リレー小説2
<Rel2.101便・敷往路メイ3>

 

  101便・上キャビンルーム【キムラ、ユーキン】

 

「………遅いな」 
「もしやメイさんの身に何か……」 
「アイツがそう易々とくたばるタマか? 
 大名古屋国大戦でも生き延びたんだぜ」 
「いや!メイさんはか弱い人のだッ!あの時はボクが付いてたから大丈夫だったんだ! 
 メイさんは畜生か何かに襲われてるんだ!そうに違いない! 
 そしてか細い声でこう言ってるんだ『ユーキンさん助けて』!!」 
完全に妄想の世界へレッツゴーしていた。 
溜め息を吐き、本へと視線を落とすキムラ。 
ぬぐわぁ!メイさーーーん!今この勇者ユーキンが行きます〜!」 
眼を血走らせて前部キャビンブロック通路の入り口へと駆け出すユーキン。 
何と言うか…解り易い男であった。 
そうキムラが思った時、ドアが開いてメイとハチが帰って来た。 
急に眼の前の扉が開き慌ててユーキンはブレーキを掛ける。 
「め、メイさぁん!心配しましたよォ! 
 動き回らないでジッとしていましょう!ボクの隣で
纏わり付くユーキンを無視し、考えを纏めるメイ。 
今ではどうやってもゼペートレイネには勝てない。 
今ではどうやっても猫丸を助けられない。 
相手の能力も詳しくは解らない。ではどうするか? 
…あのゼペートレイネは床と融合し移動して来た。 
詰まりは己の意思で分離が可能なのだろう。 
ゼペートレイネ自身に合成を解除させれば或いは…… 
其の為には弱みを握る事が必要だ。 
相手の弱み…… 
「キムラさん、ユーキンさん!力を貸してくれませんか!?」 
「「?」」
「……SFESのメンバー…もしくは脱出ポッドを押さえます!」
執筆者…is-lies

  101便・上部左側脱出ポッド通路【メイ、ダルメシア、キムラ、ユーキン】

 

「全部射出済みだ。反対側へ行こうぜ」
ユーキンと一緒にポッド横ランプと端末の履歴を確認したキムラが、
封印を解いたダルメシアと共に内周部通路を見張っているメイに向かって言う。
「解りました。行きましょう、ダルメシア」
親の敵、其れとの接触…敗北…そして猫丸…。
全てを話した所、ユーキンは無論、キムラまでもが協力してくれた。
金を貰うだけ貰って仕事をしないのはプライドが許さないからだろうか?
一行は上キャビンルームを通り抜け、反対側の右側脱出ポッド通路へと向かう。 
上キャビンルーム左側中央通路に入った瞬間、キムラの勘が何かを告げる。 
足を止め、後ろに続くメイ達に向き直った。
「………殺気だ…この先に敵が居る。 
 まあ、1体だけだし大した事は無いと思うが用心しろ」
メイ達が引き締まった表情で頷くのを確認し、1歩前に出るキムラ。 
センサーが其れを捉え自動ドアが開く。異形は目の前に居た。 
天使と悪魔の翼を持つ単眼の黄色い魔物である。 
先手必勝とばかりにキムラが連続でシューティングスターの引き金を引く。 
無数の弾丸が身体に埋まり、ドッと吹き飛ぶ異形。 
だが異形は空中で回転し翼を展開。姿勢を整え、青い甲殻の付いた腕を構える。 
其れは直ぐに上下に割れ、内部からガトリングガンが姿を現す。 
放たれた大量のエーテル弾が狭い通路を舐める様に迫って来た。 
「はぁ!」 
「だぁ!」 
併し、メイが構えた薙刀がエーテル弾の幾つかを封印しい、活路を開く。 
ダルメシアも風を操作…翼が風の変化に対応し切れず異形が床へと叩き落される。 
「よっし!!」 
素早くユーキンが躍り出てボウガンを放つが、 
異形は其れを見越した様に素早く回避し、爪を滅茶苦茶に振るう。 
「ちっ、しぶとい!」
再びキムラが引き金を連続で引くが、偶然なのか狙っているのか、半分以上がその腕に弾かれる。 
「うおりゃぁっ!!」 
先ほどより強力な風を、揺さぶるようにして異形にぶつける。 
「ギィィィッ!!」 
その風により体勢が崩れた異形がおそらく適当に振ったであろう爪が、メイへ向かう。 
「メイさんっ!」 
ユーキンがボウガンを放つ。しかしそれはダルメシアの風に煽られ、向きが変わる。 
それはその異形の翼へ突き立った。 
「ギャァァアアッ!!」 
その痛みに叫びをあげ、爪を引き、後ずさる異形。その隙をキムラは見逃さず、ここぞとばかりに銃弾を撃ち込む。 
ギィィィアアアアアァァァッ!!!!
最後の咆哮をあげ、その異形のモノは倒れた。
「ふぅ…大丈夫か…?」 
「ええ………でも……」 
メイの視線を追って壁を見るキムラ。 
各脱出ポッド入り口の横にあるランプは全て「射出済み」となっていた。 
「おのれぇ!SFESだか何だか知らないが 
 小癪な真似をしてくれるワ!!」 
足元に転がる異形の骸を足で小突き、徒労の怒りをぶつけるユーキン。 
だが、メイと一緒に行動出来るという所に関しては、満更でもなさそうだ。 
「……SFESの連中……どうやって逃げる気なんだ?」 
「必ず脱出の手段を用意している筈です……! 
 下の脱出ポッドも………」 
疲れた身体を無理矢理立たせ、下へ向かおうと振り向いたメイの眼に 
タカチマン、ナオキング、ジョニーの3人が映る。 
「……此処も駄目みたいだな」 
其れだけ言って立ち去ろうとするタカチマンをメイが引き止める。 
「ちょ…ちょっと待って下さい! 
 此処も……って、どういう意味ですか!?」 
「…言葉の通りだ。右キャビンルーム側の脱出ポッドも全滅だ」 
振り向いて其れだけを述べ、再び通路の角へと消えるタカチマン一行。 
キムラ達の胸中に嫌な予感が現われる。 
脱出ポッドは全滅しているのではないか?
執筆者…is-lies、you様
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