リレー小説1
<Rel1.7>

 

名古屋城、古くからこの大都市の歴史を見守り続けるこの城は
現在、大名古屋国を実質的に支配する本田宗太郎の居城となっていた。
それはすでに巨大な要塞と化し侵入する事は困難を極めた。
―本丸―
「貴様、今まで一体何をしておった!
 役立たずを取り逃がし、ライズ抹殺にも失敗する!なんたる不手際だ!」
本田は目の前で土下座する男をギロリと睨みつけた。
「ひ、ひぃ〜!も、申し訳ございません。本田様!」
男の顔は蒼冷め額からだらだらと脂汗が滴る。
彼はネオス日本共和国の魔法学院長ヨノナ・カーネルであった。
「し、しかしながらあの『青』とやらの身柄を日本皇国から確保し、
 大名古屋国監獄に収容する事は出来ました…。」
「それがどうした!」
ベキ!
ぐえ!
本田はヨノナの顔面に思いっきり蝶野ばりのケンカキックを叩き込む。
ヨノナは鼻血を出して顔を押さえながら悶絶する。
「役立たずはどうなるか貴様も知っているだろう。」
「ひぃ!そ、それだけは!」
ヨノナの顔から一気に血の気が引く。
『TAKE』、そいつを始末しろ。」
本田がリモコンのスイッチを押すとシャッターが開き
そこから異質な気を放つ人型生命体が出てきた。
その生物は冷たく突き刺すような青い瞳、流れるような銀髪、完璧な筋肉。
それらは人間のようだが人間を超えた美しさだ。
「殺ッテイイノカ?」
TAKEと呼ばれる生物は本田に目をやる。
「ああ、かまわん。好きにしろ。」
「フフフ…。ソレハ良イ。」
そう言うとTAKEの右腕がシャキーンと音を立てて銀色の刃に変化した。
「久シブリダ…。肉切リ裂キ鮮血ヲ浴ビ、生命ヲ奪エル瞬間ハ…。」
ギャ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!
男の断末魔がこだまする…。<Rel1.7:1>
執筆者…翡翠様

 『青』――
 彼は今、大名古屋国の、WIZ4(Return of WERDNA)も顔負けの
迷宮造りの精鋭チームによる大迷宮に奥深くの監獄に封印されている。
全99階――
そこでは脱出魔法の類(種別問わず)は一切効かない。
壁をぶち破ることは、核爆発を用いたって不可能。
全面地雷原、光と闇の世界、コズミックキューブ、壁の中にテレポートあり、
底なし沼あり、魔封じ空間ありの超凶悪なダンジョンであった。
まさに、ダンジョンそれ自体が最強のモンスターである。
しかも、『青』は地下99階に封印された。武器はもちろん没収。
すなわち、武器を探し、手に入れた上で99階を抜けなくてはならない。
普通、こんな牢獄に入れられたら誰だって絶望と悲しみと恐怖に支配されるものである。
だが彼は違った。その心には恐怖と悲しみは強い意志も手伝って一かけらも残っていない。
ただあるのは「生きて勝つ」こと、「自分のため」、そして「復讐心」だけである!
そんな思いが彼…『青』の心を満たしていた。
(6年前…縁を切った親なんざもういないし、今、一歩間違えたら一人ぼっち…
   でもいい!俺は必ず勝って打開してみせる!まずは自分の為にっ!!!)
その思いは怒り…もとい、エネルギーとなって彼に蓄積されていく。<Rel1.7:2>
執筆者…MAYN様、A夫様

あれからどれくらいの時が経ったのだろうか?
今、一体何時だろうか?
それさえも分からない。『青』は暗い迷宮に収容されていた。
「ちくしょう! どうやってこの監獄ダンジョンから脱出すりゃいいんだよ!
 ヒボタンXも没収されちまったし、腹減ったし、最悪だ…。」
『青』が途方に暮れていると、彼の視界に何かが入ってきた。
「一生一緒にいてくれや〜♪」
そこにいたのは槍を持った少年だった。
そしてその少年はなぜか三木道山を歌っていた。
(しめた、誰だか知らねえがとりあえずアイツから金や食料をまきあげちまおう。
  NPCから金品略奪するのもサバイバルRPGのWIZ6では皆やってる事だしな!)
そう思ったらすぐ行動に移す『青』は少年にいきなり飛びかかる!
「オラー! 武藤式ミサイルキーック!」
少年はいきなり襲いかかってきた『青』の攻撃をかわす。
そしてすかさず体勢を反転させヒクソンばりのマウントポジションをとる。
「ぐわ! しまった!」
「俺に喧嘩を売るとは100年早いわ〜!
オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ!!
5分後……
「俺は総合格闘家エース!覚えとけ!今度はUFCかPRIDEに参戦予定だぁ!」
少年はそう言い残して去っていた。
あとにはタコ殴りにされた上に縄で縛られた『青』が残されていた。
「……ちくしょぉ。いつもならヒボタンXが無くても
 あんなドン・フライもどきになんか負けねえのに…。
 翡翠に呪いをかけられたりメイの攻撃を受けて
 調子が悪かっただけだコノヤロー。
 ……ハァ、ところでどうやって縄ほどこうかなぁ。誰か助けに来てくんないかなー」
『青』は人生最大のピンチを迎えていた。<Rel1.7:3>
執筆者…翡翠様
「ちくしょう、どうしてもほどけねえ。
 この縄、噛み切れねえかな……がぶ!…ぐ、ちょっとしょっぱい。
 無理か………。誰か助けてくれぇぇぇ!!」
その時、階段の上の方から、ペタン、ペタンという音が聞こえた。
「やった!誰か来た!……まてよ、またあのドン・フライもどきじゃねえだろうな…・うおっ!こっちにくる!?」
ぺたん、ぺたん、ぺたん、ぺたんぺたん(小説パラサ○ト・イヴのパクリ)
その音はどんどん近づいてくる。
ぺたんぺたんぺたんぺたんぺたんぺたんぺたんぺたんぺたんぺたんぺたんぺたんぺたんぺたんぺたんぺたんぺたんぺたんぺたんぺたんぺたんぺたんぺたんぺたん
……『青』の前でその音は止まった。
「お、おまえは!?……ペンギン!?(なんでこんなとこに)」
「見てわからんですペン? 見てのとおりのペンギンだペン!」
「おい、くそペンギン! 俺は食ってもうまくねえぞ!」
「誰も食べませんペン!
 しかも『ペンギン太郎』っていうちゃんとした名前があるですペン!
 それより、ここから逃げたくないですかペン?
 一人じゃ心細いので逃げましょうよペン」
『青』は舌打ちした。
(ちっ、何だコイツは…どう見ても弱そうだな。
  まあイイ、イザとなったら身代わりにでもなってもらおう)
悪どいコトを考えつつも、『青』はこのペンギン太郎とやらを連れてくコトにした。
「んじゃ、連れてってやるから、とりあえずこの縄どうにかして」
「任せてペン!」
ペンギン太郎は、その持ち前の鋭いキバと顎の力で、縄をいとも簡単に噛み千切った。
「よーし、助かったぜ!サンキュ。じゃ、行くか!」
『青』はこの長く険しいダンジョンの脱出を目指し、ペンギン太郎を連れて威勢良く駆け出した。<Rel1.7:4>
執筆者…ペンギン太郎EX様

「大丈夫かな…俺はともかくこのペンギン。」
「僕にはちゃんとペンギン太郎って名前が…
 あ!あそこに人がいる!誰だろ?」
「およ?」
『青』がよく目を凝らしてそれを見ると、それはエースの姿である。
「しかしさっきよりボロボロ…でもないか。
 あいつならモンスターの十や二十ぐらいは倒せそうなんだが…」
そして『青』はエースに近づいてみた。
「ふぅ…お?またきたか!」
「ごめん! 俺、すでに「『青』」ってHNがあるんだぜ!
 それよりあんたにゃ参った…ところで、あんたみたいな人物が何故ここにいるんだ?」
「……。」
「あ゛…なんか今の質問まずかったか?」
「いやいやいや、まずは話を聞くペン!」
ペンギン太郎が言う中、悲しみながらエースは語り出し…<Rel1.7:5>
執筆者…A夫様
「なあんちゃって!」
ベキ!
「うげえ!」
何とエースはいきなり『青』のボディーにナックルパンチを叩き込んだ。『青』の体が崩れ落ちる。
「な、何しやがる…。」
突然の一撃に腹部を押さえ悶絶する『青』。
「よくやった、ペンギン太郎よ…。」
エースはそう言ってペンギン太郎の頭をなでる。
「くくく…愚かな『青』よ。うまく引っかっかたペン。」
ペンギン太郎は不敵に笑う。
「なっ、貴様!これは一体どういう事だ!」
「くくく…このフライフラット・エース様はこの監獄の看守なのだペン。
 そして僕は1番弟子のペンギン太郎だペン!」
「何ぃ〜〜〜!!」
驚く『青』を見下しながらエースは『青』の頭をぐりぐりと踏みつける。
「俺の役目はこのダンジョンを監視し脱獄者を捕らえること。
 本田からはそう言われてある。つまりその任務を果たせば後は何をやってもいいわけだ!」
そう言うとエースは高らかに笑った。
「くっ、じゃあ何故このペンギンを使ってオレをわざわざここまで連れて来たんだ?」
『青』はエースを鋭く睨みつける。
「フフフ、さっきは忘れたけど、
 お前はその実力もさることながら究極兵器ヒボタンXとかいう物を持っているらしいな。
 せっかくだからそれをいただいてやろうというワケだ!」
エースは『青』の襟首を掴みいとも簡単に体を持ち上げる。
「さあ、ヒボタンXを出せ!」
どうやら上手く情報が伝わっていない様だ…何も知らない2人に『青』は教えてやった。
「ああ、あれなら捕まったときに没収された。」
……………………………………………………………………。
気まずい沈黙が流れた。
「ペンギン太郎!こいつを埋めておけ!」
「了解だペン!」
かくして『青』は生き埋めにされたのであった…。<Rel1.7:6>
執筆者…翡翠様
「…ッ!!!」
『青』は生き埋めにされ声を出すことも出来なかった。
息をすることもままならない。
『青』の意識はだんだん薄れていった。
エースはやたらと勝ち誇ったように笑みを浮かべた。
「俺はこういった手を使うのはあまり好きじゃないが…。」
「(ならやるなペン…。)
その時、どことなく生暖かい風がエースの頬をかすめた。
「殺気!…・誰だ!?さっきの『青』とは違う別のものだ!いや…これは殺気か?」
どこからともなく声が聞こえる。
「良くぞ気がついた…人間」
「誰だ!!」
洞窟にエースの声が響き渡る。
「貴様になどに名乗りはしない…」
「調子こくんじゃねぇ!!出てこい!!!」
「何だペン?」
どうやらペンギン太郎は気がついていないようだ。
「私が見えぬか…」
「き、貴様は!!?」
エース達の目の前に突然水のような青い物が現れた。
『ヘルル・アデゥス』とでも名乗っておこうか…」
(名乗ってるー−−!!!)
「どうしたんだペン?」
「で、貴様は何なんだ!?」
ペンギン太郎は思いっきり無視された。
「そうでかい声だすなって。」
(クッ…俺としたことが!!)
  すまん。で、お前は?」
「話すと長いんだがな。」
現れた水のような塊は語りだした。
「ってかあんた空中に浮いてるって。」
「気にするな。」
エースの質問はあっさりと流された。
「私は時空の旅人。そういうことだ。」
「え? それだけ?」
「そうだ。」
(短っ!!)」
いつしかさっきの張り詰めた空気はなくなっていた。
そしてエースは………取り敢えずヘルルを無視する事にした。
頭の診察が必要と誤解されない為である。<Rel1.7:7>

執筆者…みそ様


…そんなこんなで生き埋めにされて一週間。
『青』はついにエースの手によって処刑されることになった…。
その目の前にはエースとペンギン太郎がいる。
…ただ、『青』の非人道的な怒りと恨みと殺意しかない顔にびびってはいたが。
「で、処刑方法は決めたのか?あ、偉そうだって突っ込みは無しな!
 さあどうする? ククク…。」
(なんちゅー生意気な…)
 そ、そうだな…
 せっかくだからこいつの切れ味を試させてもらおう。」
そしてエースはヒボタンXをペンギン太郎から受け取った。
「よーし!さっさとやってみろ!」
「はいはい。んじゃ、後悔しながら死ぬがいい…狂人めが!!」
エースの振り下ろしたヒボタンXが『青』の頭を切り裂く…が。
「…あれ?あれ? き、斬れない!」
「なんだそりゃ?てか全然痛くないねぇ、こりゃ。
 …っておい!そんなに力いれたらお前の体、もたんぞ!」
何故かヒボタンXは『青』の頭を斬る事が出来ない!
ていうか、剣なのにまったく皮膚にすら刃が通ってないようだ。<Rel1.7:8>
執筆者…A夫様
突然、エースが倒れこんでしまった。
それに気付いたペンギン太郎が振り向くと、1人の男が立っていた。
「な…何者だペン!」
「知らん」
意外な答えにペンギン太郎は唖然としてしまった。
その瞬間、男はペンギン太郎の腹にひざ蹴りをくらわせた。
倒れこむペンギン太郎。
男はエースが倒れたときに落としたヒボタンXを拾うと、エースの首と右手を押さえて、
「いくつか聞きたいことがある。この武器はお前のか?」
「ち…違う!そこで生き埋めになっている奴のものだ!
 それに、お前!何をした!」
「お前に質問される筋合いは無い。押収物はどこに保管されている?」
「し…知らない!」
男はエースの腹を踏みつけてもう一度質問した。
「押収物はどこにある?」
「わ…分かった!教える!」
「いいだろう。で、どこにあるんだ?」
「きゅ…90階だ。」
「ふう、ありがとよ。」
男はエースに一撃を食らわせ、気絶させた。
そして、今度はヘルルに目を向け、
「あんたは何者だ。」
と、質問した。
「その前にお前から名乗るのが礼儀だろう」
「そうだったな。俺の名は『キムラ』。
 テロの依頼で本田の暗殺を頼まれたが、
 返り討ちにされて、ここにいるわけだ。そのときに銃を奪われてしまった。」
「そのわりには結構強かったが?…人間にしてはな」
「あんたが、敵の気を引いてくれたおかげだ。感謝するぜ。」
そう…エースはヘルルを出来るだけ意識しない様にしていたのだ。
併し、其れが返って意識する破目となり、結果…キムラに倒されたのだ。
「…其れにしても……お前も私が見えるのか……」
「さあ、今度はあんたが名乗る番だ。」
そのころ、別の場所では…<Rel1.7:9>

執筆者…塩味枝豆様

 
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