リレー小説2
<Rel2.101便>

 

日本宙港
東日本北部に設けられた、この直径3km(内部の広さは1kmにも満たない)、
中央部全長30kmという現代のバベルの塔は、世界に3つしか存在せず、
ネオス日本共和国を日本皇国と渡り合える程にしたものでもある。
内部に設置された転送リングを使い、地上30km…即ち最上階迄向かった後、
更に、地上310km…日本宇宙ステーションへと転送される。
其処こそが真の宙港と言っても良い。
重力の鎖から外れた世界にある、この宇宙ステーションに航宙機が用意されている。
直径80m、全長500mの円錐状の巨体は、
入植途中である火星の資材、人員を一気に乗せる為だ。
其の殆どが資材や食料のコンテナであり、実際の乗員数は200人程度である。
巨大なクリスタルブロック(結晶区画)と機体とがくっ付いたデザインであり、
円錐状航宙機の後方から、メインエンジン、
これの四方の軌道変換エンジン、小型スラスターの各エンジンブロック、
其の全てに、クリスタルブロックから結晶力を転送する小型結晶が無数に設置され、
前部に結晶制御用の配管が無数に設置されたパイプブロック。
次に後部クルーブロック。此処は乗務員達の部屋が密集している。殆どは雑魚部屋であるが…。
其の前部には後部RMS(ロボットアーム)が数本収納されているブロックであり、
この次に、大量の貨物を積み込んでおり、この航宙機内最大の面積を持つカーゴブロック。
此処迄が乗務員以外立ち入り禁止であり、発見された場合は最悪、射殺される可能性もある。 
次にはキャビンブロック(客室区画)となっており、多くの客室が階段と通路で繋がれている。
キャビンブロックの前後には中部クルーブロックがあり、乗客を誘導したりする。
其の奥には食堂や遊戯室等の揃ったスクウェアブロック。
此処から先からは入って来る人間が限られる。
VIPルームブロック、前部クルーブロック、前部RMS収納ブロック…
そして最前部のコントロールルーム…此処で機長によって全てのコントロールが為されている。
各ブロックは中央部の直線通路によって繋がっており、
キャビンブロックは其の他にも外周部通路があり、緊急脱出用のカプセルも設備されていた。
全体に遠心力による擬似重力と大結晶による重力制御が行われており、
宇宙空間内でも地球と変わらぬ重力が働いていた。
嘗て最短距離6000万km、90日以上の航宙を必要とした火星航宙が、
クリスタルブロックに設置された大結晶の転送力で4日の連続ワープで済む事となっている。
正に火星と地球とを繋ぐ連絡船であった。
火星側のアテネ宙港は地球宙港と比べ、運行量は多いものの、
日本宇宙ステーションを介さずに直接、日本宙港へと着地する為、安全性はイマイチだ。
執筆者…is-lies
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