リレー小説1
<Rel1.22>

 

同時刻、ネバダ州エリア51
ライトによって青白く見える金属性の床に広がる血…
此処、エリア51に配備されていた警備兵のモノだ。
其れも一人ではない、数十人もの警備兵が倒されていた。
惨劇の傷痕残る通路の奥にある一室に、巨大な結晶が安置されていた。
其の大結晶を運び出そうとする巨大な異形の集団…
ペンギン熊と呼称される魔物の爪には生々しい血が付着している。
そして、其の異形達に指示を出しながら
手に持った通信機に状況を報告する一体のペンギン…
「くぺーっぺっぺっぺっぺ!!ライズ!
 エリア51の『八姉妹の結晶』は確保したペン!」
《解った。次に、其処に元からある結晶兵器と……》
「ボク達が持ち込んだ結晶兵器を置いてけば良いペンね?」
《そうだ。後は逃げるだけ。
 アマノトリフネ墜落と結晶兵器の爆発によって
 アメリカ大陸の4分の1が死の大地に変貌する。
 復旧には何世代も掛かるだろうよ》
「くぺぺぺ、トールマン大統領も可哀想にね〜。くぺ」
《実際、条約違反の兵器を所有してたんだ。嘘は言ってないだろ?
 ……ん、おい……ちょっと待て》
「どうしたペン?」
《いや……これは面白い事になるかもな》<Rel1.22:1>
執筆者…is-lies

アマノトリフネ内
「SFES!貴様等ガ…のこノこ現れたとコロで、我を殺せるとでも思うか!?
 喰らえ!この『白百合』の力をッ!!」
宗太郎は刀を抜き四人に神速ともいえる速さで切りかかろうとする。
が、
「くくく・・邪魔はさせないよ。」
トッパナの片腕が剣と化して応戦する。
その時、かろうじてブレスに耐えたポーザが車椅子の老人に話し掛ける。
「ハァ、ハァ、お前達は、一体、何者だ・・・・?」
「ふん、ワシ等かね?
 SFES……
 まあ、能力者マフィアとでも理解しとくれ」
「つーか、アンタ達が注意すべきなのは、そっちじゃねーの?」
アズィムの指差す方向に、トッパナと戦う宗太郎の姿があった。
「トッパナ!
 ソヤツは既に敵を判別する事等出来ん。
 近くに居る者から攻撃される…離れていろ。
 他の連中を殺して貰っている間に
 ワシ等はワイズマン・エメラルドの固定解除を済ます」
「了解〜」
老人の指示通りにトッパナが宗太郎から離れる。
「ふっ…我の命…愚かな人類共と共に散らせてやろう
 最期の宴だ!…楽……しむが…良…い…ッ……!!」
宗太郎が大上段に振り被ったオリジナルヒボタン…白百合が
トッパナのブレスに倒れたエースに襲い掛かる。 <Rel1.22:2>
執筆者…鋭殻様、is-lies
「くっ、体が自由に動かねえ!ここまでなのか・・・・?」
「エースさん!」
「そうだ・・・・あれを・・・・」
エースはその時口元で何かを唱えた。
そして何かが起こった! 
「な…ッ!?」
宗太郎がエースに振り下ろした白百合、だがエースの直前で弾かれた。
「へ、シールド魔法、成功…!」
「味な…真似…を…ッ!!」
だが、次の斬撃はポーザがナイフで受け流す。
「もう誰一人として…貴様に殺させはしないッ!!」 
「ポーザ、サンキュー!へっ、調子が戻ってきたぜ!いくぜ、俺の自己流魔法!
 『それは水のごとく汚れを流す 蛍火の癒し!』みんな、立ち上がってくれ!」
エースは渾身の魔力をこめて魔法をかけた。
「う、うう・・・・」
ユニバース達は少しよろけていたが状態回復の効果が効き、立ち上がり始めた。<Rel1.22:3>
執筆者…鋭殻様、is-lies
力を取り戻し、再び立ち上がる戦士達。
宗太郎のこめかみを冷や汗が伝う。
「ふ。何度立ち上がっても無駄だ。何ら理想も持たぬ小童共に、我を止められる道理はない」
「バカヤロウ。強い方が正義だ」
エースが言う。後ろに並ぶ面々も、その言葉を疑うことのなさそうな、
何ら迷いも見せぬ目をしている。
「このご時勢、主義もへったくれもあらしまへん。生き残んのでいっぱいいっぱいやわ」
ユニバースが、ステッキを構えて飛びかかる。
石突を高速で突き出す。
同時に、エースも槍を前に突進、ポーザ、『青』もそれぞれに武器を手に後に続く。
ぱ、ぱ、ぱ、ぱしっ
だが、宗太郎はその四段構えの攻撃を、
親指と人差し指、人差し指と中指、中指と薬指、薬指と小指との間でもって押え切った。
つまり、片手で全ての攻撃を受けたのだ。
だが、その手から、一つだけすり抜けたものがある。
ポーザの短剣だ。
ポーザの姿が、溶けるように掻き消える。
がしっ
背後から宗太郎は羽交い絞めにされる。
幻覚を突撃させ、後ろに回りこんだポーザだ。
宗太郎がもがく。
「おい、離れろ!攻撃できない!」
エースが言うが、ポーザは宗太郎ともみ合いつつも、
「いや、構わん!殺しの道は修羅道………俺は死に場所を見つけた。このまま討て!!」
宗太郎が衝撃波でポーザの身を叩く。
「早く!!」<Rel1.22:4>
執筆者…トッパナ様
翡翠の放った魔法の矢に右肩を貫かれ、宗太郎とポーザが床に頽れる。
「オイオイ、しっかり動き封じとけよ」
「ひ…翡翠!お前、何て事を!?」
だが、エースが言い終わるより早く、
翡翠の魔法により皆、吹き飛ばされる。
「お前等、人を信じ過ぎだぜ。
 悪いが俺は最初からSFES…詰まりはこの老人達側の人間だ。
 ユニバース、『青』…お前等は以前、
 俺がライズと共に行動してたトコを見てたから、
 気付かれるか心配だったが……まさか此処迄上手くいくとは…」
「翡翠よ。TAKEの細胞は入手出来たのだな?」
「無論だ」
そう言う翡翠の掌には、先程TAKEを抑えた時に得たTAKEの肉塊が新鮮な血と共に乗っかっていた。
「な…何故翡翠さんが…!?」
「嘘だろ?翡翠」
「うう…ボクは認めないぞ!」
ユーキンやバンガス達が次々と翡翠に問い掛ける。其れを眺める翡翠の顔は冷徹…
……だが、同時に何処か…陰のある表情をしていた…
「あーもー!うざったくて仕事に熱入らねぇ!
 テメェ等はどっか行ってろ!」
「お前が熱入るのは戦闘だけだろ?」という老人の科白を無視し
アズィムが無造作に放った衝撃波がエース達、本田達、
テロ達、気絶したTAKEを吹き飛ばし、背後にあった吹き抜けの穴に落とし入れた。
「アズィム。抹殺が仕事だった筈だよ」
「…お前が熱入れていたのは解った……
 後は、もう少し考えてから行動しとくれ。
 まあ良い…アマノトリフネ、シールド展開!
 ネバダ州エリア51に向かうぞ!」<Rel1.22:5>
執筆者…is-lies

一方、穴から最下層迄落とされた一同は…
「い…今のは宗太郎の衝撃波……?」
アズィムが放った其れは、宗太郎のものと威力、射程共にほぼ同じであった。
「…御父さんが……居ない…?」 
ミナの言葉にはっとする前に、吹き抜けが隔壁によって閉じられた。
《態々相手にするのも面倒だ。
 其方に宗太郎も落ちたのだろ?精々殺しあってくれ》
スピーカーからノイズ掛かった車椅子の老人の声が聞こえる。
「上にも宗太郎は居ない様ですね……」
 だが、白百合の力で暴走している宗太郎が
 目前の人間を無視して動くとは思えない。そもそも動く理由が解らない。
 其れとも、或る程度は動けて、何処かに隠れているのだろうか…
「上に直で上がれないとなると…
 司令室に行く迄、相当遠回りする事になるな…」
併し、このまま手を拱いていても待っているのは死のみ…
脱出方法を求めて一同は傷付いた体で
巨大戦艦アマノトリフネ内を歩き出した。<Rel1.22:6>
執筆者…is-lies

歩いている間、スピーカーから流れる声が、ポーザ達にとって情報源となった。
《アンタ等も最後なんだし、死んだあと世界がどうなるか教えてやるよ》
どうやら暇らしい。
《俺等、火星の連中…
 まあ、地球から惑星開拓に向けられてた能力者達だな。
 連中に雇われてんだ。
 そいつ等が何だ、火星で発見された何かを、国連ってかアメリカに渡したくねぇから
 地球支配から逃れさせてくれって頼んで来た訳だ。
 で、俺等が考えたのがアメリカ失墜と傀儡樹立よ!
 もう死んだアメリカのユミル大統領……結構アレな奴でな…
 条約違反数の兵器をエリア51ってトコに隠してたんだ。
 しかも『八姉妹の結晶』の1つも此処に隠されてやがった!
 序に俺等、傭兵染みた仕事とは別に、エーテル研究機関って一面もある。
 お前等みたいに高い能力を持った奴等や兵器はサンプルが欲しい…
 そんじゃ、いっその事、纏めて済ましちまおうって事さ。
 アマノトリフネをエリア51にブチ落とす!んでアメリカは大破壊の責任から国連で失墜、
 其の後釜は火星帝国の傀儡ってな寸法》
《うむ。回りくどかったが、ハイリターンじゃな。
 宗太郎めが大名古屋国に能力者を集めてくれたから
 サンプルの入手も万全……行方不明となっていた八姉妹の結晶ワイズマンエメラルドまで手に入った》<Rel1.22:7>
執筆者…is-lies
と、歩を進めるメイの目の前に現れたのは壁。行き止まりだ。
「ああー!又行き止まりじゃん!」
「結構戻ル事ニナルナ……」
結晶兵器ジョイフルは既にチャフグレネードから回復していた。
詰まりは、彼女も疾うの昔に回復しているという事だ。<Rel1.22:9>
執筆者…is-lies

 司令室最下層

 

壊れたメカ兵の山からリリィがちょこんと顔を出す。
「……宗太郎様…………」
そして、ガラクタの山から抜け出しエース達とは別の通路に姿を消す。
まるで……捨てられても、主の下へ戻る子犬の様に……<Rel1.22:10>
執筆者…is-lies

 アマノトリフネ司令室

 

「フフフ、話の流れからすると、これからのことのようだが。
 お前たち生きて帰られるつもりか?」
宗太郎が、先程迄アズィム等が隠れていた通路からゆらりと現れる。
肩の傷口は装甲がすでに埋めていた。
「お前たちは逃がさん、そして世界の破滅を邪魔することも出来ん!」
その台詞とともに、カラスの羽根のような漆黒の装甲は
一挙に全身を覆い、禍禍しくその姿を変える。身の丈3m半ほどに膨れ上がり、
それまで装甲に覆われていなかった顔面にさえ醜悪な面が装着される。
「なっ・・・ちっ、どうせこけおどしだろうが!」
翡翠が青白い火の玉を連続して放つも、盾のような形状の左腕ではじかれる。
「くっ、効かない!?そんなはずが・・・」
諦めずに火の玉を打ちつづける翡翠だったが、宗太郎はゆっくりと近づいてくる。
「まずは一人・・・」
十分近寄った宗太郎は、剣と合体した右手を構え、ロケット推進でダッシュする。
翡翠が「ミスったな」と、死を覚悟した瞬間
轟音とともに翡翠の身体が横っ飛びに飛ぶ。
そのために宗太郎の攻撃は地面へと激突し、大穴を開ける。
何が起こったかとあたりを見回す宗太郎の目に映ったのは、
衝撃波を放った後のアズィムであった。
「おっと、スマンスマン流れ弾が当たっちまったな翡翠。
 今度はちゃんと、あの木偶の坊に当てるから、とばっちりを喰らわないように隠れとけ」
アズィムが翡翠に衝撃波を当てたわびを入れる。ただし、その瞳は宗太郎を直視している。
その間にトッパナが翡翠の元に駆け寄り、耳打ちする。
「あぁは言ってるが、宗太郎の攻撃を避けさせるためにした事だ・・・と思う。気にすんなよ」
「・・・ふん、わかっている。しかし・・・アイツは厄介だぞ」
トッパナの差し出した手を突っぱねて自力で立ち上がる翡翠。
「ほぅ、次の相手は貴様か・・・・楽しませてくれそうだな・・・」
宗太郎は右の剣を再び構える、ただし肉厚の刃は左右に開き
その間からは結晶の粉が散っていた。おそらく砲撃用の形態であろう。
「けっ、結局こいつもバトルマニアかよ。付き合いきれねぇな。」
セリフとは裏腹に真剣な目つきのアズィム。
次の瞬間、双方の放った衝撃波がぶつかる!!!!
「ふむ、能力の方も強化されているようだな・・・素晴らしい。
 さてと、あやつめのなきがらを確認せねば・・・」
剣を再び斬撃形態に戻した宗太郎が呟き、アズィムを探す。が、しかし・・・・<Rel1.22:11>
執筆者…Mr.Universe様
「下だぜ!」
「!」
いきなり床を破って現れたアズィムの手刀が宗太郎の胸に疾る。
漆黒の装甲はアズィムの手刀を避ける様に穴を開け、
丸出しになった宗太郎の胸部が深く切り裂かれる。
「ッ!」
油断無く宗太郎は後退し距離をおく。
「ケケ。テロの土竜共…ユニバースの能力無効化…
 やっぱ、此処で観察しまくって正解だったぜ!」
「……他人の能力を覚える力か」

それでも冷静に戦闘を続行しようとする宗太郎だが……
「…其れよりも……これは見たのか?本田宗太郎よ」
車椅子の老人が指を刺した方向…
其処にあるワイズマン・エメラルドは固定を解除されていた。
「…!」
其の一瞬の隙を突き、背後からトッパナが宗太郎に声を掛ける。
「いい加減出て来なよ。『カンルーク』」<Rel1.22:12>
執筆者…is-lies
トッパナが放った謎の名前…だが……宗太郎は…其れに答えた…
いや、彼は宗太郎ではないだろう…人の精神に取り付き、世界の消滅を目的とする異界の魔物…
『前支配者』が一柱『カンルーク』
「…バレた……か…」
「そりゃそーさ。君達、オイラ達のトコに居候の身だろ?
 其の一柱がいきなり居なくなって、こんな事件が起きたら
 解らない方がどーかしてるね。シシシ」
「カンルークよ…御主等が世界の破滅を望んでいるのは
 ワシ等SFESも、よう心得とる。ワシ等の目的も似た様なものだしな……
 だが………途中での乗り換えは遠慮して欲しいものだな」
「貴様等の世界消滅等…何百年掛かるか解ったものではない。
 より早い世界消滅を望み、実行した迄だ!」
「ワシ等を陥れてな……
 宗太郎を非能力者根絶計画ごと乗っ取り、ワシらをもハメた。
 ノトシス、ヒュグノア、メケルプ、アントラー……皆、有望な者達だったというのに。
 其れに何百年掛かるかとは言え、御主等にとっては大した時間では無かろう。
 …で、これからどうする積もりかね?
 SFESというパトロンを離れて、御主等の世界消滅は成就出来るのかね?」 

「……チッ……だが貴様等も我等が居なくば、異界の研究等……!」
「左様。だからこそ良いパートナーシップを保ちたいのだ」
言いながら老人はポケットからカプセルの様な物体を取り出す。
「………解った………貴様等の下へ戻る……」
呟きと共に、宗太郎の全身から紫色の気体が昇り、
老人の翳したカプセルに吸い込まれていく。
「これで後は結晶を持って逃げ、アマノトリフネを沈めるだけ…」
だが、SFES一行が気を緩めたのを見計らって
宗太郎が出口に向かって走り出し、姿を消す。
「良いの?」
「……宗太郎……カンルークの力を失った今、もう長くは無い……捨て置け。
 其れより、ワイズマン・エメラルドの移動作業に取り掛かるぞ」<Rel1.22:13>
執筆者…is-lies

    アマノトリフネ左舷付近通路

 

「……ふう…だいぶ歩き回ってみたけど…」
「…!!おい!あそこ!」
エースが指し示す半開きの扉…其処から誰かの気配を感じる。
一行が注意して中を覗いて見ると……
部屋の中には二基の脱出ポッドらしきものの前に立つ宗太郎…
「ふぅ、ふぅ……SFESの…奴等がロックする…前に…
 何とか…確保出来た…か………二人分のポッド………十分だ……」
ふらりと壁に凭れ掛かり、血の帯を引いて床に腰掛ける宗太郎。
其の目からは、以前の殺意…憎悪…失望…其の全てが消え失せていた。
「…外道の力を借りて迄…計画を進めた結果が……これ……か……」
今なら倒せる!そう確信してエース達は部屋の中へと踏み込む。<Rel1.22:14>
執筆者…is-lies

部屋の中は横に広い大部屋になっていた。
通路側の壁には幾つもの扉…そして窓側には、同じく幾つもの脱出ポッドがある。
「其処迄だ!宗太郎!
 大人しく全部のポッドを明け渡して貰おうか!」
エースが一同を代表して前に出る。
「…無理…だな……ハイエナ共に全て押さえられていた……
 其の前に……私が用…意した…この二基を除いて…な……」
含み笑いしながら宗太郎は隣のポッドをトンっと叩く。
「畜生!てめぇ逃げる積もりかッ!?」
「ふ…ふはは……これだから愚かな人類は……
 ……勘違い…するな…私…はもう助か…らない………
 此処に入れるのは……貴様等、愚かな…人類共でも…ない…
 私が……そう…私が最後に…救うべき者達だ……
 …ミナ……私はお前に…父親らしい事…何もしてやれなかった…
 ……AD計画……元は旧人類抹殺計画だが、其れすら潰えた今………
 せめて……この場…で…清算させ…てくれ……」
「御父さん……まさか…!」
ミナの声を遮る様に、離れた方の扉からリリィが姿を現す。
「宗太郎…様……」
其の姿は右脚と左腕が千切れ、中でコード数本によって繋がり、
エースに攻撃された胸部の内部機構が丸見えの状態だった。
この状態で、どうやって此処迄来たのか疑問に思う程、痛々しい姿だ。
「来た…か……リリィ……
 …そう……私が救うべき者達……
 此処から脱出…すべき者達………お前達だ…ミナ…リリィ…」 
(さっきと眼が違う。どういうことだ?)
ユニバースは困惑する。と、
「早く・・・逃げろ。お前達は生き・・・ろ」
と宗太郎は言った。
「おい、最後に聞かせろ。なぜいまさらこんな事をする気になった?」
「・・・世界の終末も・・・この計画も所詮は・・・あの外道
 「カンルーク」に・・・利用されただけ・・・・!」
「カンルーク?なんだ?それは!おい?おい!」
「おいオッサン!
 …おい!…おいッ!!」<Rel1.22:15>
執筆者…is-lies、鋭殻様、ごんぎつね様
「…ぐ、きぃ……貴様等が…知る必要等…無い……ッ!!」
沈黙を破る様に叫ぶと同時に、残った力で衝撃波を放つ宗太郎。
なけなしの力ゆえに『青』達は吹き飛ばされはしなかったが、宗太郎に近づく事もできない。
「リリィ!ミナを連れて来いッ!」
リリィが咄嗟に命令に従い、ミナの所へ跳躍する。
「きゃっ!?」
片足で綺麗に着地したリリィは、右腕でしっかりとミナを抱き、
宗太郎の下へ一っ跳びになる。
次の着地と同時に右脚の中のコードが切れ、右脚が彼女の体から離れる。
「……ミナを…脱出ポッドへ……ぐっ……」
「そ…そんな…御父さん…!!」
ミナの抵抗も空しく、リリィによって脱出ポッドに入れられ蓋をされる。
「くっ!」
「…おっと。お前等は…動くな…私と最後を迎えようではないか…」
駆け出そうとしたテロ兵を日本刀で制する宗太郎。
既に瀕死とはいえ、其の威厳の様なものは、まるで損なわれていない。
「次は…リリィ…お前だ…。
 良くぞ今迄……こんな男に仕えてくれた……
 ……………ミナを………頼む…………」
ユニバース達が気圧されている間に、宗太郎はリリィを手招きする。
「何をしている!早くポッドに入れ!」
「宗太郎様……」
壁に寄り掛かったまま、一向に動こうとしないリリィに
『青』達を日本刀で牽制しながら宗太郎が怒声を発する。
「……宗太郎様を置いて…行けません…」
「………もう解るだろう?…私は…もう直ぐに…死ぬ……
 前の……新たな主は………ミナだ…。……行け…リリィ…」
「…………」
其れでもアンドロイドの少女は動かない。
先程の宗太郎の科白によりマスターは変更されている筈だというのに……
「リリィ!!命令だッ!!行けッ!!!」
吐血しながら、其れでも威厳を保ったまま、宗太郎はリリィに命じる。<Rel1.22:16>
執筆者…is-lies

アマノトリフネはエリア51に向かって飛行中。後1時間で墜落する。
脱出ポッドは2基を残しロック済み。
入力装置の破壊により針路変更、ロック解除は不可。
其の2基のポッドも宗太郎に押さえられ、元凶たるSFESは撤退準備。
絶望的な状況だが、そんな中…全てを覆す存在が進入していた事に、
『青』達、テロ達、SFESや宗太郎達も気付いていなかった。

 

司令室内付近の通路…
其処の壁にあるダクトから室内へと姿を現した女性…
右手に大きな鞄を持ち、コートの下に以前と同じ結晶防護服を着用した女…
ごとりん博士の助手…『フルーツレイド』であった。
「あんなバケモノ達と真正面から戦うのはムボー!
 ポッドをロックしてたみたいだけどムダムダ〜
 私が持って来たコレがあるもんね」
フルーツレイドが目線を移した鞄…
以前、『青』達が病院で襲撃された時にヒュグノアの持っていたモノだ。
「ごとりん博士はどっこかな〜っと…」<Rel1.22:17>
執筆者…is-lies

アマノトリフネ内部で激しい展開が起こっているそのころ
かなりどうでもいい人物である所の連盟艦隊特殊部隊のドンは、
慌てふためいているであろう宗太郎たちの事と、この後の栄光を想像して悦に入っていた。
しかもBGMはワーグナーのワルキュ―レの騎行。地獄の黙示録かおまえは!(もしくは藤原組長)
いやまぁそこに散々ノックをするも
悦に入っている上官は気付かないのでしょうがないからドアを開けて士官が入ってきた。
さらにBGMには例によってワルキューレの飛行。
思いっきりヤな顔をしたまま音響のスイッチを切る士官。
「隊長殿!準備は整っております。そろそろ攻撃開始すべきかと思われます。」
いい気分で悦にいっていたところを急に邪魔されてちょっと不機嫌な隊長が答える。 
「うっ、うむ!そうだな。そろそろ頃合でござろうな。
 きゃつらめも今ごろ絶望しておるコロじゃろうし。」
「・・・ただ問題が・・・我々が待機している間に、国籍不明のヘリコプターが
 敵艦にドッキングして、天窓から何かを出し入れしているようなのですが・・・」
「ふむ・・・面倒ではあるな。・・・どうだろう?
 この際、それは本田どもの増援部隊という事にして一緒に“処理”してしまっては?」
「隊長殿・・・・はっ、分かりました。」
とまぁこんな感じでわりといい加減にアマノトリフネ攻撃準備は着々と進んでいくのだった。
それぞれの思い(出世がしたいなぁ。とか、
いい加減家族の元に戻りたいなぁ。とか、嫌な奴と同じ部隊になっちゃったなぁ。とか)を胸に。
しかも、ワイズマンエメラルドは、アマノトリフネから取り外されているため、
アマノトリフネは通常動力しか使えず、防御力も大幅に下降しているのである。
この状態で大丈夫なのか一体!?
さらにワイズマンエメラルドは
いまだ世界を滅ぼすには十分な量のエネルギーを蓄積したままなのである。<Rel1.22:18>
執筆者…Mr.Universe様
 
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