンの顔の周りには、演出の花が浮かんでいる。
「じゃあ…メイさん。
 本当は一緒の席に座っていたいんですけど…
 火星まで、しばしのお別れです。うう…」
「御頭…」
またも涙を見せるユーキンにバンガスは呆れ、自分まで涙が出そうになる。
「ええ、では、また後ほど…」
そして、メイはキャビンルームの方向へ去っていった。
ユーキンはハンカチを振り振り、涙を流し、別れを惜しんでいる。
バンガスもまた、涙を流していた。…御頭の情けなさに。
「ねぇ…御頭?」
バンガスは、未だに涙しているユーキンに話しかけた。
「ううう…」
「御頭」
「メイさん…」
「御頭…」
「素敵だ…」
「御頭ッ!!!!」
「なんだっ!!!」
「はぁ…。
 …あのですね、僕がメイさんを探していた理由、なんでしたっけ?」
「そりゃあもう、会う為に決まっているだろ!」
「御頭?ほんっ〜〜〜と〜〜〜〜にそうですか?」
バンガスは怖い顔になり、ユーキンを問い詰める。
ユーキンは、とても真剣な目だ。
「当たり前だ!会う為に探していたんだろう!」
「じゃあ、何故、この機に乗ってるんです?」
「そりゃあ、火星までメイさんを探しに…」
「じゃ〜あ〜!メイさんに会った今、
 やるべきことはなんです?」
「そりゃあ、熱い熱い口づけを…グハッ?!
ユーキンが言いかけた瞬間、ユーキンはバンガスに殴られた。
「……殴ったね…
 親父にもぶたれたことないのに!
「お〜か〜し〜ら〜ぁ〜!!!」
バンガスの顔はとてつもない顔になっていた。
ユーキンの顔も、恐怖マンガのごとく凄い顔になっていた。
「御頭…進さんって誰だか知ってます?」
「そりゃ、敷往路家の…」
「…」
「…」
沈黙
「あ…あ…あああああああああっ!!!」
「うるさいです」
「やっと思い出しましたか…」

 

[ユーキン、思い出すの巻]
             であった。情けなや…
執筆者…ごんぎつね様

  101便・右キャビンルーム【ユーキン、バンガス、おトメさん】

 

  AM10:00
遂に航宙機が発進した。
全身が軽く振動し、微かな浮遊感を感じたと思ったら、
発進完了のアナウンスが船内に響く。
結晶を使用した重力制御は快適な航宙を約束してくれるのだ。
そんな船内を忙しなく走りまくる一行…
正義盗賊ロバーブラザーズの2人と1匹である。
「メイさぁぁん!?何処に居るんデスかーーーッ!!?」
「うるさいです」
…と急にユーキン達に突き付けられる銃口
「へっ?」
「なッ!?」
「??」
良く辺りを見ると、イスラム共栄圏風の服を纏った男達が銃を持って、客を拘束していた。
「……まさか……シャトルジャック?」
「物分かりが良いでござんす。てな訳で
 おいどんの指示に従って貰うでちゅ」
コイツ、無茶苦茶な日本語喋ってやがる。
「シャ、シャトルジャックぅ?!」
「静かにするでしゅ」
男は銃をユーキンの額に突きつける。
「う…」
と、ユーキンの後ろで唸り声を上げるものがいた。
「ばんばんいやです。
 う゛〜〜〜〜〜!!!」
「あっちょっ、ダメ!おトメさん!」
銃を持った男に飛び掛ろうとするおトメさんを掴み、
彼女の口を塞ぐバンガス。だが…
ガブ
っっったぁぁぁ!!!
「バンガスさんもどんどんやるですか。う〜〜〜」
ユーキンはバンガスとおトメさんの肩を掴み、一緒に後へ後退する。
「静かにしろと言っちょるのが聞こえないのでござるでやんすか?!
 次に同じような事があれば…お終いにしてあげましょうでごわす!」
「く…」
他の乗客の事を考えると無闇に攻撃は出来ない。
仕方なくユーキン達は暴れるおトメさんを抑えながらしゃがみ込んだ。
「そうそう。要求を聞き入れて下されば許してやるんだっちゅーの」
こうして一行は拘束された。
執筆者…is-lies、ごんぎつね様
暫くして、キャビンルーム上部にあるモニターにイスラム共栄圏風の服を着た老人が映る。
《あーあー、マイクテストテストテスト。
 うぉっほん!俺様が『BIN☆らでぃん』なり。
 この航宙機はアタクシ共が乗っ取った。
 ぼっくんの要求『Ω真理教追放』が叶えば、諸君等は解放しても良いッス。
 んだが、もし叶わない場合は、この航宙機に持ち込んだレーザー砲で地表を攻撃。
 最終的には航宙機自体を日本へ落とす!
 解ったか野郎共ぉぉ!!?》
BIN☆らでぃん…アメリカ合衆国に対してテロ行為を行い、
イスラム共栄圏対アメリカの構図を作り上げた張本人である。
アメリカに虐げられたイスラム圏の解放を動機としており、動機は筋が通っている。
何故、話し合いをせず、いきなりテロという行為に出たのかと問われ…
「僕達、英語解りません」
と答えて、各方面から非難された人物でもある。

 

 

「これですか、レイネさんの言っていた『大事』とは・・」
ユーキン達の少し後ろのほうで白い髪の男が呟いた。其の肩には小さなドラゴンが乗っている。
ドンッ!
「おっと。」
「あ、すみません。」
ユーキンは小声で謝った。
「いえ。威勢のいい女の子ですね。」
その白い髪の男は、微笑みながら答えた。
おトメさんは相変わらずバンガスに口を塞がれ唸っている。
「(この緊急事態だってのに随分と悠長な奴だな・・)」

 

 

「これじゃ身動き取れないじゃないか。」
白い髪の男の肩に乗っているドラゴンがその男にしか聞こえないような小声で言った。
「そうでもありませんよ。
 特別人数を数えてる様子はないようですし、『空間移動術』を使えば脱出は容易ですよ。」
「なるほど・・」
「まあ、今はわざわざ動かなくても、どこもこんな感じでしょう。
 他のキャビンルームに動きがあった時に動けばいいですよ。」

 

暫くして…

 

「どうやら動きがあったみたいですね。」
「え?」
「行きますよ。」
次の瞬間、一人と一匹は消えた。

 

「お、お、おか・・お頭?」
「なんだ。」
「ひ、人が・・消えちゃいましたのですけど・・・」
混乱してるのか、テロリスト並の言葉遣いになっている。
「んなワケないだろ。」
執筆者…is-lies、you様、(ネタ提供トッパナ様)
モニターに映るBIN☆らでぃんが何かゴチャゴチャと話している時…
「ん?なんだ?」
音もなく何人かの人物が入ってきたかと思うと、入り口付近に居たジャッカーを二人倒した。
「た…助けが来たんだ!!」
バンガスが小声で言った。
恐らく、他のキャビンルームでテロの鎮圧が始まったのだろう。
「う゛〜〜〜〜〜」
「あっ!おトメさんっ!!」
おトメさんがバンガスの手を振り払い、モニターに注意がそれているジャッカー達に鬼火を放った。
アチィッ!
「今だっ!!」
ジャッカー達が取り乱したとき、先ほどジャッカーを倒した二人が次々と残ったジャッカーを倒していった。
「つ、つえーー・・・」
ユーキンがふと呟いた。其の時…
《………ジハーーーーードオオォォォォオオオ!!!!》
「!!?」
「な…何だァ、これはァー!?
 ってかうるせェ!ヒゲ!
「先程の機内放送にあったBIN☆らでぃんですよ!
 一体、何があったんですか?」
隣の乗客に事の次第を聞くバンガス。
ユーキンよりもしっかりしていた。
「無茶苦茶だよ。自分達の言葉が通じなかったから
 日本へのレーザー攻撃を開始するとかホザいてやがる!」
呆れるバンガスを尻目に、ユーキンが何やらボツボツ呟く。
「成程…コイツが主犯格……
 待てよ…!メイさんが助けに来なかったと言う事は、
 メイさんも、この涸れたジジイに捕まっているかも知れん訳だよな…」
見ると、先程の解放者達は、他のキャビンルームの人を助けに向かった様だ。
「…………おトメさああぁぁんッ!!バンガスぅぅ!」
「…なんですか?」
「……嫌な予感が…」
嫌な予感とは…大抵当たるものであった…
「メイさんをケダモノの魔手から救出する勇者役は、このユーキンのものだ!
 さっきの連中に後れを取るなッ!ボク達も戦いに行くぞぉぉ!!」
哀れなバンガスとおトメさんを引っ張って、
先の開放者達が行った先とは別の廊下へと出るユーキン一行。だが…
「なだ貴様×3
いきなり見張りジャッカーの3人に発見されてしまった。
銃を抜こうとするジャッカー達。
執筆者…you様、is-lies
「フンぬぐわぁああ!!!
 の行く道を塞ぐな、うぬら!
 メイさんを助けるのはこの勇者、その名もユーキン!!!」
ユーキンは暴走していた。
すでに、己の世界に入ってしまっていたのだった。
「フヌガァーーー!!!!!」
あぎゃーん!
「御頭…、つ、強い…」
バンガスの目には、光り輝き、敵をなぎ倒すユーキンの姿があった。
今まで見てきたユーキンのなかで、一番、強い状態だった。
「御頭ぁ!強い、強いですぜ!加勢します!!!」
バンガスも、ユーキンの魔力(?)にかかってしまったのか、
暴走を始めそうな勢いだ。だったが…
「邪魔をするない!!!!!」
ユーキンは、先程倒した男の持っていた銃を持ち、バンガスへ向けた。
「ヒッ!」
それにより、バンガスは元の己に戻った…。
「ばんばんいやです」
「そ…そう。ばんばんいやです、御頭〜」
「黙らっしゃい!!!うぬらゲスにはわからぬ!」
ユーキンは、鬼神と化していた。暴走120%
「なんだなんだいお前ら!うぃ〜す」
「おう!!!」
ユーキンは次のジャッカーに物凄い速さで近付くと、
銃口をジャッカーの額につける。
「ワオ!こわ〜い!」
ユーキンは物凄い濃い顔つきになる。
「この引き金を引いたら…。お前、死ぬよ?」
「ひっ、ひぃぃ!おたすけぇ〜」
「助かりたいか?助かりたいのか?」
「ひっ、ひぃ!助かりたいぃ〜〜〜」
「そうか…。
 ………ダメだな
バン!
「!!!」
「!!!」
ユーキンは引き金を引いた。その弾はジャッカーの男の額を貫いた。
「フッ…お前はもう、死んでいる」
「ば…ばんばん…い…や…で…」
おトメさんはその場にばたりと倒れた。
「ああっ、おトメさん!」
「フッフッフ〜!行くぞバンガス!ついてこい!」
「はっはは、はいぃ〜〜〜」
バンガスは気絶したおトメさんを抱きかかえ、ユーキンの後へ続く。
『今、逆らうとヤバイ。殺される…』。
バンガスの心の中は、そんな気分だった。
ユーキンの暴走は続く…
執筆者…ごんぎつね様
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