リレー小説1
<Rel1.19>

 

新生名古屋城に通じる100m道路(勘違いしてはいけない。
長さが100mなのではなく、幅が100mであり、この通路は実在する)の前に配備された
大名古屋国ロボットによる防衛線の様子を、隠れながら窺う獣人解放戦線本隊の面子。
そう。彼等、獣人解放戦線も大名古屋国と戦おうというのだ。
「どうですか、敵戦力は?どうにかなりそうですか?」
補佐官から司令へと繰り上げになった猫耳少女が兎男に尋ねる。
「パンサー戦車が5台…八十日目(やっとかめ)が9台…
 其れと…あれは……何だ?ロボット…ですね。人型ロボットが8体程…」
「人型ロボット?こんな時に冗談は……」
「いえ、本当ですよ。でも見たところ機動力は低そうですし、
 何より八十日目が多いのが助かりますね。これならゴルゴーンで十分撹乱可能です」
八十日目というのは三輪トラックに装甲を付けまくって出来た重戦車であり、
其のコストパフォーマンスとサバイバリティーが素晴らしく、現役でも頑張っている兵器だ。
唯、機動力が低く、防衛戦にしか使えない為、大名古屋国でしか使用されていない。
「解りました。其れではゴルゴーンが城門付近を襲撃、陽動…
 其の隙に、土竜隊の掘った穴から城内へ侵入という事で良いですね?『長峰』さん」
年少のテロ司令が兎男に問う。
「ええ、其れで行きましょう。」<Rel1.19:1>
原作…Mr.Universe様 脳内再現…is-lies

キュラキュラキュラキュラ
ズドオォォォオオン!ウオォォォオオ!!
戦車のキャタピラ音が聞こえる。大砲の音が聞こえる。兵士の叫び声が聞こえる。
どうやら戦火は直ぐ近く迄来ている様だ…
敷往路メイは城内の監獄で、そんな事を思っていた。
「魔法で壁、壊せるかな?」
そう思って放った魔法。だが周囲の壁はエーテルコーティングされているらしく、
傷一つ付いていなかった。魔法での破壊は不可能だ。
ギイ
扉が開き、本田宗太郎と其の部下が現れる。
「敷往路メイ!時間だ」<Rel1.19:2>
原作…MAYN様 脳内再現…is-lies

メイが通された部屋は巨大な吹き抜けのある司令室だった。
何人もの警備兵が厳つい顔で見張りをし、研究員がファイル片手に忙しなく動き回っている。
青銅色に淡い光を返す室内は、一種、神秘的でもあった。
部屋の中央…吹き抜けの場所には、
更に下の吹き抜けをも貫いている小さな塔の様なものがあり、
メイと同じ位の高さの位置には豌豆豆を思わせる形をした大型のカプセルが
小塔を取り囲むかの如く設置されてる。
其の上部には、メイが結晶鉱山で見掛けた巨大結晶『八姉妹の結晶』が固定されていた。
「漸く…君の出番だ…。敷往路メイ君…」
モニターに向かい合っていた宗太郎がメイへと振り向く。
「何を……する積りなんですか……?」
「…………『奴』が体の主導権を再び取らない内に…
 AD計画を遂行する…。能力者の楽園を創り上げるのだ」
両手両足を拘束され、脅えたメイに淡々と答える宗太郎。其の後ろで研究者が耳打ちする。
「……調整に少し時間が掛かるらしいが……
 最早、誰一人として計画を止められはしない……
 逃がすな」
そう言って宗太郎はメイを警備員達に預け、モニターへと戻る。<Rel1.19:3>
原作…MAYN様 脳内再現…is-lies

  大名古屋国地下水路

 

ユーキン一行は偽メイと共に水路を歩いていた。
「随分と迷っちまったな……」
其の時…!
ドガアアァァァァァァン!!
壁を破ってテロリスト達が現れた!
「アンタ等…大名古屋兵……な訳は無いよな」
「つよしん!コイツ等ハ獣人解放戦線ノ連中ダ!」
双方が互いの服装や装備品で、一先ず敵でない事を確認し、
相手を刺激しない様に武器を収める。だが、其れに異を唱える者が居た。
「皆さん!こいつ等は凶悪なテロリストです!本田の部下です!」
メイである。
「何だと!?」
あまりにも一方的で捻じ曲がったメイの説明に顔を顰める獣人。
其の声からは怒気すら放たれていた。
「さあ、皆さん!さっさとシバいてしまいましょう!!」
「め…メイさん………やけに過激に……」<Rel1.19:4>
原作…鋭殻様、is-lies 脳内再現…is-lies
「なーんか変だな」
ユーキン達は偽メイを調べた。そして、大変なものを見つけた!
「じゅ…十円ハゲ……!!そんなバカなっ!」
ユーキンが驚愕するのと同時に、急にメイが焦り始める。
「あ、バレちゃいました?
 そうなんです…私…実は十円ハゲだったんです…」
「嘘だ嘘だ!ボクの知っているメイさんは
 とっても綺麗で、間違っても十円ハゲなんて無いんだ!!」
「さては偽者だな!」
「…………フフフフフ……豚は死ね!
 お前等全員豚だ!豚は片っ端から殺す!!」
偽メイ(グレート・ブリテン)が襲い掛かって来た!<Rel1.19:5>
原作…MAYN様、ごんぎつね様 脳内再現…is-lies

其の頃、獣人解放戦線本隊は新生名古屋城のエーテル放送塔を占領していた。
最上階は四方の硝子越しに地下大名古屋国の全景を一望出来る。
彼方此方に上がる火の煙や銃声が、
彼等の放った操作ゴルゴーン達が上手く立ち回っている事を示していた。
あれだけの物量を持ちながら大名古屋国を落とす事も出来ず、
結局、自分達の侵入の為の隠れ蓑にしかならなかったとは
各国の軍隊も、意外に脆いものだ等と考えながら長峰は放送塔の端末へと向き合う。
「さて。此処からが腕の見せ所ですね!」
其の後ろでユニバースが腕組をしながら言う。
「御手並み拝見といきましょ」
何故、世界各国が此処まで…小国に過ぎない大名古屋国に敗走したのか…
精神操作…本田宗太郎が、テロ組織や政府に施した精神操作処置。これは各国の人間も例外ではない。
大戦末期に於いて宗太郎がばら撒いた精神操作用の『或るウイルス』が今の今迄増殖し続けた結果がこれだ。
『或るウイルス』は所謂ポインターの役割しか持たず、
実際に彼等を撹乱しているのは、新生名古屋城司令室に設置されている機械の発する特殊音波だ。
「…ゴルゴーン操作と原理は同じ……
 なら、別の周波数の音波で相殺出来る筈……
 やっこさんの周波数解析が完璧に済んでいる訳じゃないケド…今よりはマシだ…」
誰が好き好んで世界の破滅に手を貸そうか。
洗脳音波さえ無くなれば、敵は宗太郎と、
彼に徹底的に追従する者達、機械類のみになる。<Rel1.19:6>
原作…is-lies 脳内再現…is-lies

大名古屋国司令室。
テロ部隊の妨害音波によって混乱し、転げ回る兵達によって騒然となる室内。
「本田様、大変です!何者かが洗脳音波を妨害しています!」
宗太郎に心酔するオペレーターが叫ぶ。
「解っている。ふふ…敵もやるものだ……。だが、少しばかり遅かったな…」
そう言う宗太郎は、今迄のゆったりとした感じの和服とは打って変わって、
カーキ色のビシっととした軍服に身を包んでいた。
「敷往路メイを…例の娘をカプセルに入れろ!『ワイズマン・エメラルド』を起動させる」
兵士が妨害音波で役に立たないので、
普段は頭脳労働ばかりの研究者達が必死こいてメイをカプセルへと押し込める。
「其れでは…ワイズマンエメラルドを起動します!宜しいですか?」
先程のオペレーターに、うむと頷く宗太郎。
オペレーターの顔には汗が浮かんでいた。
そして……起動レバーが引かれる。
同時に室内の明かりが激しく点灯し、
唸るような重音を放って、ワイズマン・エメラルドが仄かに光り出す。
其の光で、カプセル内のメイや他の少年少女達が青白く照らされる。
「出力が臨界点を突破しました!危険です!!」
「駄目だ!私が良いと言う迄、スイッチを切るな!」
慌ててスイッチを切ろうとしたオペレーターに、宗太郎が軽い衝撃波をぶつける。
そして…一瞬の暗転と静寂の後…
ワイズマン・エメラルドの上部にぼんやりと人影が現れた。
ローブを纏った幼女の姿をした其れを見て、宗太郎が口を開く。
「おお…『玲佳』様…!この様な事に貴方様の力を使い、申し訳ありません…
 ですが、能力者の未来の創造には、どうしても必要なのです」
言い終わるのと時同じく、新生名古屋城全体が重音と共に震撼する。<Rel1.19:7>
原作…Mr.Universe様 脳内再現…is-lies

「あれ?」
「どうした?戦闘中だぞ!」
大名古屋国の機械兵達と戦っているテロ兵の1人が
自分の掌をまじまじと見詰めている。
「いや、何だか体の調子が良くなった様な……」
そう言いながらメカ兵の頭部をパンチで破壊する。
「へっ?お前も?」
背後から迫る別のメカ兵の腹を蹴りでぶち抜く。<Rel1.19:8>
原作…Mr.Universe様 脳内再現…is-lies

名古屋国地下水路
再びツヨシン達の前にメカ兵を引き連れてピュンマが現れた。
「グレート・ブリテン!どういう事だ!?
 コイツ等を騙して、罠の部屋に誘い込む寸法だっただろうが!」
「いいじゃねぇか!此処で殺しても変わりねぇ!」
メイの変装を解き、ピュンマに答える。ハゲ頭の男。
「ちっ、姑息な奴等!」
「何とでも…………んっ?」
其の時、僅かに地下水路全体が振動した。
今迄の大砲や爆弾による爆発とは違う…もっと大きな揺れだ。
全員が慌てて腕を頭にやったりする。
「この振動……『アマノトリフネ』か……」
「……らしいな。早めにコイツ等を片付けて戻らねば…」
「コノ振動……がうぃー!敵ヲ倒シタラめい達ノ許ヘト向カウゾ!
 何カ……嫌ナ予感ガスル!」<Rel1.19:9>
原作…is-lies 脳内再現…is-lies
ガウィーが放った連続突き!だが、相手は変身能力を持つ怪傑である。
胴体を蛇の様に細く、しなやかにして突きを全て避ける。
同時に頭から無数の蛇を生やし、ガウィーの首筋に噛み付こうとする。
「其れでロン毛になった積りか、ハゲっ!」
ユーキンのボウガンがグレート・ブリテンの肩に突き刺さり、
反動で、男メディウサーへと変貌した其の上体が仰け反る。
ガウィーを狙った蛇の髪は、全て虚空で顎を閉じた。
「ユーキン、助かった!」
「ああ。でも変だな……何か何時もより調子が良いぞ?」
「ん、お前もか?」
油断無くメカ兵達と戦いながら、話し合うユーキン一行を睨め付けるピュンマ。
「ふん…仕方が無い……俺の力を見せてやる」
ピュンマが片手を上げて合図したと同時に
メカ兵達が背後にあった貯水所の壁にマイクロミサイルを放った。
「な…なんだコイツ等!頭がバカか!?」
当然、破壊された壁から出て来た大量の水がピュンマを押し流そうとする。
だが、水はピュンマの直前で止まり、まるで意思ある生物の様にガウィーへと向き直る。
「ま……まさか………」
「気付いた様だけど………遅いよ」
全ての水が一斉に鎌首を擡げる!
ザッパーーーーーーーン!!!
ゴボゴボゴボゴボ
戦士達は溺れた!<Rel1.19:10>
原作…Mr.Universe様、MAYN様 脳内再現…is-lies

「おばぁ!おうおおへはいんへふっ(おあぁ!僕、泳げないんです)!!」
「あっえお!いあはふへへはふ(待ってろ!今、助けてやる)!」
ユーキン、ガウィーが溺れたバンガス、ジョイフルを助け出して、水面から顔を出す。
辺りはまるでウォーターワールドみたいになっていた。
壁には見覚えが無いし、敵もテロ兵も居ない…随分流された様だ。
取り敢えずバンガス達を水没していない箇所に上げる。
だが…ツヨシンを見付ける事は出来なかった。
「まさか…敵に捕まったか?」<Rel1.19:11>
原作…MAYN様 脳内再現…is-lies

其の頃、グレート・ブリテン達は…
カチッ!カチッ!
「そらっ!」
BON!!
グレート・ブリテンは潜水艦を召喚した!
ロボット兵を従えて乗り込む。
水中には多くのテロ兵達が溺れている。
そしてピュンマ達は、次々と彼等を回収していく。
恐らく人質にする積りだろう。
この時、ツヨシンも回収されていた。<Rel1.19:12>
原作…MAYN様 脳内再現…is-lies

「フッ、所詮オレノ敵デハナカッタナ」
見下す様なTAKEの目の前には血塗れのジョーが倒れていた。
「サテ」
ジョーに背を向け立ち去ろうとするTAKE。
だが、
「………待て!貴様も道連れだ!」
「何ィ!!?」
ジョーの放った捨て身の技がTAKEを捉えた!
「クッ…生意気ナ!」
瀕死のジョーに止めを刺して其の場を立ち去るTAKE。
だが、TAKEも今迄の負傷と併せて、重傷を負っていた。<Rel1.19:13>
原作…鋭殻様、ごんぎつね様 脳内再現…is-lies

「さあ!考えは決まったか!?」
目の前のモニターに向かって苛々しげに吐き捨てる宗太郎。
モニターには其々、各国首脳陣が映っていた。
「先程言った様、国家の解体…火星の同胞を開放…これ等が30分以内に為されないならば、
 私はAD計画を実行…能力者のみの世界を創らせて貰う」
「くッ……解ったボ…。フランスは今日を以って解体とするボ…」
苦々しく言い放ったのはフランス首相ラヴァルモット・プロヴォーネであった。
其の隣では側近が「歴史ある国家を解体する等、正気ですか!?」と騒ぎ立てている。
「………よし…条件を飲もう……本日でドイツも終わりだ」
ドイツ首相ムーヴァイツレン・クーデルは俯きながら、併し宗太郎を強く睨んで言った。
「……チッ……私も……」
「…苦了…我願人類存続…」
「仕方が無い…」
ドイツ、フランスが折れたのをキッカケに、次々と各国首脳が解体宣言を出してゆく。
残ったのは東西日本とアメリカ合衆国のみだ。
「くっ…こうなるのならば、もっと早く貴様を殺しておくべきだった…!
 …………承諾だ…………!」
日本皇国の実質的な支配者であるところの摂政・藤原が忌々しげに宣言する。
「……ふん、此処で張り合っても仕方無い…。此方も西と同じ意見だ」
何とか冷静さを保ちつつも、内面は煮え繰り返っている東日本代表者。
こうして、アメリカ合衆国以外の国家は全て消滅したのだった。<Rel1.19:14>
原作…Mr.Universe様 脳内再現…is-lies
「くっ!お前等黄色いサル共は毎度毎度余計な事をしてくれる!
 先の戦闘でのイージス艦隊壊滅、大統領殺害に加え、今度は栄誉ある合衆国を解体しろだぁ?
 はん!…ふざけるなよ!XXXXがァ!!何様の積りだ!
 貴様等の様なXXXXXXX共には世界平和の象徴たる我等の裁きが必要だ!」
先日のアメリカ合衆国大統領死亡により、
暫定的に副大統領から大統領となった『トールマン』が宗太郎に強気な発言をかます。
「ほう、ではどうしますかな?トールマン大統領殿」
「くっ…わぁ、私は大統領だ!間違えるなXXXめぇ!!」
宗太郎に怒鳴りながら、デスクにあったスイッチを押すトールマン。
「ははは!今SOLの起動スイッチを押した!
 貴様みたいなXXXXは名古屋ごと裁きの炎に包まれるが良い!」
トールマン大統領の言葉に各国首脳に動揺が走る。
SOLとは、サテライトオービタルレーザーの略であり
衛星から照射されるレーザーによってあらゆるものを灰燼と帰す
アメリカ合衆国の結晶兵器研究集団『ジュブナイルA』が造り上げた悪魔の兵器である。
だが、宗太郎は泰然とした構えを崩さない。
「撃って来い。我々にはそんなもの痛くも痒くもない」
「なぁにをぉぉ!!?ハン!イカレたか、XXXX野郎め!」
かくして大名古屋国遥か上空、成層圏外にある衛星から
まるで収束された雷の柱の様なレーザーが放たれた。
灼熱した裁きの雷は一瞬で大名古屋国地表部を消滅させ、
新生名古屋城に深々と突き刺さる。閃光と轟音が地下大名古屋国に充溢する。
だが、煙が晴れた後…新生名古屋城が姿を見せた。
上三分の一程が破壊され、其の内部が丸見えの状態である。
其処から覗くのは黄金に輝く巨大な鳥の様な物体だった。
『アマノトリフネ』…ワイズマンエメラルドの力を動力とする航宙戦艦です。
 どうやら、たった一人の馬鹿者の所為で交渉は決裂した様ですな。これだから無能な非能力者達は……。
 ……以後、諸君等ホモ・サピエンスに替わり、我々『ホモ・タレントゥス』が地球を導かせて貰おう」
宗太郎が言い終えると同時に司令室の正体であるトコロの航宙戦艦アマノトリフネが
僅かに残っていた天守閣を無視して空高く上昇を開始した。<Rel1.19:15>
原作…Mr.Universe様 脳内再現…is-lies

「くっ…何だったんだ、さっきの光は…?」
エースは先程のSOLの振動でポーザ達と逸れてしまっていた。
「此処でこうしていても仕様が無いな」
そう言って歩き始めようとした其の時!
ゴソゴソ
瓦礫が僅かに動き、其処からメカ兵が襲い掛かって来た!
「バレバレなんだよ!」
エースの放った指弾がメカ兵を貫通する。
「さて、ポーザ達は……」<Rel1.19:16>
原作…鋭殻様 脳内再現…is-lies
 
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